10.気象・天気のはなしI 積雪

1.雪

 空気中の雨(液体)、雪・あられ・ひょう(固体)、みぞれ(液体と固体が混合)などが地表へ落下する現象を降水と言い、地上の気温が0〜4℃以下では雪、ほぼ4℃以上では雨になります。雪などの固形の降水が自然に積もって半分以上を雪やあられで覆われた状態を積雪と言います。わが国の日本海沿岸、その中でも北陸地方は世界的に見ても有数の多雪地帯です。シベリア大陸の高気圧から吹き出す冷たく乾燥した季節風は、日本海を越える間に水蒸気が供給されて雪雲を作ります。雪雲は日本海沿岸に達し、中央日本の山脈に沿って強制的に上昇するため、日本海側で大雪が降ります。五六(ごうろく)豪雪(1980年の年末から1981年(昭和56)1月半ばまでの短期間に3回にわたって降った記録的な大雪)や 三八(さんぱち)豪雪(1962年12月末から1963年(昭和38)2月初めにかけて北陸地方を中心に襲った大雪)では、多くの被害が発生しました。

豪雪地帯の地域指定図

図1 豪雪地帯の地域指定図(国土交通省 都市・地域整備局 地方整備課HPより)

●もっと詳しく知りたいひとは
上越の雪http://www.jjp.co.jp/yuki/yuki.html
雪に関する話し(上越の気象と生活)http://www.argos-net.co.jp/snow/snow0000.htm

豪雪地帯対策の推進http://www.mlit.go.jp/crd/chisei/g4_1.html

2.雪の測り方
1)積雪の深さ(積雪量)

 ある時間に自然に地面に堆積している垂直方向の雪の深さを「積雪の深さ」と言います。積雪の深さは、観測所付近の積雪の深さを代表するように建物から十分離れた観測用の敷地に、白い木柱の雪尺(ゆきじゃく)を立てて測ります(写真11)の左)。標準の雪尺は7.5cm角で長さは目盛り部分が3m(地中に1m)です。観測は、周囲の平らな雪の面に相当する目盛りをcmの1の位まで読み取ります。雪があっても、地面に半分以上を覆っていない場合や深さが1cmに達しない場合は積雪の深さは「0」とします。最近までは9時・15時・21時に積雪の深さを直接観測者が目視して測っていました。雪があまり積もらない場所では、定規を地面に垂直に立てたり、積雪の断面にあてて測ることもできます。皆さんも、雪が積もった後に観測してみましょう。
 近年では、超音波式積雪計を設置して積雪の深さを観測しています(写真2・31)の右)。地面にポールを立てて、ポールの先端に横に伸ばしたアームに送受波器を下向きに取り付けます。送受波器から雪面に超音波パルスを発射し、雪面から反射して戻ってくる時間から積雪の深さを自動的に離れた場所から観測できます1,2)。超音波が空気中を伝わる速度は気温によって変化するので、気温を測定して補正することにより高い精度が得られます。気象庁では超音波式積雪計を用いて1日24回(1時間毎)に積雪の深さを記録しています。



写真1 雪尺(http://www.fsifee.u-gakugei.ac.jp/globe/edu/exp/pr/pr2.html)



写真2 超音波積雪計(
積雪計/観測の原理、気象庁HPより)http://www.kishou.go.jp/know/kansoku_guide/e1.htm



写真3 国道9号線(木戸山峠)に設置された木戸山気象観測所

●もっと詳しく知りたいひとは
超音波工学入門http://www.hi-net.zaq.ne.jp/ant/NEW/UST/UST2.htm
新潟電機株式会社 製品紹介http://www.snowcon.com/start.htm
札幌管区気象台http://www.sapporo-jma.go.jp/sp/kanku/sp_sub05/web/sokki.htm#sekisetsu

