法医学の法則???

last updated on April 24, 2010

 法医学についてや、医学生に有用な、おもしろ法則・雑学をご紹介します。(随時、改良中)

  1. マーフィーの法則     If anything can go wrong, it will.
     まずくなる可能性のあるものは、必ずまずくなる。最悪を考え行動しよう(救急)。
     失敗によって損をする可能性があれば、注意せよ。最悪に対応できるようにせよ。
     間違うことがあるように作ってあれば、いつかは誰かが必ず間違える vs. フールプルーフ。
     疑わしきは、行動(対応)しろ(防災の基本)。災害は忘れた頃(忘れないうち)にやってくる。
     何かが起きても、失うものがなければ、気楽にいけ。調子がいいときが危ない。
     一旦、最悪を受け入れ、善処を考えよう
    。最悪時のシミュレーションやイメージは事前に用意しよう。
     リスクは損害の重大度×発生確率ではない。損害の重大度が大きければ、注意せよ。
     想定外・偶発事象は2割程度(80:20);想定外への対応も考え、手を打っておく(余裕・アソビ・補強も必要)。
    Clinical Pearls: Once you suspect meningitis, treat as meningitis, unless proven otherwise.
    臨床診断では、最悪の場合の想定と、客観的事実に基づく除外診断。
    To Err is Human.  -- 医療事故は、いつかどこかで必ず起こる。だから...法医学では何でもありえる。
    捜査官(法医学者も)のまぶたの裏側には、マーフィーの法則が刺青されているものだ(ロンドン警視庁B.ウィンザー)
    悪は顕在化する(バレる)(悪のマーフィーの法則):完全犯罪は不可能という信仰。

  2. Things go wrong in batches. (マーフィーの第2法則)     降れば土砂降り。
     不運は重なる。
    いったんおかしくなった仕事は、よくしようとすればするほど、おかしくなる。覆水盆に帰らず。
    2' Point of no return.   ものごとには臨界点(critical point)がある。 量(的変化)から質(的変化)への転換。
     臨界点を越えると、もはや後戻りできない(ことが多い)
    。臨界点後はもはや神の領域。
     病状・出血量・低酸素血症には、臨界点がある。臨界点までに先手勝負。あとは後手後手で神頼みの可能性。
     臨界点の見極めと、方向転換の勇気(止める勇気)。慎重かつ大胆に。毒を食らわば皿まで。
     臨界点を越えるときは、外見上、あまり変化が起こらない。が、突然、降れば土砂降り、泥沼状態。
     歴史における臨界点:その時、歴史が動いた。
    律速段階。ものごとには律速段階が存在する。
     他がどんなに余力があろうとも、律速段階が全体を規定する。 酵素反応、薬物代謝、クリティカル・パス。
    2''
    ミニマックス(MiniMax)原則:被害最小の原理
     悪い 事態(mini)中で最善(max)策(被害最小) をとること。訴えられる事態が最小となる選択肢を選ぶ。
      相手の最大(maximum)の利益を最小化(minimize)する戦略。自分の最大の損失を最小化する戦略。
     マーフィー法則の適用楽観でなく、最悪の事態にも耐えられるよう対処
     SARS:最悪(感染爆発)の中の最善の選択(隔離・自宅待機):手洗い、うがい、super spreader予防の早期受診
     vs. 神風発想:すべて精神論でうまくいく。最後は神頼み。
     vs. 上げ潮・バブル発想:cf.マクシマックス原理:最良の好機の中で、最大の結果を目指す。

  3. 平均率の法則・確率の法則、コモンセンス・バランス感覚
     運・不運はある。不運・幸運の確率を考えてみよう:思ったより低い。上を見ても、下を見ても、きりがない。吾唯足るを知る。
     常識的な、平均的な所(世界・歴史基準)をみてみよう(コモンセンス)。勝負点は100点ではない、平均点はさらに低い。
     人間は神ではない、完璧・完全などありえない:不完全・不自由があたりまえ。完璧さの要求など無視しよう。
     人生の複雑な問題には明確な正解などない。全ての人に認められることや完璧な達成など絶対はない。
     思考実験でコントロール・基準状態と比較してみる。相手・敵の立場で考えてみる。
     不可避に協力:世の中には、なるようにしかならないこと(不可避)と、どうにかなることがある。どうにかなることに集中。
     全てがうまくいく最高の幸運もないし、全てが最悪な不運もない。全てにはプラス面とマイナス面がある。
     幸不幸を決めるのは、起きた出来事自体ではなく、それをどう受け止めるか次第である。 
     晴れの日もあれば雨の日もある。雨はいつかはあがる。雨の日は雨を楽しみ、風の日は風を楽しむ。
     何事もやってみなければわからない。時熟を待たなければならない時もある。人間万事塞翁が馬。
     つり橋を渡る時が来るまで、つり橋のことを考えて心配するな、前進せよ:人生の悩み事の大半はこれ。
     論理の奴隷になるな(理想(理屈)/絶対主義vs.現実/相対主義)。形式論理学の帰結は有か無(弁証法では有-無-成)。
     真理は法典の中にあるのか、自然の中にあるのか?コモンセンスで見直そう。cf. 大陸合理主義 vs. 英米経験論
     悩むより注意しろ悩むより始めろ・続けろ。ひとつひとつ、コツコツと。気楽に行こう、あきらめるな、落ち込むな。自分を信じよう。
     マーフィーは楽観主義者。Let it be (ビートルズ). ピンチはチャンス。

  4. 80:20の法則(パレートの法則、不均一の法則、要領の法則) 優先順・緊急度順・重要度順・頻度順・コア部分
     80%の利潤は20%の顧客から。組織の80%の評価は20%の人から。組織の業績の80%は20%の人から。
     80%の成果は20%の時間から。説得の80%の労力は20%の人にそそがれる。
     試験の8割は教科書の2割から。患者さん80%の疾患は教科書の20%の疾患。
     事故・リスクの80%は20%の部分から。問題はどれが20%(のキー・ドライブ)かである。
     大学教育の評価の80%は20%の学生から(上やonly one の10%?と下の10%?)
     法医学の80%は臨床の20%である(法医学の逆転80:20法則)。
     20:60:20の法則:20%のpositive(優良) group、60%のaverage(並) group、20%のlower(劣等) group。
      positive g.にはより高いchance、average g.にはmotivation、lower g.にはpanicを抜けるHowTo。
    80:20の法則のM-M式による帰結:Km=5% by 藤宮
     Michaelis-Menten式は、Effect/Vmax = C/(Km + C) よって、80% = 20/(Km+20)で Km=5となる。
     すると、50%の効果(Effect/Vmax)は5%から、66%(10/15)の効果は10%から、90%(45/50)は45%から得られる計算になる。
     人生10%の努力で60点(可)以上、なんとかなる。まず、始めれば50点、ちょっとがんばれば60点。案ずるより生むが易し。
     最初の90%の仕事に90%の時間を費やし、残りの10%にはさらに90%の時間を必要とする。
     100点(完璧主義)をねらうといって、困難があると知り、あきらめて0点のことがいかに多いことか。
     51:49の確率の個別事由についての決断も、繰り返すうちに80:20の結果の差となる。

  5. ハインリッヒの法則:1つの重大事件の前には29の小事故があり、その前には300のヒヤッとしたり、
    ハッとした経験(潜在的事故)がある(ヒヤリ・ハッと)。(この意味で、突発事故は予測できる)(1:29:300の法則)
    ものごとには、予兆がある(ヒヤリ・ハッと)。vs.慣性の法則:どうしようもなくなるまで、変えようとしない。
     アクシデント(事故)とインシデント(事故誘因)。(危機管理への投資の必要性)
    失敗回避のシグナル(ヒヤリ・ハッと)を気付かなかった(放置した)ことに失敗の原因がある。
     失敗は確率現象:ハインリッヒの法則の逆 = 0.3% (1/300) = 300倍のツケ,  = 3.3% (1/30) = 30倍のツケ
     千三つ:何かの賭けをしたとき、うまくゆくのは千に三つぐらいしかない(3/1000=約1/300)
     潜在的失敗の見積=失敗時の実損×0.3%(確率)
    ファインプレーの前には必ずミスがある。すべてのエラーはヒュウマン・エラーである。
    失敗のデータベース:http://shippai.jst.go.jp/fkd/Search
    三度目の正直。2度あることは3度ある。3度あることはたくさんある。
  6. 失敗となる愚かな決断: vs. 1)大局観2)現場・情報重視3)バランス感覚
    1) 大局的整合性・目的からの逸脱:局所的とらわれ(局所最善が結果最悪)。暗黙の了解と誤解。
      常識の非常識。歴史・世界・倫理基準。本質の見極め。あきらめるな、気をつけよ。基調としてのPositive thinking. 
    2) 事実・現実・現場に基づかない思い込み・飛躍した推論。誤認・エラー・知識不足・イメージ不足。事故・事件の可能性。
      あせった短慮vs.先送り・判断停止という選択肢。情報の信用度・優先順位・制約。臨機応変、不可避に協力。
    3) 自己中的な短慮。都合のよいことのみで推論。失敗・確率事象・相手の動き・環境の差の無視。集中力を欠いた推論。
      うまい話・満点な話はない。無限なものはない。絶対・完全・100点はない。マーフィーの法則。
      ハシゴはずし(foot in the doorな話)・詐欺脅迫・悪意・誤解に注意。小鬼はいるが大鬼はいない:適切な謝罪・方向転換。
    4) 集団での愚かな決定:職務分担の誤解・遠慮、反対でも無言・沈黙、協調という罠。手続き無視と不協和音。
      プロ・専門職・現場の判断・実情を無視する総合職の(意志論的)決定。危険性・不可抗力を証明することの難しさ。
      大失敗は現場の(戦術的)失敗ではなく、(総合職の)(戦略的)本質的失敗による。失敗の可能要因と実現要因。

  7. イメージの法則:イメージできなければ、マネージできない。(危機管理:医師も、患者も)
     思い浮かばなければ、診断(検案)(予防)できない。見たことがないのは、わからない。
     思いやる(相手の心をイメージし、共感する)ことは、生涯学習であり、医療の基本。
     最悪の予告は曖昧に小出し。告知後は、患者さんに心構えを持たせる準備も大事(病状変化への布石)。
     (最悪の事態、優先価値、指揮系統、情報収集・開示、特例と処分)
      とっさの行動が出来るのは、もともと知っていたか、何も考えていないかである:防災での訓練の必要性。
     賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ。イメージ学習としての歴史・教養学習。
     現実をイメージできなければ(現実のデータがなければ)、対処もできない。
     未来の自分(夢)をイメージできなかれば、自己実現できない。
     失敗のシミュレーション:失敗・事故・悪意などを想定して、対処・善後策(fool-proof, damage-control等)を考えておく。
     イメージ・トレーニング:成功をイメージすれば成功し、失敗を思えば失敗する。練習以上の力は出せない。
     Imagination is more important than knowledge. (A. Einstein)
     「ほっとくと悪くなる」、ともに病と闘う姿勢と信頼関係。「スピリッチュアル・ペイン」へのケア。尊厳を保った死と、みとり。

