研究内容イメージ

わたしたちの研究室で行っている主な研究分野を簡単に紹介します。

● 生きた細胞内で分子のダイナミクスを観る
● 細胞運動、細胞質分裂の分子機構
● 細胞の足の研究

「生きた細胞内で分子のダイナミクスを観る」

細胞性粘菌の運動に関わる主な分子は、アクチンとミオシンという細胞骨格分子というものです。

細胞が分裂する時には細胞の分裂する部分ににアクチンとミオシンが集合して、収縮環という輪の形をしたものを形成し、その輪が収縮してまるで手でお餅をくびるように細胞が2つの娘細胞に分裂します(下図)。



(図収縮環)




また、細胞が移動運動しているとき、ミオシンは細胞の尾部に集まっています。 この部位でアクチンとミオシンがお互い働き合って尾部 を収縮させ、収縮した分だけ細胞質を前に押し出す力が発生していると考えられます(下図)。




(図尾部の収縮と前方への力)





わたしたちは、これらの細胞骨格分子がどのようにして細胞内で 偏った分布になるのかについて研究しています。

このような研究のためには、生きた細胞内で、アクチンやミオシン分子の観察が必要で、それら蛋白質だけを蛍光標識して細胞内で観察する技術と、蛍光を観察するための高感度なカメラのついた顕微鏡装置、 さらに特殊な画像処理や解析技術を駆使しなければなりません。

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▲ミオシンを蛍光標識して観察した細胞分裂の様子。左上の画像から縦に進んでいきます。分裂する位置が白くなっていて、これはそこにミオシンが集中して収縮環を作っているからだと考えられています。
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▲細胞分裂の際の蛍光標識したアクチンの様子。分裂する時のアクチンの分布がダイナッミックに変化していることが動画にするとよく分かります。
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▲蛍光標識したアクチンを細胞内に注入して、細胞の動きに伴うアクチンの分布変化。仮足の伸長にともなってアクチンは濃縮されていることがわかります(赤色)。(The copyright of this image is reserved by Dr. Fukui of Northwestern University)

「細胞運動,細胞質分裂の分子機構」

細胞性粘菌のアメーバ様細胞は、白血球に似ていて細胞運動の研究材料として利用されてきています。多量に均一な細胞を培養できるので、細胞運動に関わる蛋白質なども容易に単離できます。

また、最近では、これらの蛋白質の遺伝子を組み替え操作によって、改変したり破壊したりして細胞運動がどのように異常になるかが調べられるようになりました。

たとえば、細胞運動におけるモータと考えられているミオシンを持っていない細胞が作られています。このような細胞を振とう培養すると、細胞質分裂ができず多核化、巨大化して結局破裂して死んでしまいます。

こうしたミオシンのない細胞に今度は手を加えたミオシン(たとえば、ミオシン分子のATPase活性を除いたもの)の遺伝子を形質導入することでミオシンの様々な効果を知ることができます。

上の例でATPase活性がないミオシンを発現している細胞はやはり分裂できないので細胞質分裂にATPase活性は必須であると結論できます。

わたしたちは、多数の技術を駆使して細胞運動、 細胞質分裂の分子機構の研究に取り組んでいます。そしていつの日か細胞を思いどおり動かしたり、必要な部品だけ集めた人工細胞を動かせたらと思っています。



細胞運動をトータルに理解するには、細胞の足がどのようになっているかも調べなければいけません。動物や人の足と違って、細胞の足は多数あり、踏み換えながら移動しているようです。

反射干渉顕微鏡法により最近わたしたちはその様子を観察することに成功しつつあります。

右の画像(b)は、細胞(*印)が動いたあとに残る足跡を蛍光標識ConAで染色したものです。現在、細胞の足にはアクチンが集まることから、その集合の調節機構について研究を進めています。

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▲ふつうの細胞では、各々の細胞に1つの核が観察できます。強く光っている部分が細胞の核。一つの細胞に一つずつ入っているのが分かります。
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▲遺伝子組み換えにより作成されたミオシンのない細胞。細胞質分裂ができないため、核だけがどんどん分裂して多核化し、巨大化しています。
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▲*印の白く光って見えるのが細胞。薄く尾を引いて見える部分は細胞が這った跡で、斑点状に足跡が残っています。

「細胞の足の研究」

ほとんどの動物細胞は足場を基に這う運動をします。

わたしたちがはって動く時を想像してください。両手、両足を互い違いに出しながら前進していますよね。細胞がはって動くにも、同じように複数の足を協調的に踏み換えて前進しているにちがいありません。

細胞の足はどのようになっているのでしょうか?
また、それらの足を統括して、細胞を前進させるしくみはどのようなものでしょうか?

基質(地面)に付着しあまり動かない細胞の足は細胞から取り出すことも可能で、その分子構築についてよく調べられています。しかし、動く細胞の足についての研究はほとんどなされていません。

最近、私たちは、細胞性粘菌で、その足と思われる構造をつきとめました。今後の研究で、上の疑問に答えられるかが楽しみです。

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