ステップ1 研究日誌を付け始める


 研究課題を思いめぐらし始めたときから、すでに研究は始まっています。研究日誌をつけ始めましょう。B5版程度の手頃なノートでも、または、ノートパソコンに記録しても構いません(算数・数学は、絵、図、表、式が多いので、それらをマウスで簡単に描いて挿入できるパソコンソフトを利用するとよいでしょう。ワープロ専用機はおすすめしません)。

 私がジョージア大学で師事したJudith Preissle先生が、質的研究法の授業の最初で受講生に対して次のような要求を出されたのを覚えています:「まず皆さんには研究日誌をつけることを要求します。たった1パラグラフでも構いませんから、とにかく研究について毎日書くようにしてください。」

 研究日誌は、研究を始めてから終了するまで、できるだけ頻繁につけるようにします。書く内容は以下のような事柄です:

1. 記録の日付(より詳しくつける必要があるときは、時刻も記載)

2. 研究の進め方についての考察

 研究課題、研究方法、データ収集の計画、分析の方法、研究のまとめ方等について考えたことを書きます。思いつきやそれらの修正案、本や論文を読んで参考になったこと、同僚や研究協力者と議論して得たことなどもどんどん書き留めていきます。

3. データの記述やデータの分析

 研究が進んできたとき、収集したデータは、ステップ4で述べる観察ノートだけでなく研究日誌に記録してもよいでしょう。そして、得られたデータについての自分なりの考察を書き留めます。

4. 個人的経験とその考察

 研究を進めながら、個人的に感じたことを記録します。研究を進めていく中で成功、失敗、トラブル、反省など個人的に様々な経験をするでしょう。それらを記録し、なぜ失敗したのか、自分を正当化しすぎて解釈が独りよがりになっていないか、対人関係にどう配慮したらよいか、等々の考察を書き留めていきます。通常の日記とは異なり、単に自分の思いを綴ったり不満を書き殴ったりするのではなく、冷静に研究者としての自分のあり方を見つめます。こうすることによって、データ収集作業を円滑にしたり、データ解釈の偏りを是正するのに役立ちます

 手書きの研究日誌の場合には、後で思いついたことや訂正を書き込めるように、右側に数センチメートルの余白をつくって余裕を持たせて書きましょう。また、必ず、片面だけに書くようにしましょう。研究日誌は、後述の観察ノートとあわせて、データ分析のときに利用します。ノートの両面にデータが書いてあると、分析作業が煩雑になります。例えば、分析のときに、日誌の中のデータのあるページにPOST-ITなどの付箋を張って目印をつけたりします。このときに、ノートの表と裏の両方に張ったりすると、データの検索がスムーズにできません。もしも両面に書いてしまった場合には、後で、片面ずつコピーを作って綴じる作業をすることになります。パソコンにファイルしている場合は、プリントアウトを作るときに、これらのことに注意してください。


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