  8. 作用反作用の法則:すべての英雄的行為には同程度の反動を伴う。
     人は心の鏡:好けば好かれ、嫌えば嫌われる。追えば逃げられ、逃げれば追われる。北風と太陽。
    前向きの言い方をすれば自分も前向きになり、逃げの言葉を発すれば、部下も自分も逃げるようになってしまう。
    患者さんと話すときに、あとずさりをしてはいけない。 人との、最初の1分(6秒)、最後の1分
     患者さん・ナースの前で自信のなさそうな顔をするな:せめて、難しそうな顔をしろ。
    病は気から。Negative効果・マイナス思考はどんどんうっ積し、自殺的。疫病神からは逃げろ。
     死や性悪説を思うとマイナス思考となり、自分も人も消耗する。悲しいから泣くのではない、泣くから悲しいのだ。
    コミュニケーションが苦手といいわけにするな。相手の心に飛び込まなければ、何も起こらない。
     一寸の虫にも五分の魂。盗人にも三分の理。泥棒の逆恨み。患者の医師への依存(感情の転移)。
     チャンスとリスクは比例する。小さなチャンスには小さなリスク、大きなチャンスには大きなリスク。

  9. いわずの法則
     何かを口にすれば、それが良いものならば消え去り、悪いことなら現実となる。
    THE UNSPEAKABLE LAW: As soon as you mention something, if it's good, it goes away, if it's bad, it happens.
    「わからない、どうしよう」と口に出すな。「できない」「難しい」などの否定語を患者さんの前で使うな。せめて、難しそうな顔をしろ。
    検事いわく:弁論が勝負だ。君の不安を見抜かれたら終わりだ。事件のことを知らないような言動をしたら君の負けだ。
    リーダーは「困った」と口にしてはいけない(加藤紘前学長、高杉晋作)。
    言霊(コトダマ)の呪縛と 神風。沈黙は金、雄弁は銀。 
    いわずの法則 ;法医学版:  解剖のことを口にすれば、依頼電話がくる。
    ミチルの法則 :続く時には同じような解剖ばかりが続く(椹野道流:鬼籍通覧 シリーズ(講談社X文庫))

  10. Positive (plus) 効果:Positive表現・Positive対応・Positive(プラス)思考の効果。上げ潮発想。 
    プラス思考=未来思考:積極的にできることから始めよう。失敗してももう一度やればいい。やってみて考えれ(学べ)ばいい。
    プラス思考をするには戦略的思考が必要:希望や善・楽しいことを思おう(未来志向):Positive効果。
     直感を信じよう。時熟を待とう。どうにかなるさ(Let it be)。神様は見ている、汗・涙(努力)は報われる。
    マイナス思考=過去思考。マイナス思考(不安・恐れ・自己否定・他者否定・エゴ)に負けるな。人を呪わば穴二つ。
     Negative思考は切り捨てろ。虫になろう。逃げるな、何も解決されない、一歩だけ進もう。不運もある、休もう。
    ちょっとした思いの違いで人生は楽しくも苦しくもなる:どうせアホなら、踊らにゃ損々(プラスプラス)。
     1) Smile, 2) Magic words (Thanks, Sorry, Please, Great, お陰様で) and 3) Positive-thinking(明日があるさ).
    病気に対しては常に楽観的にPositive thinking. Start with smile, and 「お待たせしました」
    Narrative-based medicine (NBM)語りの医学:アート、気配り・思いやり・熱意・説明
    10年後(未来)を基準に現在を見る(プラス思考)vs.過去の悪経験を基準に現在を見る(マイナス思考):世の中は進歩している。
     1)自分を信じる(Yes, I can)。2)平均率の法則・バランス感覚。3)夢・長期戦略・行動目標を考える。4)不運もある、休む。
    裸足の原住民の土地に来て:靴のセールスマン。靴が売れない(マイナス思考);靴が大量に売れる(プラス思考)。
    注射(医療技術)は、躊躇せず、(慎重かつ)大胆にやった方が痛くない(きれいに治る)。
  11. ツキを呼ぶ「3つの魔法の言葉」(五日市剛、イスラエルのおばあさん):言葉を変えると運命も変わる。
    1) 嫌なことがあったら「有り難う。ありがとう」。  「ピンチはチャンス!」。幸せは「不幸な顔」してやってくる。
    2) いいことあったら「感謝します」。
    3) いつも前向きに「ツイてる!」。   
    不安や心配事は「キャンセル、キャンセル」。
    汚い言葉を口にすると、その言葉通りの人生になる。
    してはいけないこと:「汚い言葉を吐くこと」「怒ること」
  12. マーフィーの仕事の三法則:               1) 最初に何かの手違いがあると、後まで続く。
     2) 何事も見た目ほどやさしくない。     3) 何事も考えたより時間がかかる。
    何事も初めからできる人はいない。毎日、少しずつ、やりやすいことから、コツコツと向上のプロセスを大事にしよう。
    まず60点で「やりきる・まとめる」、次にそれ以上:繰り返しの中に小さな悟りや喜びがあり、仕事のレベルアップが起こる。
    仕事は自分で見つけるもの、自分で作るもの。
    仕事上のヒト関係の3原則:1)思いやり・感情への配慮・ラポール・共感  2)手続き重視  3)気力・情熱
     1)思いやり
    ・ラポール:Magic words & Smile.相手の身・気持ちになる。感情への配慮:共感・誠意。ささやかな心づくし。
                  相手にとっての利得は?win & win。信じる。give & take,
     2)手続き・プロセス重視:根回し・段取り、情報(証拠)・根拠、foot in the door。名より実(目的の明確化)。
     3)気力・情熱。気は伝わる。熱意。気合い。共感・共有できるコンセプト。

  13. 仕事の4原則:1)「ゴール」2)「段取り(要領)」、3)「見切り(覚悟・選択)My best」と4)「ツメる(集中・やる気)concentrate」
     0) ground design/policy/concept 大局(太極)が最終的成果を決める。長期展望。
     1)ゴール設定(具体的行動プラン)Outcome-base;行動目標。よく錬られたgoal-image(strech goal).
       Goal-control. マイル・ストーン(短期・中期目標)。80点主義(80:20の法則)

     2)
    段取り(要領)が悪いと後まで続く。イメージの法則(イメージできなければマネージできない)。
    Time is money.
       
    優先順位(緊急度・重要度・実現可能性)、人に任せる。時間と金のコントロール。
     3
    )覚悟・選択・決断見切り発車に、見切り終了。万全の準備・状態(思い通り)はない。My-best。80:20で見切り(状況判断)。
       創意工夫。TPO・流れ・臨機応変。敵の視点。ピンチはチャンス。歴史的視点。確率の視点。
       アイデアは対象の中にある:考え込むな気をつけよ。マーフィーの法則。
     4)
    ツメる (まとめる、やりきる、集中する、根気 、やる気、思い切る、勇気、本気)ことができないといつまでも0点(ツメが甘い・気を抜く)。
        戦の勝敗は最後の5分間にある。熱意・情熱、あきらめない。プロに徹する。根・本・勇・やる・元
       
    一事が万事。神は細部に宿る。一球入魂・一期一会:納得のいく仕事。時間は多くあるようだが、 機会は意外に少ない。
        集中時間の確保;アイデアの湧く、神の降臨の時。メモる。
    プロとは、徹しきることにあり、誇りと責任を持つことにある手を抜かず真剣にプロとして取り組もう、さもないと後悔することになる。
    時計をみるな(エジソン)。僕は最後まで手を尽くした(シートン)。職業はなんでもいい、ただ第1人者たるを心掛けよ(カーネギー)。

      プロとは、たとえ毛が3本でもキッチリ散髪して、お客さんに満足してもらい、料金をもらうようなもの。
    仕事(研究)の基本は、結局は
    人海戦術情熱。ひとりなら、労をいとわず、 集中体力勝負創意工夫
     人間、考えることは皆同じ。スマートなことは既にされている。実践の中にアイデアが生まれる

    斉藤孝氏の現代を生き抜くための3つの力:「まねる力(技・心)」「段取る力」「コメント力(含;質問力/要約力)」
    ただの思いつきでできるようなものは、世の中に断じてない(アインシュタイン)。
    何事も、やってみなければ(楽しむ程にならなければ)、その本質はわからない。自分の可能性に挑戦する。
    金が全てではない、だが、何事にも実行には、金と時間がかかる。善行・ボランティア精神にも金が必要となる。
    いい仕事をするには、まず自分が楽しまなければならない。自分にできることを行い、自分にしかできないことを行う。
    一事が万事(一事をとことんすると万事に通じる、一事を満足にできない人は何事もできない)。神は細部に宿る
    小さいことに気づかない人は、大きいことにも気づかない。大きな仕事も小さな仕事の積み重ね。
    小さな差の積み重ねが大きな違いとなる。あたり前が大事。迷ったときは困難な(悔いのない)道。
    イザというときにキッチリやります vs. 「日頃キッチリやったことがないのに、いざというときにキッチリできるわけがない
    千里の行も足下より始まる。アリとキリギリス。亀と兎。蟻の穴から堤も崩れる。「知ってる」ことと「できる」ことは違う。

  14. ビジネス枕詞とホーレンソウ(報告・連絡・相談 :仕事はチーム):コミュニケーションの潤滑油 cf. ビジネスマナー
    3つの基本スキル:1)テクニカルスキル.2)ヒューマンスキル(コミュニケーション・問題解決・危機管理力).3)コンセプチュアルスキル.

    仕事の基本は、コミュニケーション。その35%が言語的コミュニケーションでしかなく、65%は準言語的・非言語的コミュニケーション(いわゆる印象)。
    人間関係の基本は、1) Smile, 2) Magic words (Thanks, Sorry, Please, Great, お陰様で)と、3) 思いやり・寛容、give & take。
     恐れ入りますが・お手数ですが、−−−お願いできますか:
      Yes, かしこまりした・承知いたしました。 
      No, 申しわけございませんが・ごもっともですが・残念ですが、いたしかねます・わかりかねます。
        私の一存では決めかねますので、申しわけございません。大変失礼ですが、おそれいります。
    時間厳守(相手の身になり、時間を無駄にした責任を考えろ)、挨拶、公私混同しない、礼儀を守る、チームワーク。
    現代日本では、挨拶のできない医学生やNEET (Not Education, Employment and Training)が問題となっている。
    英米圏では、Magic wordsは小学生低学年で身につけさせられる。できるけど、やらないのは、できないに等しい。
    「つまらないヨ」光線を撒き散らしながら、仕事するなら、周りに迷惑。皆、我慢しているのだ。
    どうせ仕事するなら、「ワリキッテ」楽しくしよう。「つまらない」と思いながらすると、ストレスで胃に穴が開く。
    結果をおそれず、当たって砕けろ。力が足りない分は自分の汗で補え。そうすれば道は開ける。
    前例は作るものだ、前例が前例たりえた理由と背景まで探れ。
    集中力の原則:
    1)環境を整える;脳を余計なことに働かせない。雑事・雑音・雑念を除く。
    2)集中には限度がある;リラックス・気分転換・リセットも必要。16分に4分、48分に12分休憩。
    3)集中への戦略;集中の儀式 cf.呼吸法(正しいため息)・単純作業から。分割小目標と集中ワード(ご褒美と励まし・ポジティブ)。

