第1章 調査の概要

      第2節 調査結果の概要



    7 回答者の社会サービス観:家族を基盤とするサービス利用者意識


 まず社会福祉自体についての考え方を問うてみた。

「社会福祉は公の責任として行われるべきことだから、税金や社会保障料を負担して
いる以上、福祉のためにこれ以上の寄付に応じる必要はない」という意見には絶対賛
成15.7%、大体賛成22.6%と賛同する人が比較的多い。逆にいうならば、寄付などを
財源とする互助中心的な社会福祉観には否定的であるといえる。 「社会福祉は全て
の国民に関わることだから、税金を上げて、いつでもどこでもだれでもサービスが受
けられるようにする必要がある」という意見に絶対賛成だといういう人は8.3%、大
体賛成という人は27.3%である。
 「本当に国が支えなければならないの人は少数なのだから、できるだけ民間で福祉
サービスを提供できるようにする必要がある」という意見には絶対賛成という人が9.
2%、大体賛成という人が26.3%であった。

 いずれの質問にも、約半数近い人々がどちらともいえないと、中立的な立場をとっ
ている人が多い。

 では高齢者のための社会サービスのあり方についてはどうであろうか。
 「高齢者の福祉サービスは土曜、日曜、祭日、夜間を問わず利用できるようにする
べきである」という意見には、大いに賛成54.9%、どちらかといえば賛成30.1%と
賛同する人が圧倒的に多い。
 「高齢者の福祉サービスの水準を向上させるためには、医療サービスと同じように
保健が使えるようにするべきである」という意見には、大いに賛成する48.7%、どち
らかといえば賛成する31.4%と賛同者が圧倒的に多い。
 「高齢者のためのホームヘルパー派遣は、公的機関だけでなく、民間企業を含むさ
まざまな機関や組織が自由に行えるようにして、利用者の好みに応じて選択できるよ
うにするべきである」という意見に、大いに賛成する人は38.9%、どちらかといえば
賛成するという人が39.8%で、賛同者が多い。
 「高齢者のための社会サービスは、収入の少ない人でも利用でき、また収入の多い
人にはそれなりの負担をしてもらうよう、料金は収入の額に応じて決めるようにする
べきである」という意見には、大いに賛成する人38.0%、どちらかといえば賛成する
人36.0%である。
 「高齢者の福祉サービスの水準を向上させるためには選挙を通じて、これに理解の
ある市長や議員を当選させるべきである」という意見には、大いに賛成する人36.9%、
どちらかといえば賛成する人23.8%であった。
 「高齢者の介護などはもう家族の手に負えない状況になってきており、専門家の手
にゆだねられるべきである」という意見には、大いに賛成する人が22.4%、どちらか
といえば賛成する人が38.1%であった。
 「高齢者の介護などはあくまで夫婦や親子関係の間で解決すべきであり、親戚の助
け合いなども強めるべきである」という意見にはどちらともいえないという人が43.3
%を占め、どちらかといえば反対という人が21.6%、大いに反対という人も3.9%い
た。

 こうしてみると、回答者は高齢者に対する社会サービスは、家族互助によっては解
決できないと考え、サービス利用者という意識に立って、いつでも、どこでも、だれ
でも、応分の負担で利用できる体制を求めていると言える。

 「子供に余裕があれば、親の介護をした方がよい」という人が54.4%と過半数を占
めており、「子供が親の介護をするのは当然のことである」と答える人20.4%を遥か
にしのいでいる。「無理をしてまで子供が親の介護をする必要はない」という人も19.
3%いる。
 市役所にホームヘルパーの派遣を申請することについて、「国民として当然の権利だ
から、堂々と申請する」と答えた人が59.1%、「サービスを受けるのは恥ずかしいか
ら、できるだけ家族でがんばる」という人が27.5%、「牙根しなくてよいように、む
しろ家政婦などを自分のお金で雇う」という人が11.8%であった。
 老人ホームへの入所の申請については、「国民としての当然の権利だから、堂々と
申請する」と答える人が58.0%、「入所させる(する)のは恥ずかしいから、できる
だけ家族でがんばる」という人25.1%、「世間的を考えて入院先を探す」人が13.8%
であった。
 「介護を家族が行うのは当然で、これを金銭で評価することは不適当であるから、
現金支給はしない方がよい」という意見には、大いに賛成する11.6%、ある程度賛成
する38.5%と半数を占めている。
 「懸命に介護している家族の労苦に報いる必要があるから、現金支給をする方がよ
い」という意見には、大いに賛成する21.6%、ある程度賛成するが47.3%となって
いる。
 自分が寝たきりになった時の希望としては、「自宅で、公的な保健や福祉のサービ
ス(ホームヘルパー、訪問看護婦、デイサービス、ショートステイなど)を利用しな
がらでも家族に介護してほしい」という意見の人が32.3%、「病院や老人保健施設に
入院したい」という人が26.7%、「自宅で、家族などを中心に介護してほしい」とい
う人が16.7%「介護付きの民間の有料老人ホームなどに入所したい」という人が6.9
%、「特別養護老人ホームに入所したい」という人が6.5%、「介護してくれる家族
はないが、公的な保健や福祉のサービスを活用するとともに、人を雇ってでも自宅で
の生活を続けたい」人が2.4%であった。
 行政による公的サービス以外にも、シルバーサービスや民間非営利組織によるサー
ビスが出てきたことに対して「多様なサービスがあって選択の幅が出てきていいこと
だと思う」と大いに思う人が39.1%、ある程度そう思うという人が36.9%いる。
 「自分の気に入ったサービスに見合った料金は喜んで払う」という意見に大いにそ
う思うと答える人は22.0%、ある程度そう思うと答える人は40.5%であった。

 以上をまとめると、回答者は親子関係に依存する介護状況を解決するために、公的
サービスの利用に向かおうとする人が多く、多元的な社会サービスの登場についても
基本的には歓迎している。しかし、在宅での家族介護プラス在宅介護支援という組み
合わせを第一に望み、家族介護者への現金支給にも賛成する人が多い。そしてなお社
会的入院の潜在的傾向はかなり根強く残っているといえる。まだ外部市場として高齢
者向けの社会サービスが成立するまでの意識は熟してはいないといえるだろう。 



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