2)降雪の深さ(降雪量)
 ある時間内に、地面に降り積もった雪の深さを「降雪の深さ」と言い、「雪板(ゆきいた)」を使って観測します。「雪板」は、写真4のように一辺の長さが50cmの木製の白色を塗った板の上に目盛りが付いた白柱を立てたもので、これを観測所の雪の上または地面に設置します。降雪の深さを測る時は、観測時刻に板の上に積もっている雪の深さを木柱の目盛りから読み取ります。観測した後、板の上の雪を払い除けて、雪面と板面を同一の面にしておきます。降雪の深さの合計はcm単位で1位まで示します。これを1日3回(9時・15時・21時)繰り返して観測し、その3回の合計を1日の降雪の深さとしています。1日の降雪の深さは、正確には前日21時から当日21時までの24時間の降雪の深さです。ただし,2回(9,15時)観測地点については2回(15時と翌日9時)の観測値の合計値(日界9時)とします。雪板の周りに雪が積もっていても、雪板の上に雪がない場合は降雪の深さを「0」、降雪がまったくない場合は「-」と記録します。
 多雪地帯で有名な新潟県高田市にある高田測候所で1954年から1999年に観測された降雪の深さ(cm)を図2に示しました3)。観測開始から降雪の深さは、ほぼ500〜1000cmの範囲で推移していますが、1984年からの3年間は約1500cmもの降雪が認められています。しかし、1990年代に入って地球温暖化に伴う気温の上昇により降雪は減少しており、近年は降雪の深さは500cm以下で推移しています。降雪の深さを雪尺により前日に観測した積雪の深さとの差により求めると、雪板により観測した降雪の深さに比較してかなり小さくなるので、注意する必要があります。


写真4 雪板(http://ww2.et.tiki.ne.jp/~okamu-k/kansoku.html)

図2 高田(測候所)における1954年から1999年までの降雪の深さ(cm)の推移

3)雪の重さ
 雪の重さは、通常は密度(g/m3:1立方センチメートル当たりの重さ)で表します。雪の密度は、降ったばかりの新しい雪でも「かわき新雪(密度の小さな軽い雪)」で0.02〜0.07g/cm3ですが、「ぬれ新雪(密度の大きな重たい雪)」になると0.1g/cm3程度です。一般的に新積雪の密度は、本州では約0.1g/cm3ですが、北海道や本州の山岳地帯では約0.05g/cm3です。積雪の密度は、外気温3℃以下の日の「新雪」では0.08g/cm3程度ですが、3℃の日の「粗目雪」では0.5g/cm3前後(積雪の高さ2mでは1トン/m2にもなる)に達するものもあります。このため、多くの雪が積もった屋根には過重がかかるので、雪下ろしが必要になります。
1)と2)のように、雪を深さ(cm:積雪量、降雪量)で測る以外に、雪を解かして水とし、降水量(mm)として測る場合があります。降雪により積雪が50cmになった場合、これを解かして降水量に換算すると雪の密度が0.1 g/cm3では50mm、0.05 g/cm3では25mmになります。アメダスで観測された降水量から降雪量を推定するには、北海道などの粉雪では降水量を2倍に、本州の平野部の湿った雪では降水量をそのままcmで表します。

3.雪の情報
 2002年1月3日09時の積雪状況を図2に、平成13年度冬季の雪関連情報(新潟)を図3に示しました4)。この冬は、北陸地方や東北地方の日本海沿岸地域の積雪よりも北海道の道央地方の積雪が平年よりも多く、札幌(管区気象台)では、近年ではまれに見る多雪を観測しています。また、1月3日は名古屋市の13cmをはじめ、東海地方でも積雪が観測されました。雪のリアルタイム情報は、財団法人雪センターでのホームページで閲覧することができます4)。雪国のようすをインターネットで見てみましょう5)

図2 全国の積雪状況(http://www.yukicenter.or.jp/AMECS/SnowS.html)(雪センター 降雪情報マップより転載)

図3 新潟の積雪状況(http://www.yukicenter.or.jp/snowmap/local/niigat.htm)(雪センター 降雪情報マップより転載)


(注)
1) 札幌管区気象台ホームページ(
http://www.sapporo-jma.go.jp/
2)小笠原計器(株)ホームページ(http://www.ogasawarakeiki.co.jp/
3)(財)気象業務支援センター、平成11年 気象庁年報
4)(財)雪センター 降雪情報マップ(全国)・雪情報マップ(新潟)(http://www.yukicenter.or.jp/
5)ユキダス ホームページ(http://www.nice.or.jp/yukidasu/