  15. 不安の法則
    1) 不安は存在を開示し、根源的無に根ざす(ハイデッガー)。不安は実存のもつ本質的矛盾に根ざす(キルケゴール)。
      不安には愛・勇気・覚悟とプラス思考・楽観主義・「今に生きる」で対応するしかない。 
    2) 不安は無にならない。100%も0%も、完全・絶対もない。100%の安全もない。 ->楽観的に見てみよう。
       心配事の92%は取り越し苦労。心配事の80%は実際には起こらない。本当に心配に値するのは、全体の4%にすぎない。
    3) 不安は悪循環により、増強・相乗反応する。マイナス思考・ネガティブ思考・悲観傾向で増強する。
    4) 不安に圧倒されると、思考停止となり、愚かな選択・行動や過剰・過敏・パニック反応をしてしまう。
      悪魔のささやき、マインド・コントロールに負けそうになることもありえる。
    5) 不安は伝染する。共振し、社会不安・群集心理となることもある。
    6) 不安は悪用される。不安につけ込まれ、詐欺・犯罪や政治(cf.ヒットラー)・商売などに悪用される。
    7) 不安に対しては、事実に基づく理性的判断(cf, EBM)と常識(歴史的基準・世界的基準・体系的基準)が必要。 
      悩みの大半は情報不足による(情緒反応vs.現実主義)。情報があれば自然に答えがでる。
      最悪の事態は思ったよりたいしたことはない。勇気をもって現実を受け入れ、よく生きることを前向きに考えよう。
      真の個人主義・独立自尊により、不安に打ち勝とう。

  16. 原因と結果の法則 (causality)
    物事の現象には必ず理由がある(探偵ガリレオ)。現象−実体−本質の弁証法。
    人間は自分が蒔いたもの(愛・恵み〜敵意・憎しみ)を刈り取ることになる。扉はそれを叩く者に開かれる。求めよ、さらば与えられん。
    人間は思いの主人であり、人格の制作者であり、環境と運命の設計者である(J.Allen)。 cf. Matrix: reloaded.
    人間を目標に向かわせるパワーは、「自分はそれを達成できる」という信念から生まれます。疑いや恐れは、その信念にとって最大の敵です。
    「楽しい思いは、どんな医師よりも上手に肉体から病気を一掃します。善意は、どんな癒し人よりも速やかに、嘆きと悲しみの影を霧散させます。悪意・皮肉・疑い・羨望などで心を満たしつづけているとき、人間は、自ら創りあげた牢獄の中に、自らを閉じこめているようなものです。一方、つねに愛に満ちた思いをめぐらしながら、あらゆる人に好意を抱き、あらゆる人と楽しく接し、忍耐をもってあらゆる人に良いものを探し続けることは、天国への王道です。 あらゆる生命体に対する深い思いやりとともに毎日を生きる人間には大いなる安らぎがもたらされます。」
    「気高い夢をみることです。あなたはあなたが夢見た人間になるでしょう。」(原因と結果の法則、As a man thinketh, J.Allen, サンマーク出版)
    「きれいな心と、けがれのない思い。これが健康の秘訣です。<法則>への不動の信頼と、賢く導かれた目標。これが成功の秘訣です。そして、強い意志の力で欲望という暴れ馬をコントロールすること。これがパワーの秘訣です。」
    「心を広げることです。そして、そこを愛と寛大さで満たし、他の人たちへの奉仕を優先することです。そうすれば、あなたには、延々とつづく大きな喜びとともに、あらゆる繁栄がもたらされることになります。」(原因と結果の法則 2 The path of prosperity, J.Allen, ibid.)
    「恵みがほしいならば、恵みを蒔くことです。幸せになりたいならば、人々の幸せを願うことです。」
    「憎しみ、敵意、怒り、自己愛などに捕らわれているとき、人間は、真実を見る目を失っており、いやでも不正義をみることになります。」
    「人類愛は、万人に対する真の愛と思いやりを忘れない、平和な心の持ち主によってのみ育まれ、体験されるものなのです」
    「人類愛を妨げる4つの要素:過剰なプライド、自己愛、憎しみ、非難癖。4つの神聖な要素:謙虚さ、自己放棄、愛、思いやり
    「人類愛とは、外側から包み込むものなどではなく、個々の人間の内側から発するものである」(原因と結果の法則 3 J.Allen, ibid.)

  17. The golden rule. 黄金律:ほとんどの宗教にみられるrule
    So in everything, do to others what you would have them do to you, for this sums up the Law and the Prophets. (Matthew 7:12)
    Do as you would be done to(己の欲する所を人に施せ:肯定形). vs. 己の欲せざる所、人に施すことなかれ(論語:否定形)
    ? 黄金比 1 : 1.618
    マーフィーの黄金律:「自分の人生は自分の心の中に思い描いた通りになる」
       もし欲しいものがあったら、「もうすでに手中にある」と思って行動しなさい。
    0)現実の法則:人間は思いの主人であり、人格の制作者であり、環境と運命の設計者である(J.Allen)。事実は思いにより、幸にも不幸にもなる。
      現実を否定しても何もよくならないし、逆に悪化してしまう。現実は受け入れ・許さなければならない。許す勇気。
    1)潜在意識の法則:「良いことを思えば良いことが起き、悪いことを思えば悪いことが起きる」 我々は潜在意識と伴に生きている。
      潜在意識は直感や感性として現れる。潜在意識の全能性を信じ、まかせる=自信・勇気。心の数%が意識で、潜在意識は90%以上。
      「自分にはできるんだ」という根拠のいらない自信があればいい。かのごとく振る舞う!でもよい。
    2)潜在意識の現存在性:潜在意識には「今しかない」、「今、できることに集中しよう」 過去や未来には生きられない。過去は水に流す。
    3)潜在意識の慣性の法則:現状維持傾向:心のブレーキとなる。新しく始める時は、スタートはできるだけ丁寧にゆっくりとやる。
      潜在意識の悪循環:潜在意識は答えを求め続ける;答えのない問いには疲弊する。悩むより、やってみよう、失敗から学べばいい。
    4)潜在意識の拡大の法則:潜在意識に取り入れられたものは 善・愛・快・楽しみ・富 も 悪・不安・恐怖・苦・困窮・批判 も拡大する。
      悪いものが拡大することがないように、愛、誠実、確信、笑い、快、善意をとりいれなさい。 笑顔・笑顔!暗い顔はますます暗くなる。
    5)潜在意識の見返りの法則:見返り(報奨)により潜在意識は強化される。良い見返りを自分で作ろう。人を褒めよう(自分も褒められる)。
      見返り(賞賛・成功体験や批判・悪口・恨み・無視)により、善・愛・快・楽しみ も 悪・不安・恐怖・苦・困窮・うつ も増強する。
      人を恨まば穴二つ:恨むという見返りは自分をも苦しめる。許す勇気は自分のため(あとは天に任せる)。
    6)潜在意識のイメージ原則(目標を伝える原則):よい成功イメージ(心の絵)を持つ。恥ずかしがってはいけない。肯定型で、繰り返せ。
      潜在意識は否定形が苦手:失敗しないは、失敗する。ノー・ミスは、ミスをする。-> 行ける!できる!ついてる!成功状態のイメージ。
      言葉はポジティブ・肯定的に使う(否定形を理解できない)。一人称で語る;--できつつある。 --良くなっている。常に現在進行形で語ること。
      「快」の感情エネルギーを注ぎ込む。チョットだけやってみる。小さな成功を生かす。リラックスする。義務化しない。他人と比較しない。
  18. 引き寄せの法則:思いは現実を引き寄せる;Law of Attraction. The secret.  Thoughts become things.、思考は現実化する
    良いことを思えば良いことを、悪いことを思えば悪いことを引き寄せる。Think and speak positive.
    「抵抗するものははびこる(ユング)」  反戦集会より、平和集会へ(マザーテレサ)
    1)Focus on the Positive, Image and Dream for 17sec. Create and image your own paths. 
       Negativity-control; Eliminate your limiting-belief.  Be free from negative thinking and negative acting people.
    2)Rely on the Law. Meditation. Believe. Hope.Thanks.  Smile. Love.  
    3)Affirmation, Visualization, Change attitude and phrase(positive words).  Do it. Action. Allow/forgive.

  19. 存在の法則:存在するものには意味がある;人生の意味と使命、気づき(悟り)と学び(非日常的世界)。
    存在するものには初めと終わり、表と裏、光と影、プラスとマイナスがある。存在するものには寿命・歴史がある。
    Everything that has a beginning has an end. 
    cf. Matrix: revolutions. 初めがあれば、終わりがある。
    我思う故に我あり(デカルト方法序説) vs. 「有る」(実存哲学、存在と時間、現有、ハイデッガー)。
    有−無−成 の弁証法:同一律・予定調和−ニヒリズム・性悪説−有と無の闘争による生成
    あらゆる事物は価値を有しているが、人間だけは尊厳を有するべきである(カント)。
    存在の意味、存在の謎と哲学、実存的空虚vs.意味への意志(VEフランクル)
    人生の意味への問いに対しては、ただ実例としての、実存的な答えしかあり得ない(VEフランクル)。
    人生の価値体験:1)態度価値、2)体験価値、3)創造価値。いのちを扱う限り、(言える)答えはない
    生きることの意味は何かとは言えない。けれども、つねに意味というものはある(メルロ・ポンティ)。
    「生き生きとよく生きよ」ゲーテ。
    自分自身の人生を無意味に思う人は、不幸であるばかりか、生き抜く力も湧いてこない(A.アインシュタイン)
    「いのち」とは、君の使える時間(日野原重明先生)。時間への欲望:短くしたい(即時)・長くしたい(不老不死?)
    死は無だ(ニヒリズム,力への意志)(I-me-mine-0) vs. 永遠の生命への帰還(命の連鎖、生かされている・信じる心、人間学)(me-we)。
    エポケーに耐え続ける:教養主義。天命・天職・成長・独立自尊。
    人間にはそれぞれ与えられた使命がある(クライブ)。天知る、地知る、我知る、汝知る。
    存在するものには、評価(認知)できるもの と 評価(認知)できないもの(隠れた・言語化できない意味)がある。無意味と非意味。
    ニュートン力学では存在者(物質)がなくても時空は存在したが、アインシュタイン後は存在者(物質)がなくなれば、時空もなくなる。
    存在の2問題:なぜ宇宙・世界は存在するのか?なぜ or はたして、ヒトはそれを理解できるのか?
    (日常的社会では、経済的に・色メガネで見て)価値あるもののみが存在していると認知される。
    価値とならないもの(自然など)は存在しないものとして無視される(見逃される)
    生物の特徴は多様性:ビジネスモデルではヒトの多様性を経済性・効率性から絞り込む傾向がある。
     安全・自然・水・空気は価値がないと判断されれば無視される。cf.開発予定地の自然はないものとされる。
    報告例(確定例)とならないもの(薬害・事故などの疑い例)は存在しないものとして無視される。 そして、事故・事件が起こる。
    ヒト・潜在意識は自分のフィルター(cf.バカの壁)を通して世界と接している(都合よく誤解する傾向がある)。
    なぜ(Why)生きるかを問うのではなく(言える答えはない)、いかに(How)に生きるかを問え

  20. 神秘の法則:我々が体験しうる最も美しいものとは、神秘です。これが真の芸術と科学の源となります。これを知らず、もはや不思議に思ったり、驚きを感じたりできなくなった者は、死んだも同然です 。(A.Einstain)
    大切なのは、疑問を持ち続けること。神聖な好奇心を失ってはいけない(A.Einstain)。
    好奇心は、それ自体に存在理由があります。永遠や人生や実在の不思議な構造といった神秘についてよく考えてみるなら、畏敬の念をもたずにいられないでしょう。毎日、この神秘を少し理解しようとするだけで十分です。(A.Einstain)
    わたしは天才ではありません。ただ、人より長くひとつのこととつき合ってきただけです。(A.Einstain)

  21. 相対性・有限性原理  絶対なもの・完全なものはない。現実・社会・人生に絶対の正解はない。
     絶対空間・絶対時間はない(相対性理論)。
    無限なものはふたつあります。宇宙と人間の愚かさ。前者については、断言できませんが 。(A.Einstain)
    絶対の答えがないのが普通:答えのある問いと、答えのない問いがある。どうにかなることと、どうにもならないことがある。
    「自分探し」に絶対の云える(癒える)答えはない。未来(未だ来ない)ではなく、将来(将に来る)のである(No fate)
     医学・医療に絶対はない:医学・医療はまだ未熟。進歩のためには社会・患者さんの協力が必要。
     法医学にも絶対はない。物理世界に絶対はなく、相対。世界に無限はなく、全てが有限。環境も有限。
     絶対に安全な医療もない。「安全の完全化」という幻想。Risk vs. Benefit のバランスの中にある。
     常に統計的危険性を伴う。統計的危険性は人災なのか天災・不可抗力なのか?
     科学における高精度のスリー・ナイン(99.9%)。 However, 99.9%安全でも1000人に1人、10万人に100人は??。

  22. 力(運動)の方程式。 力は質量と加速度の積で求まる。F=
     力を大きくしたければ、もの(人・物・金)をつぎ込むか、変化のスピード(機動力・効率)を挙げよ。
     仕事の式 : 仕事の量は力(作業行程)の量と作業距離(作業時間)の積に比例する。W=Fh
     知識は力なり。時は金なり。仕事は知識(知恵)と金の積: 知識が多ければ、金が少なくてすむ。

  23. 慣性の法則。たいていの社会は、犠牲者が出て、他の人々の生活に支障をきたすまで、悪弊を正そうとしない。
     たいていのものは、どうしようもなくなるまで、変わろうとしない:生物進化も同じで、過去を引きずる。
     日本の中毒学のレベルは、サリン事件・砒素カレー事件で一挙にレベルアップした。cf.トラックのハブ欠陥、回転ドア。
     全員が同じように考えているときは、誰も考えていない。When all think alike, no one is thinking.
     全員一致の結審は無効(古代イスラエル)。全会一致、多数決・数の暴力 vs. 少数意見の尊重。

  24. エネルギー保存則
    運動エネルギーを大きくしたければ、ポテンシャルエネルギー(潜在エネルギー・位置エネルギー(志))を大きくしろ。
    感情エネルギーは無視すると保存される続けるが、感情を自分のものとして感じる(発散する)と変わっていく(カタルシス)。
    怒りを抑え込むとその感情は保存されるが、発散すると消えてしまう。怒りは第2の感情。愛は憎悪の初めなり。
    感情エネルギーを蓄積し続けると、キレたり、自傷他害へと向かうことがある:上手に発散しよう。
    うつは感情エネルギーが行く場を失い、虚数として蓄積された状態。新しい転成への産みの苦しみでもある。

  25. 四苦八苦(仏教)
    生・老・病・死の四苦と、愛別離苦(愛する人との死別)、怨憎会苦(憎い人と会う)、
    求不得苦(求めるものが得られない)、五取蘊苦(体や心から起こる苦しみ)
    煩悩是道場。 色即是空 空即是色(鳩摩羅什)
    医師(医療人)と坊主(僧侶)と弁護士は人の不幸を飯の種とする?だから、高い倫理性が要求される。不幸につけいってはいけない。
    根拠に基づく医療(EBM)の重要性:西洋医学・代替医療といった問題ではない。診療結果への科学的根拠が必要。

  26. 愛とは時間を割くことである。気持ちを受け取ること(共感)と、認めること とは違うささやかな心づくし。
    いかなる善行も割に合わない。だが、愛は存在し、善行は前進する。
     人生は思う通りにいかない。人生は失望の連続なのに、・・・(Third watch)。
     現実は不条理である。だからといって、どうする?それでも、愛は存在し、市民社会は進化してきた。
    性悪説では世の中進まない。方法としての性善説、手段としての性悪説。
    現代の自由・民主社会は、歴史的に多くの犠牲と愛のもとに出来上がった:当たり前は当たり前ではなかったのだ。
    各人に固有の時間がある。時熟を待つ。説得はできない、悟るのである。
    3種類の「愛」: 排他・独占的なエロス、わかちあう喜びのフィリア、慈愛・自己犠牲のアガペー
    愛を語らずして、性教育や人生教育はできない現代こそ、愛 について考えることが必要。
    自分が既に愛されてきたことへの気づき(家族愛・人類愛)
    が大切。愛には犠牲が伴う(日野原重明先生)。
    慈母の涙も化学的に分析すればただの少量の水分と塩分だが、あの頬を流れる涙の中に、化学も分析し得ざる尊い深い愛情のこもっていることを知らなければならぬ(ファラデー)。
    「痛い」に、「どこが、どのように」(原因追及型)vs.「そうだね、痛いんだネ。一緒に闘おうネ」(共感)
     「こういう状況で(認知)、こう感じたわけ(気持ち)(情意)、だから、(ケース別の問題解決)(行為)」
     根治療法(原因追及)より、対症療法(個別具体的問題解決を志向)と自然治癒力。
     風邪だって、根治療法でなく、対症療法+自然治癒力による。

  27. 悪の保存則。  いかなるシステムにおいても悪の総量は不変である。
     改善しても新たな悪が生まれる?小さな悪が減って、大きな悪となる?
     犯罪の質は時を経てもあまり変化していない(率は増えてもいないし、凶悪化もしていない)。
     少年犯罪は質が変化(古典的非行少年像:貧困・欠損家庭・知的障害、現代:普通の子?発達障害・家庭問題・トラウマ)。
    異常なものは、正常なものも異常にする。絶対の権力は絶対的に腐敗する(JEアクトン)。
    「人間はどれほど善良に生まれつき、どんなに素晴らしい教育を受けたところで、やすやすと堕落してしまう(マキャベリ)」
    悪への予防・抑止の必要性:健全なる謙抑・寛容主義、権力の分立(三権分立・拮抗・独裁者排除:モンテスキュー)
         vs. 官僚・組織の無謬性  ??? 第3者機関・NPO・ Public・地域社会運動 の必要性
      手続きが民主的で正当でも(ワイマール憲法下)、ヒットラーは独裁者となった。共和制から帝政への歴史。
     悪法もまた法なり(ソクラテス)。 人を騙して賢いと思う人がいる。騙された人が悪いと考える人がいる。
    人は自分の能力を測るのに、その破壊力をもってする(バーナード・ショー)。

    死と悪のゲーム:悪と死により生を確かめる愚かさ。
    人は幸福と間違えて悪を選ぶ(ウルストンクラフト)。 悪事の多くは美名に隠れて行われる(マクドナルド)。
     悪化を避けようとして最悪を為す(犯罪ではよくあること)。「私は悪い人間じゃない。愚かなことをしただけ−(バベルより)」
    悪はいつか顕在化する(ばれる)(悪に関するマーフィーの法則)。
    人間の自由に悪の必然の根拠がある(シェリング)。悪の根源は自由の弁証法的な性格の中にある(ヘーゲル)。
    善と悪との弁証法的相互関係:善(美)は悪(醜)を知るほどよくわかる。善(美)は善(美)の中ではわからない。美は悪を知り、より美しく。
    エロス(生の本能)とタナトス(死の本能)の2元論:フロイト。攻撃とは死の本能という自己破壊エネルギーの方向が他者に向けられること。
     悪人は善人の中で生きられるが、悪人の中ではいつまでも生きてはいけない。悪魔は悪魔を知る。
    自己実現(自己と他者の差異化)と弱者差別・排除(スケープゴート心理)との弁証法的関係。スケープゴート心理の内在の認識と克服。
    自由(競争) vs. 差別・不正・情報の偏在・悪の自由: 公正への監視の必要性。  平等 vs. 悪平等・封建的秩序
     自分に内在する悪を背負い、克服する:(カント的)自律的自由
    悪の内在を前提とする現実主義・性悪説 vs. 悪を否定する理想主義・性善説
    人間の邪悪な心を変えるより、プルトニウムの性質を変える方がやさしい(A.Einstain)。
    現代の事故:局所改良で、全体最悪 (全体・原則の見えない人が、局所で改良し、大事故化)。 
     わからないなら、さわるな:見えないリンクがある。心配で補強したところに、よく事故が起こる。
     デザイン・レビューの必要性。当事者の視点からでしか正確に伝わらない。
     遠慮のかたまりが失敗の温床となる。 過度の経済性追求が技術を殺す。
    儲ければいいというものではない、いい仕事をしよう。市場原理とプロフェッション原理・倫理は別。

  28. エントロピー増大の法則  : (エネルギーを入れないと、乱雑さ(悪習)は増大する)。
    悪習は良習を駆逐する(事故・感染対策がいい加減になる)。
     楽なことをいう先輩はもてるが、まじめ(面倒)なことをいう先輩は疎まれる?(組織腐敗vs.構造改革)
    The only thing necessary for the triumph of evil is for good men to do nothing. 善なる人々が行動を怠れば必ず悪が勝利する(Eバーク)
    はじめの小さなたったひとつの過ちが最後には無数の過ちとなる(白い巨塔) :悪のパンドラの箱(開けるとおさまらなくなる)。
    生命とは、エントロピー増大の法則の中の、動的平衡 を通しての ゆらぎ の存在なのか?
    現場保存:最初の1時間が勝負。さもないと重要な証拠が散逸する。

  29. Radical Shiftの法則 : 集団は極端に走る( cf.リンチ事件・いじめ・会議・暴動・襲撃事件? 群衆心理 vs. 常識)。
     横断歩道、みんなで渡れば恐くない? 集団主義は無責任、雰囲気と強がりに支配される。
     課題のないグループは退行する(依存・逃避・闘争)。小人閑居して不善を為す。
    無理を通せば道理が引っ込む。朱に交われば赤くなる。
    論理の奴隷になると、非常識まで正当と思ってしまう。

  30. 生命・医療倫理の4原理: Beneficence, Do no harm (nonmaleficence), Autonomy, Justice.
    (0)語ることのできない(超越的な)実存・尊厳の原則:生涯にわたる(自律的な)人格の陶冶 (独立自尊)(自律尊重と表裏一体)、
      愛・真理・善・美・寛容・勇気・慈愛への修行(恩恵原理と表裏一体)、人間の尊厳・実存・気づき(悟る)=倫理の基本
      生命・人格・人間の尊厳:法益と個人の利益の保護、人権。
    (1)恩恵(仁恵・善行)原理(思いやり) Beneficence  善良なる医師・個人として、「気も病む」 、医療倫理の基本、golden rule.
    (2)無危害原理(他者危害排除の原則・不快禁止の原則) Do no harm, nonmaleficence.; No one is perfect. Knowing your limitation.

    (3)自律尊重原理(自己決定原則) Respect for Autonomy  自立的個人として +情報開示・患者教育、契約関係、生命倫理学の基本
    (4)公正(正義)原理(社会的公正、歴史的・世界的基準、情報開示) Justice
    医行為の正当性・違法性阻却論:1)患者の承諾:説明事項とICの取得手続、2)診療予防目的:倫理的妥当性、
       3)医学的妥当性と侵襲最小化(リスクの許容性):科学的正当性
    医療におけるジレンマへの切り口。生命倫理学と医療倫理とは違う。Informed consentからinformed choice
    恩恵モデルの実践もできないものが、自律尊重などというのは危険。恩恵原理は医療の基本であり、autonomyとのバランスが重要。
    実存・尊厳の原則を放棄した生命倫理学者は倫理の基本を放棄している。ナイチンゲール精神はまさに恩恵原理である。
    医学教育において、現在では、「医療における経験則に基づく思いやり」をいかに教えるかがより重要となっている。
    生命倫理学者や医事法学者がパターナリズム批判するのはよいが、医学生にとって良いパターナリズムを身につけることは基本である。

  31. ベルモント・レポートの3原則:人を対象とする研究の倫理基準(1978)
    1)人格の尊重(respect for persons):個人を自律的(autonomous)な主体として扱う。自律性の低下した人格を保護する。
    2)恩恵(beneficence、善行):己の欲するところを、人にも施せ。=> Do no harm.
    3)公正(justice):研究のリスクや潜在的な利益は、研究による利益を得る者に平等に分配する(配分的正義)。

  32. ヒトを対象とした医学研究を実施する上の要件:ヘルシンキ宣言
    科学的正当性と倫理的妥当性。
    1)被験者の不利益の可能性の評価と、社会的安全性を担保する指針
    2)人類の健康の維持・増進に関する研究
    3)被験者の自由意志によるインフォームド・コンセントの取得
    4)被験者の尊厳とプライバシーの保護
    5)被験者の福利が科学的・社会的利益より優先される条件下
    6)当該研究とは独立した委員会による承認
    7)科学的論証性・正当性・透明性のある研究計画
    8)研究対象ないし対象集団がその研究結果から利益が得られる相当な可能性がある

  33. 臨床倫理の4分割法(Jonsen):
    1)医学的適応:恩恵・無害の原則。診断と予後、治療目標、効用とリスク、無益性
    2)患者の意向:自己決定の原則。患者の判断能力、IC、治療拒否、Living will、代理決定
    3)QOL:幸福追求の原則。QOL、影響因子、誰の決定か
    4)周囲の状況:公正と効用の原則。家族や利害関係者、守秘義務、経済的側面・公共の利益、診療形態 、法律・慣習、情報開示、医療事故

  34. 4 (+1)つの価値観:
    (1) カント流の義務論(人格の尊重・人権・古典的倫理、見えざる手による調和、大陸法系・法典主義、哲学好き 、論理の奴隷)
           ルソー(社会契約説)、アダム・スミス(見えざる手による予定調和) cf.ラマルク:用不用説
    (2) 功利主義:最大多数の最大幸福(ベンサム)、プラグマティズム、力の均衡、英米法系・陪審員主義、コモンセンス 、手続的公正)
           ホッブス・ロック(万人の万人に対する闘争と社会契約・法治)、自律尊重 cf.ダーウィン:自然選択・適者生存説
    (3) 右翼主義:因習・宗教・カリスマ(人治)・極右(翼)主義・全体(組織体)主義・官僚主義?、民族主義、愛国主義。
           保守・現実主義:悪の存在を前提に最善を目指す。
    (4) 左翼主義:反権力・反カリスマ、(超)個人主義、自治・自律、利己主義、極左(翼)主義・無政府主義、世界市民主義。
           革新・理想主義:悪を否定し、最善を目指す。
    (5?)教養主義:「無知の知」に耐えつづける。義務論と功利主義のバランス、右翼・左翼主義等に悩み考えつづける。
    21世紀はエコとエゴ。将来への不安の解消。自然の生存権。年少者保護。取り返せぬ事態発生への危惧。「無知」のヴェール。
    愚行権。第3者のための干渉(cf.クローン人間・脳死臓器移植)。当人のための干渉(cf.ドラッグ・シートベルト)。

  35. 多数決(多数支配・強者の論理と弱者切り捨て) vs. 少数意見の尊重と自己決定権:どちらも民主主義。
    51%の多数決論理・強者の論理・弱肉強食、80%のコンセンサスと寛容、100%の全会一致の幻想と現実。
    西欧の民主主義は少数意見を尊重する。現代は、平和主義と愛国主義の激突の時代。
    市場原理・効率主義から弱者切り捨てするのは民主政治にあらず、無策のみ。
    正と負のインセンティブ:経済的(報償、税・罰)、社会的(敬意、蔑視)、道徳的(満足感、罪悪感)
    自由主義と平等主義:平等(生きる権利、機会の平等、悪平等、富の再配分)
     自由(自由競争、不正・インチキ、情報の偏在、恐怖、勝ち組負け組、自己責任、貧富の差・差別化、自己実現と弱者排除、愚行権)
    2つの自由主義:Liberalism(福祉国家的な自由) vs. Libertarianism(自主自立主義、規制緩和、市場経済)
    自分に内在する悪を背負い、克服する:(カント的)自律的自由。
    大衆・愚衆、マスコミ、権威と通念:ご都合主義と私利私欲と張り巡らされた虚構。競争における不正とインチキ・悪の実在。

  36. 平和学:平和には戦略がいる。
    絶対的平和主義(非暴力的抵抗のみ)、平和主義(正当防衛・緊急避難は除く、but太平洋戦争も自衛の戦争と言われた)、
      念仏平和主義(司馬遼太郎氏の批判、非武装中立、一国平和主義)
    直接的暴力(争い/戦争)と構造的暴力(飢餓・貧困・社会的差別・不公正・環境破壊・差別・教育や医療政策の遅れ等)
    健康課題:20世紀前半は結核、20世紀後半は慢性疾患(がん・心臓血管病)、21世紀の最大の健康課題は暴力
    平和への3能力(平和学):1)共感、2)非暴力的方法、3)創造性 (Transcend(超越)法)
     和解の3要素:1)癒し 2)水に流す(過去の清算) 3)締めくくる(新しい関係の再生) (あの人と和解する:井上孝代、集英社新書)
     共感(empathy)は同情(sympathy)と違い難しい:私メッセージ(I miss you. I am sorry to hear that.)
     共感力の養成:異文化交流、違う価値観に触れる.
     コンフリクト:1)対立点 2)許せない相手 3)許さない自分(時に、自分自身とのコンフリクト が内在、cf.ケンカを売ってくる人) 
    ヨハン・ガルトゥング(Johan Galutung)氏(平和学)のconflictの和解12法
    1)対立の原因を外部に求める。  2)賠償   3)加害者の謝罪・被害者の許し  4)懺悔・宗教的な告白
    5)法廷での告白   6)カルマ(業)として水に流す 7)対立の原因を内部要因で検証する 8)歴史の追体験
    9)悲しみ・癒しを共有する(共感)  10)共に再建(復興)に携わる  11)将来像を一緒に考える      
    12)ホーポノポノ的解決:話し合い、検証・謝罪・反省、過去の清算、未来の建設・新しい関係の再生(Transcend(超越)法)
    人間の安全保障 vs. 国家の安全保障(力の均衡・帝国内の平和):21世紀は「人間の安全保障」(Human Security)の時代。
    人間の安全保障:環境破壊・人権侵害・難民・貧困などの人間の生存・生活・尊厳を脅かすあらゆる種類の脅威を包括的に捉え、これらに対する取り組みを強化しようするもの。教育と医療・経済こそが重要。誤りに学ぶ。
    ラッセル・アインシュタイン宣言(1955年)「およそ将来の世界戦争においてはかならず核兵器が使用されるであろうし、そしてそのような兵器が人類の存続をおびやかしているという事実からみて、私たちは世界の諸政府に、彼らの目的が世界戦争によっては促進されないことを自覚し、このことを公然とみとめるよう勧告する。したがってまた、私たちは彼らに、彼らのあいだのあらゆる紛争問題の解決のための平和的な手段をみいだすよう勧告する。」 NO more Hiroshima
    An eye for an eye will make us all blind.(Mahatma Ghandi)

  37. 初めに言葉ありき。言語学・哲学・宗教・聖書?  言葉より以前;初めにイメージ・感情ありき?
    言葉には既に(無意識に)論理が組み込まれている。「生まれた・I was born」は受身;この世に何かにより生まれた?
    「死ぬ・I die」には受身はなく、「殺す」という単語となる(自殺・他殺)。
    論理の奴隷になるな:論理のみを突き詰めていく(大陸法系)と、時にナチになる。コモンセンスによるバランス(英米法系)。
    ハイデッガーでさえ、一時、ナチの協力者となった。

  38. 3つの人間観: 
    1) 行動主義的:  本質論的・3人称的アプローチ
       刺激・反応、学習・本能、動機づけ・欲求・フラストレーション、ストレス・適応、発達、性格 ・知能・役割、
       生涯発達、社会的学習、対人コミュニケーション、対人関係、問題行動、問題解決、具体的行動目標(SBO, GIO)、
       再学習コーチング、認知・行動療法(行動を通じて認知に至る)、悲嘆反応。
    2) 精神分析的  実体(構造)論的・2人称的アプローチ
       無意識、錯誤・夢、エス・自我・超自我 、人格構造、自己愛、生物的欲求・社会的欲求生育歴
       性生活・リビドー、心的外傷・固着、抑圧・抵抗、疾病利得・ヒステリー、不安、感情転移、精神分析・交流分析・再調節
       因果論・トラウマ、アダルトチルドレン、カタルシス、問題解決・闘争、快楽・力への意志:還元主義。
    3) 実存哲学・人間学的心理学的:  現象論的・1人称的アプローチ
       
    実存、現存在分析、現存在・共存在・不安・世界内存在、 日常的世界・非日常的世界、
       内なる声・有意味性、無力感・自己喪失・自己嫌悪、成長、自己発見・自己受容・自己実現カウンセリング
       目的論的・現象学的解釈学、意味への意志、人生の意味と使命、気づきと学び。自分の弱さを認める。
       試練・症状・依存の意味を知る。

  39. 道徳心・公共心は教えられるか?いつ・どこで?家庭・小・中・高・大?自分で学ぶもの:生涯学習。「気づき」の場・ 機会・環境
    「私はどう生きればよいのか」「私は何なのか」の問いに、耐え続ける:哲学・倫理・心理・精神領域・カウンセリング・コーチング。
    安易な答えは、盲従につながる。懐疑・エポケーに耐え続ける:教養主義。知識とともに知恵も。
    人は教育によって人間となる。人格の陶冶。Be Gentleman or Lady!  Be Doctor!  Be Leader!
    自己同一性が理解可能・不変という虚構(cf.バカの壁)。「汝自身を知れ。無知の知」 成長する限り、悩むのです。
    However, 成熟とは分化することであり、自分を一つの型にはめる(社会的)選択をすることである。
    徳:儒教・孔子では五常:仁(思いやり)・義(正義)・礼(礼節)・智(叡智)・信(信用)。知育・体育・徳育。
    自分を大事にすることは社会・家庭を大事にすることであり、自分を粗末にする人は、人も社会も粗末にする

    練習問題:「なぜ自殺はダメなのか」「シンナー遊びはなぜダメなのか」「援助交際はなぜダメなのか」
      「(試験)監督がいなければ不正をしてよいのか」「法(律)にふれず、他人に害がなければ何をしてもよいのか」
      「他人が不幸な状態に陥ると予見されるが、自律尊重から何もしなくてよいのか(cf.医療拒否)」「万引きはなぜ悪いのか?」
      「善とは何か」「善とは何かは、教えられるものか、自分で学ぶものか」

  40. 大学では、教養教育が共通教育となり、専門教育の高度化が叫ばれている?
    教養教育が、高校の範囲へとレベルダウン? ゆとり教育では、発展学習が以前のレベル?
    日本中で、ハードルの高さを低くして、ハードルの高さよりこれだけ高く飛べた(元々のレベル)というのか?
    教養教育に終わりはないが、始まりがなくなるのではないか?書店には古典的教養書が数少ない。
     教養教育がカウンセリングにとって替えられる?成果主義では教養は計れない。
     マス教育下の教養教育の難しさ。慈愛独立自尊・人格陶冶の精神をいかにし て教えるか?気づき
    大学教育における語学教育は旧来、TOEIC等の点数の問題ではなく、文学を通しての教養教育であった。
    教養教育は語学・数学物理化学生物・情報処理・心理学等の成果がわかりやすいものだけではないはず。
    医学教育は医学・医術の修得だけでなく、医道の知恵を身につける場だが、学生に気づき・悟りの心や人間力が必要。

  41. デカルトの方法序説:4つの規則   
    cf.科学的方法論:デカルト:合理論、方法的懐疑、演繹法、ベーコン:経験論、イドラ(偏見)排除、帰納法
    1)明証・懐疑・エポケーの規則  2)分割・分析の規則  3)順序・総合の規則  4)枚挙の規則
    第1は、私が明証的に真であると認めるのでなければ、どんなことも真として受け入れないことだった。言い換えれば、注意深く速断と偏見を避けること、そして疑いを差し挟む余地の全くないほど明晰かつ判明に精神に現れるもの以外は、何も私の判断の中に含めないこと。
    第2は、私が検討する難問の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること。
    第3は、私の思考を順序に従って導くこと。そこでは、最も単純で最も認識しやすいものから始めて、少しずつ、階段を昇るようにして、最も複雑なものの認識までに昇っていき、自然のままでは互いに前後の順序がつかないものの間にさえも順序を想定して進むこと。
    そして最後は、すべての場合に、完全な枚挙と全体にわたる見直しをして、なにも見落とさなかったと確信すること。(参照:方法序説第2部、デカルト、谷川多佳子訳、岩波文庫)

  42. 論理的思考は科学の基本だけど,..:4(+2)つの論理
    (1)トートロジー(形式論理学):演繹法あるものはあり、ないものはない。     「あれか、これか(一義的)」win-loose
      同一律(A=A), 矛盾律(A=B and A≠B: 矛盾), 排中律(矛盾の中間はない), 解の存在問題。
      三段論法:大前提(論拠)・小前提(事実)・結論、演繹法。大前提の事実準拠と価値・仮説準拠。
      背理法(帰謬法)(null hypothesis):「学習しても、賢くならない」偽だから、「学習すると、賢くなる」
      対偶:「学習しないと、賢くならない」真なら、「学習すると、賢くなる」
      全称命題(the全ての)と特称命題(a特定の)、必要条件と十分条件、最大公約数・最小公倍数。
      場合分け:Aの場合はB、non-Aの場合はC。集合・包含関係。 All or none law(悉無律シツムリツ). 
      白か黒かの二分法:俗受けするヒットラー手法(現実は割り切れない)。
      線形システム。重ね合わせの原理。初期値と微分方程式・線形予測(決定論)。要素還元主義。
      世界は成立していることがらの総体である。語りえぬことがらについては、沈黙せねばならない(ウィトゲンシュタイン)
    (2)確率論・統計学的推論(非決定論的評価):実験帰納法、仮説演繹・検証法 AはB±SD。「 あれより、これらしい」
      帰納法; 相対論、確率分布・量子論、不確定性原理、ベイズ統計学、ベイズの定理(条件付き確率)。
     大数の法則:生起確率、小数には単純に当てはまらない、ギャンブラーの錯誤。単なる偶然はある。
     自然科学の実験・観察は不完全帰納法である(多数の事実から、一般仮説を導く)(n の限界)(一義的でない可能性)。
      非線形システム、非平衡、フィードバック過程、周期性・振動・規則性・協同性・相互作用・触媒・不連続変化、
      ゆらぎ、カオス、複雑系、臨床判断や診断基準・ガイドライン(典型例と多様性・個体差)。疫学的因果関係。帰無仮説。
      割合的認定(0,25,50,75,100%):寄与率 vs. 真実らしさ。蓋然性。統計的危険性 vs. 過誤。
      51%の多数決論理・強者の論理、80%のコンセンサスと寛容、100%の全会一致の幻想(と現実)。
      現実は割り切れない:割合の問題。偶然(予想外・災い)と必然(想定内)。
      認知世界は部分的・一面的に認知された「ことがら」からなる(バカの壁)。語りえぬことがら から、逃げてはならない。
    (3)弁証法:対立物の闘争(正反合)、量(的変化)から質(的変化)への転換  「あれも、これも(止揚)」win-win
      否定の否定(は元(肯定)に戻らない)。真理は体系(全体)である。 矛盾状態(不条理)が常態。
      二律背反・矛盾から止揚・らせん状進化 (ヘーゲル・論理学)、 有-無-成の生成の弁証法。
      現象論・実体論・本質論 のらせん的進化。 現実論・存在論・認識論。
      有−本質−矛盾:対立物の統一・交互作用(同一・区別/全体と部分/内面・外面/形式・内容/普遍・個別)
      訴訟・裁判自体が弁証法的。自然選択説・進化論も弁証法的。
      西欧大陸系は弁証法を哲学的・予定調和説的にとらえるが、英米系は現実的・闘争(訴訟)的にとらえる。
      Transcend(超越)法:ホーポノポノ的解決:話し合い、検証・謝罪・反省、過去の清算、未来の建設・新しい関係の再生(平和学)
       真理は全体であり、弁証法的らせん状の進歩の中にある。語りえぬことがら があること(無知の知)を 知らなければならない。
    (4)日本的論理:和を以て貴と為す言霊「無」「空」「気」の論理     「あれでもなく、これもでもない」loose-loose
      
    日本の科学者は日本的論理(不合理・非合理な面)を捨てることから出発する(vs.○○真理教)。
      日本語は基本的に科学に不向きな言語。主語・論理があいまい
      言霊:事実を直視し、発言すると無粋とされる。現実を知りながら、無言・無責任。
      無我・禅の境地:現世否定による現世無責任。和を以て貴と為す:集団・家族主義による個人の抑圧傾向 (封建体質)。
      合理(事実)を超える空気・雰囲「気」の論理:神風発想:すべて精神論でうまくいく。心頭滅却すれば火もまた涼し。
    (5)心霊的論理:インスピレーション。第六感。「非・未科学」の論理     「んーん、これだ」
      
    科学により説明できない事実の存在。予言の言語としての曖昧さと、結果・事実の解釈論。
      信じる人は救われる?
    (6)理屈(理論・論理)は死んでいる、世間(現実・自然・社会)は生きている:現実に絶対の正解はない     「ん、...!」
      
    科学・社会の進歩する原動力=創造力。偶然と必然や全体像、現実を直視し、臨機応変・オプション発想、主体的に考える。
      アイデアの種は現場にあり、本や会議室の中にはない。形式論理学からはアイデアは生まれない。
      
    科学の基本は形式論理学(+確率・統計的推論)だが、社会生活では窮屈だし、社会自体が不条理で、ユーモアが必要だ。
      (形式)論理の奴隷になるな。 cf.ワイマール憲法下のナチス・ヒトラー・ホロコースト、パワーゲームから戦争への教訓。
      形式論理学の帰結は有か無(善か悪)(vs.弁証法では有-無-成)。世界・歴史基準、コモンセンスで見直そう。
      存在論(事実)と認識論(思い):バカの壁、認識の一面性(デジタル化・言語化)。現実主義現実はよりダイナミックだ
      特異点(カタストロフィー)解消のための多次元化(可変思考;フリーダムとウィズダムから創造;広中平祐)。
    エポケー。

  43. オッカムの剃刀(カミソリ Occam's razor):けちの原理、単純さの原理=シンプルの法則 
    ある事柄を説明するのに、必要以上の仮説を立ててはならない;むやみに実体の数を増やしてはいけない。
    まったく同じ予言をおこなう2つの理論が手元にあったときには、単純なほうの理論が、よりよい理論である。
    2つの理論がある時には、真偽を明らかにできる証拠が新たに挙がるまでは、一番単純な理論を用いよ 。
    幾つかの現象を説明するのに一番単純なやりかたが、他のあまたの複雑な説明よりも、正しい説明としての見込みがある 。
    単純なものほど美しい(A.アインシュタイン)

  44. 現実は小説より奇なり(but, 小説みたいなことは極まれ)。 信じがたいことは起こる。それが法医学。
     人間以上の不思議はない。火事場の馬鹿力は本当にある。
     バタフライ効果:北京で蝶が羽ばたくと、翌月ニューヨークで嵐が起こる?ミクロとマクロの因果は人知を超える。
     現実は不条理であり、不思議に見えることは起こる。だが、最終的に常識的なところに落ち着く。
  45. 消去法:  科学的推論・確率論的推論による鑑別リスト+消去法(エビデンス・EBM、仮説検証、論理的思考)。
    推理における消去法:全ての可能性を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙な事であっても、それが真実だ(シャーロック・ホームズ)
    (When you have eliminated the impossible, whatever remains, however improbable, must be the truth.)
  46. 統計・確率的思考: フェルミ推定:パラメータに分解、分割・順序・枚挙、常識によるチェック。
    シカゴにいるピアノ調律師の数問題:シカゴの世帯数(人口/3)、ピアノ保有数(5%)、年間調律件数(5万回)、一人当たりの年間仕事量(600台);5万/600=80人
    大数の法則 と ゆらぎ、トレンド による推定。 仮説・検証と思考実験、修正。
  47. 3種の動機:愛(・憎 ・自己愛)と金(利害)と恐怖(外的・内的・パワー・法規・死)
      人は、恐れをいだく相手よりも、むしろ愛情をいだく相手のほうを平気で傷つけてしまう。というのも、人間は身勝手であり、恩義という絆で結ばれている愛情などは、自分の目的をかなえるためならば、いつでも断ち切ってしまうからだ。だが、人を恐れる気持ちは刑罰への恐怖心によって保たれており、そこからは絶対に逃げられない。(マキャベリ :cf.マキャベリズム)
    3種の説得法:情緒(愛・プライド)による説得、功利による説得、規律による説得。
    社会は人間の行いより成り立つ。人間には利己主義的な面があり、社会には不条理な面がある。だからといって、どうする?
    人は自分こと以上に(他)人のことを考えていない。右翼主義もカリスマ・組織へのナルシシズム。
    捜査は why (動機)も問うが、法医学は how を追求する。

  48. (不都合な)真実は隠される。現場で把握された事実や、得られた証言が全てとは限らない。
    事件・訴訟でも不都合な事実は隠されていることがある。cf.薬害訴訟では多くの真実が隠されていた。
    災害時の音信不通は悪い徴候。死や悪いニュースは隠される。情報の確度を考慮しなければならない。
    個人の言葉と組織の言葉(見解)は確度が違う。組織のためなら、良心を超え、隠されるだけでなく、嘘もありうる。
    歴史において、為政者に不都合な事実は消され、書き換えられたりする。歴史は勝者により作られる。

    人間には100%の善玉も、100%の悪玉もいない。しかし、何かひとつ過ちを犯すと、人物全てが悪であるかのイメージを抱く。

  49. Sometimes between life and death, its so easy to step over the line.  (検死医McCALLUM)
    ヒトはあっけなく死ぬ (cf.死ぬとは思わなかった)。vs.  ヒトはなかなか死なないものである。

    命の大切さ の教育は、死への存在としての気づき、であり、人間としての成熟が必要。 
     メメント・モリ(memento mori, 死を忘れるな)、Sein zum Tode (死への存在、ハイデッガー)
     ヒトの死にはドラマがある。未知生、焉知死。たった一人の特別な存在としての自分。
     死亡宣告してから、生き返ることがある。最後の診断は慎重に。
    患者のゴールデンアワー10分間
    ABCから始めよう:Airway(気道確保・頸椎保護), Breathing(酸素投与と換気), 
     Circulation(循環維持と外出血コントロール), Disability(意識状態評価), Exposure(着衣を取る)
    MIST: Mechanism of injury(受傷機転), Injuries found and suspected(損傷部位とその疑い部),
      Signs(バイタルサイン), Treatment given(救急隊の処置内容)    [救急時情報]

  50. 質量保存の法則 (cf. 質量とエネルギーの等価性 E=mc2)。
    ヒト・証拠が完全に消滅することはない。完全犯罪は不可能 という信仰。
    悪人(巨悪)は眠らせない。捜査 ・判断に迷ったら現場に戻れ。
     人間やめますか?:ドラッグと銃は重罪。internetの罠にはまらないように!or 退学です。
    捜査は無駄の連続であるが、完全に無駄な捜査はない。
    ゴミもそのままでは(自然に)消滅することはない。

  51. ロカールの法則:接触あるところ痕跡あり。
    ロカールの交換原理:犯罪鑑識科学の基礎。 微物から犯人に至る科学捜査の時代。
    2つの物体が接触すれば、常にある物体から他の物体に何か(微物)が移る。
    犯罪現場では人と人、人と物の間で必ず証拠が交換される(エドモン・ロカール)。
    残存したもの(痕跡・微物)、持ち去られたもの、交換されたもの。
    存在するはずのものが存在しないことの意味(cf.存在の法則:存在するものには意味がある)。

  52. 人は嘘をつくが、痕跡・死体は真実を語る。法医学は人間病理学である。
     物(傷・所見・現場)にはそれぞれ歴史がある。証拠(現場・所見)に語らせる。証拠は嘘をつかない。
     人は誤りを犯すが、物は誤ることはできない。証拠の判断・扱い方に誤りが入る込むことがある。
     死にはその人の生き方が現れる:生きた様に死んでいく。
      証言を鵜呑みにするな。多くの法医学者が泣かされました。情報の信用度。
      死人に口なし、だから、...死体は語る。死体の声を聞く。ダイイング・メッセージ

  53. 臨床は最高・最善を目指すが、法医学は平均(常識・現実・確率・医療水準)と、最悪(悪意)を考慮する。
    偶然か、必然(真実)か、バイアスか、悪意か?
    証拠保全と、秘密の暴露、隠れた証拠、悪意の可能性に注意
      知り得るものには直接・間接証拠で補強、知り得ないものには沈黙。Negative 情報も重要。
     鑑定の科学性の追求:物的証拠の現象論・実体論・本質論(時間的把握・動態)

  54. 医学は統計(global)であるが、医療(法医学)は個人別の(localな)もの
     臨床研究:典型例を探せ。病態生理学的説明可能性。文献・ガイドラインの批判的吟味・評価。
    臨床判断で考慮すべき要素:1)病態生理学的・臨床疫学的事実、2)患者の意向、3)社会的要因
    Problem-oriented system (POS): Problem list, SOAP: Subjective, Objective, Assessment, Plan
     POS的分析:Problem list:病態生理学的説明可能性:診断仮説:SOAPでfollow:情報をopenに

  55. 不詳は不詳でよい(法医学では)。わからないと言う誠実さ。不明と不詳とは違う。事実と意見を区別して語る。
    臨床では診断不詳は患者に不安を与えるが、法医学では不詳は不詳でよい->異状死体届出という手続的正当性。
    「癌の疑い」で検査して、無くて良かったネと臨床は言えるが、「病死or他殺の疑い」が逆だったとき、
         法医では単純に良かったネとはいえない:法医学の難しさ。法医学の奥は非常に深い。
    真実の正統性と正当性:正統性は認知可能性が前提で原則論的正しさ。正当性は手続論的正しさ(間違いも容認)。

  56. 人間の「確信」は普遍的な弱さを担っている。
    「確信」は合理的な証拠なしでもイメージ化・物語化して腑に落ちてしまえば、確たる反証さえ押しつぶし、
    自分に都合のよい証拠の探索に向かってしまう傾向をもつ(十二人の怒れる男たち,1957。科学捜査の事件簿;瀬田季茂)

  57. 先入観を排除し、事実にのみに語らせ、粛々と証拠保全予見はするが、予断はするな
    風雪(歴史)に耐える鑑定(小嶋 亮先生)。不詳は不詳、歴史的証明を待つことも必要(:時熟を待つ、という選択肢)。
    屍は生ける師なり。似たような事例・症例はあっても、1例として同じ事例・症例はない:学べることが常にある。
    法医学は、現実的に、あくまで現実的に(客観的に、あくまで客観的に)(科学的に、あくまで科学的に)
    探偵するということは、一個の厳密な科学である(コナン・ドイル)。
    法医解剖は死者との一期一会の真剣な対話である(石津日出雄先生)。
    被害者の身になり、加害者の身になり、現象の時間的空間的把握と、事物の実体的把握。
    声無きに聴き、姿無きに見る。現場は語る。現場百回。Whyを5回以上繰り返せ。
    物事には表と裏がある。「ない」ことにも意味がある。 (法医)病理診断は最後の診断。

  58. 法医学の三位一体説(解剖所見・現場・証言) vs.解剖所見一元論。
    cf.科学捜査( CSI )の三位一体説(被害者(目撃・証言・解剖所見)・容疑者(供述)・現場(物証・微物・状況証))
     三兆候説(例外:脳死説)(臨床)と、脳死一元論(法医学上の学説)。
     臨床診断での、病因一元論病因多元論:若年者では一元論、高齢者では時に多元論。
     法医学での3点合致法(cf.トリアス):cf. 衣服・歯牙の治療痕・血液型 等 (実務上の説得力?P<0.5*0.5*0.5=0.125)
     推定無罪、検察の合理的な疑いをいれない程度まで立証する責任(職権探知主義と証明責任)、疑わしきは被告人の利益に。
     証拠=直接証拠(犯行目撃証拠・自白)、間接(状況・情況)証拠(物証・人証・状況証)
         証明力(自然的関連性)、証拠の質と事実の量。
      違法収集証拠排除法則:違法捜査で集めた証拠は証拠とならない。
      自白法則:自由な意思に違反して、or欺して無理やりとった自白は証拠とできない。
      補強法則:自白だけを証拠として有罪とできない。
      伝聞法則:供述調書や又聞き供述は原則として証拠とすることができない。例外規定あり(信用すべき特別の状況など)。
             被告人側の反対尋問を経ていない「伝聞証拠」を証拠から排除する原則

  59. 誤認検視(検死)10則(法医学と医事刑法、田中圭二、成文堂)(藤宮改)
    1)非犯罪死体(病死)を強く念願する。 2)都合のよいことのみを推理する。 3)問題が生じたときのことを考えない。
    4)関係者の説明をうのみにする。 5)現場観察を充分に行わない(説明を十分聞かない)。 6)不完全な死体観察。
    7)必要な捜査(調査依頼・質問)を行わない。 8)検案医師(警察)を頼りすぎる。 9)解剖の労をきらう。 10)責任感と真剣さに欠ける。

  60. Broken windows 割れ窓理論:環境犯罪学、 素質と環境の積としての犯罪
     粗暴状況(broken windows)(万引き等)を見逃していると→インフォーマルコントロールの弱体化→犯罪増
     少年犯罪には、前兆と準備行動(動物虐待・未熟性(未分化な性衝動))がある。
     少年犯罪はほっておくと歯止めがなく、エスカレートする。
     大人も子供もない。未熟な人間(親と子)がいるだけだ。愛や独立自尊の「気づき」の程度差でしかない。
    犯罪の場所=1)入りやすい場所 2)見えにくい場所
    予防に勝る対策なし:盗む機会があるから盗人が生まれる?人格ではなく状況を変える。
    イギリスでの監視カメラによる抑止効果 vs プライバシー侵害=個人データ保護の強化
    割れ窓理論、地域安全マップ、防犯環境設計(入りにくく、見えやすく)
    問題解決型パトロール、自治体と警察とのパートナーシップ。安全・安心まちづくり。生活の質を守る。
    メンタリング、非行防止教育、問題解決型司法、社会性を育てる。修復的司法:対面的コミュニケーション(加害者・被害者・地域)

  61. プロファイリング:what(何が起こった), why(なぜ起こった), who(どんなタイプの人間)
    犯罪原因論(犯罪者の心・身の上、家庭、環境、貧困、人格障害) vs 犯罪機会論(機会なければ犯罪なし)
    ルーティン・アクティビティ理論:犯罪=(犯罪者+犯行対象−監視者)(場所+時間)
    合理的選択理論:犯行の主観的合理性 1) 成功する可能性 2) 利得の量 3) 逮捕の可能性 4) 刑罰の重さ
    犯罪行動分析:犯罪手口、署名的行動。犯行テーマとスタイル。犯人像・タイプ。地理的プロファイリング。
     現場       物的証拠、証拠のパターン、死体・凶器の位置、微物、写真、現場・着衣の乱れ、未発見証拠・誤認の仮定
     証言       通報者、目撃者、信用度・客観性・裏付け、悪意の可能性、現場付近の環境・社会状況
     被害者情報    被害者の危険度(年齢・性・職業・環境・既往歴)、背景・生活習慣・家族構成・身体的特徴
     場所的要素    犯行現場・目撃場所・発見現場、犯行現場の類型、地理的特性、侵入・逃走経路
     時間的要素    最終目撃・犯行・発見時刻、殺害や死体処理・移動に要した時間
     法医学情報    死因、損傷所見、微物、解剖所見、死亡推定時刻、生活反応、死後損壊、損傷の時系列(生前・死後)
     犯行の再構成   時系列で整理・シミュレーション(犯人・被害者の各立場で)、現実的に
     犯人の主要目的  動機、金銭・感情・性、単独・連続・快楽など種別、犯行の分類、犯罪原因論
     無秩序か秩序か  被害者の選択・支配法・犯行法、偽装、犯人の危険度・エスカレート・犯行予備事案
     !先入観を避け、容疑者とされている人間の情報は一切考慮しないこと。常識の通じない変人もいる。
     !即断は避け、時熟を待つ。言えること・言えないことの区別。逆の視点からも見る。俯瞰してみる。
    FBI方式:臨床的プロファイリング。事例検討。犯行の動機。
    1) 無秩序型犯罪者:偶発的犯行、被害者・現場を知っている。被害者を物として扱う。会話はほとんどない。混乱した犯行現場。
       被害者を突然襲う。自制心なし。遺体はそのまま、凶器や証拠を残したまま。接触場所・犯行場所・遺体の場所が同一。
       知能は平均以下。社会的能力なしor低い。独居。
    2)秩序型犯罪者:計画的犯行、好みのタイプの被害者(知人ではない)。被害者を操作する。会話は慎重。整然とした犯行場所。
       被害者を服従させる。自制心あり。殺害前にサディスティックな行為。遺体を隠蔽する。凶器や証拠を残さない。
       被害者を接触場所から犯行現場へ、遺体を隠蔽の場所へと移動する。
       知能は平均以上。社会的能力あり。配偶者・愛人と同居。
    3) 混合型犯罪者:
    連続殺人男性犯:幻覚型(vs.心神喪失)、確信型(特定の種類の被害者)、快楽型(cf.猟奇的)、権力・支配型
    連続殺人女性犯:幻覚型、利欲型、快楽型、権力指向型、弟子型
    連続殺人の5段階モデル:空想的願望、ストーカー行為、拉致、殺害、死体の処分
    リバプール方式:統計的プロファイリング。犯行のテーマ(テーマ分析)。

  62. ゼーリッヒの犯罪分類(cf. 現代殺人論:作田明、PHP新書)
     1)労働嫌忌からの職業犯罪者:詐欺・窃盗・恐喝・浮浪者等
     2)抵抗力薄弱からの財産犯罪者:窃盗・横領・詐欺等「意志欠如者」「発揚者(軽躁者)」
     3)攻撃癖からの犯罪者:悪質な隣人「情性欠如者」
     4)性的抑制欠如からの犯罪者:性犯罪者、性嗜好異常、小児性愛、サディズム
     5)危機犯罪者:犯罪により危機脱出 cf.思春期危機、愛さない夫・毒殺する妻
     6)原始反応犯罪者:爆発反応(急性爆発反応、うっ積爆発反応)、短絡行為による犯罪。「爆発者(刺激型・興奮型)」
     7)確信犯罪者:対抗同一性、「狂信者」
     8)社会的訓練不足からの犯罪者:多くは軽犯罪
     9)混合型:
    ヘンティッヒの殺人分類:1)利欲殺人(cf.強盗殺人) 2)隠蔽殺人(cf.口封じ) 3)葛藤殺人(痴情・怨恨) 4)性欲(快楽)殺人 5)無定型群

  63. 人格(パーソナリティ)障害(DSM-IV):自分の思い・傷つきへの強い囚われ、相手の気持ちは視野に入らず、支配しようとする。「むかつく」
       
    認知、感情、対人関係、衝動のコントロールの領域の2つ以上の領域の障害
       特に境界性;見捨てられ不安、不安定で激しい対人関係、同一性障害、衝動性、慢性的な空虚感
    A群:分裂病気質、自閉的、妄想、風変わり傾向、対人関係ストレス
       1.妄想性人格障害(猜疑心・敏感)、2.分裂病質人格障害(自閉的)、3.分裂病型人格障害(統合失調症的)
    B群: 感情的混乱が激しい、演劇的で、情緒的で、うつり気、ストレスに弱い
       4.境界性人格障害、5.反社会性人格障害(冷酷)、6.自己愛性人格障害(誇大自己・万能感)、7.演技性人格障害(ヒステリー)
        cf.境界性−:気分や対人関係が変動しやすい(うつ)、強い自己否定や周囲を振り回す行動(自傷・薬物乱用)等
    C群: 不安や恐怖感が強い、まわりの評価がストレス
       8.回避性人格障害(ひきこもり)、9.強迫性人格障害(完璧主義的)、10.依存性人格障害(甘え)
    cf. 解離性同一障害(多重人格障害):記憶・意識・アイデンティティの連続性が損なわれる障害、トラウマとの関連
      適応障害:ストレスによって引き起こされる不安や抑うつ
      広汎性発達障害:相互な対人関係やコミュニケーションがうまくできず、興味や関心が狭く限られることを特徴とする
      アスペルガー症候群(A障害):知的障害のない自閉症、対人関係障害、他人の気持ちの推測力欠乏、限定的な興味

    神経症:神経質傾向、ヒステリー性格・偏った性格
      1)不安障害:全般性不安障害、パニック障害、恐怖症、強迫性障害
      2)身体表現性障害:心気症、転換性障害、身体化障害、身体醜形障害、疼痛性障害
      3)解離性障害:解離性健忘、解離性遁走、離人症、多重人格

    誇大自己症候群(岡田尊志、ちくま新書):現実感の乏しさ、自己愛的な空想。低い自己評価とそれを補う幼児的万能感。
       他者に対する共感性の乏しさ、罪悪感の欠如。突発的に出現する激しい怒りや過激な行動。傷つきやすさ、傷つきへのとらわれ。
     Tx:「距離を保つ」「鏡になる」「理想化への思いやり」「取引に乗らない」「勝ち負けを競わない」
     個性よりも、まず自律性や主体性を養う教育の必要性。人のために生きる喜び。傷つきと偏りをもった自分を知り、自分を受け容れる。
    妄想性パーソナリティ障害(DSM-IV-TR):
      1)十分な根拠もないのに、他人が自分を利用する、危害を加える、またはだますという疑いをもつ。
      2)友人または仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪われている。
      3)情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れのために、他人に秘密を打ち明けたがらない。
      4)悪意のない言葉や出来事の中に、自分をけなす、または脅す意味が隠されていると読む。
      5)恨みを抱き続ける。つまり、侮辱されたこと、傷つけられたこと、または軽蔑されたことを許さない。
      6)自分の性格または評判に対して他人にはわからないような攻撃を感じ取り、すぐに怒って反応する、または逆襲する。
      7)配偶者または性的伴侶の貞操に対して、繰り返し道理にあわない疑念を持つ。
    境界性パーソナリティ障害(DSM-IV-TR):
      1)現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふりかまわない努力。
      2)理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係のあり方。
      3)同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像または自己感。
      4)自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、むちゃ食い)。
      5)自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し。
      6)顕著な気分反応性による感情不安定(例:通常は2〜3時間持続し、2〜3日以上持続することはまれな、エピソード的に起こる強い不快気分、いらだたしさ、または不安)。
      7)慢性的な空虚感。
      8)不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す)。
      9)一過性のストレス関連性の妄想観念または重篤な解離性症状。
    反社会性パーソナリティ障害(DSM-IV-TR):
      A:他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以降起こっている。
       1)法にかなう行動という点で社会的規範に適合しないこと。これは逮捕の原因になる行為を繰り返し行うことで示される。
       2)人をだます傾向。これは繰り返し同じ嘘をつくこと、偽名を使うこと、または自分の利益や快楽のために人をだますことによって示される。
       3)衝動性または将来の計画を立てられないこと。
       4)いらだたしさおよび攻撃性。これは身体的な喧嘩または暴力を繰り返すことによって示される。
       5)自分または他人の安全を考えない向こう見ずさ。
       6)一貫して無責任であること。これは仕事を安定して続けられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。
       7)良心の呵責の欠如。これは他人を傷つけたり、いじめたり、または他人のものを盗んだりしたことに無関心であったり、それを正当化したりすることによって示される。
      B:その人は少なくても18歳である。
      C:15歳以前に発症の行為障害の証拠がある。
      D:反社会的な行為が起こるのは、統合失調症や躁病エピソードの経過中のみではない。

  64. 良心をもたない人(反社会性人格障害、人口の4%):一見、魅力的でカリスマ性がある。嘘をついて人をあやつる。
    空涙を流して同情をひく。追いつめられると逆ギレする。自分にしか関心がなく、退屈しやすい。
    刺激を求めて「支配ゲーム」に走る。人に依存したがる。チームプレイがへた。近視眼的で世間知らず。
    「良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖 マーサ・スタウト 著 /木村博江 訳 草思社」

  65. 因果関係論:死因の種別:直接死因・原死因・間接的要因 。
    蓋然性と確実性:事実(証拠、確実性)と説明・見解(仮説、蓋然性)、状況証拠(蓋然性)。
    因果関係と相関関係との混同。推論の正しさ(明白さ、道理にかなっていること)と憶測。

    2つの説明法(レヴィン):体系的説明と歴史的説明。体系的証明(科学的・演繹的説明可能性、疫学的事実)、歴史的証明
    自然的因果関係(病態生理学的関係・疫学的因果関係)と、法的因果関係(条件説と相当因果関係)
    一応の推定(表見証明)と反証、蓋然性説、優越的証拠説、他原因否定説、専無律(All or nothingの原則)
    可能要因(環境・準備要因、前提条件、説明可能性、ウラのストーリー)と、実現要因(主因、確率・運・流れ、オモテのストーリー)。
    身体的素因と外因の寄与度:身体的抵抗力の低下、潜在・基礎疾患の増悪、異常生体反応など。
    危険の増大と割合的責任論:抽象的危険性の増大に対する損害賠償責任。交通事故責任の割合的認定。
    精神的ストレスによる病変を因果関係で安易に認めるようになると、風が吹けば桶屋が儲かる、の論理になってしまう。
    論理の奴隷(論理の連鎖の中でがんじがらめになる) vs. コモンセンス(世界的・歴史的基準、Publicの基準、バランス)
    法学的相当性の他に、法医学的相当性が実存するが、最後は司法判断。

  66. 公正な手続き(証拠保全・記録)としての法医(司法・行政)解剖事実・所見と解釈・説明から鑑定へ。
     根拠に基づく検案・鑑定。法医学者は死者の代弁者。水掛け論には証拠。証拠・事実に語らす。
     死亡診断・死体検案は医師のみが行う専権事項。真実の追究を優先する。
     法医学は死から生をみる。安楽死は病死でも自殺でもない、他殺である。

  67. 法医学はpublic side (官・民・publicの3極のうちpublicで、人権擁護・社会安全への寄与)。
     法医学教室は警察・検察の一部ではない:大学に法医学教室がある意義 vs. Medical Examiner。
     独裁国家では死亡診断・死体検案が公正でない。法医学は民主主義の番人。 
     死因究明の公正さは民主主義・人権擁護に直結する。これと市場原理は別もの。
     Legal Medicine, Forensic Medicine, Medical Jurisprudence。
     裁判医学(明治初期)から法医学へ。大陸法系(大学)と英米法系(大学・コロナーやMedical Examiner)
     検死制度は民主主義とともに発展してきた(英米法系・コロナー)。

  68. 死因の種別決定は解剖所見のみでは困難(捜査権のない医師に責任負わす明治以来の体質)。
     英米法系では検死陪審(コロナー制度)あり。Medical Examinerと日本の監察医は全然違う。
     日本には体系的な検死制度はない(に等しい)(大陸法系に英米法系システムの接ぎ木状態)。
     日本は西欧と比べ、中毒検査と死因究明に無関心。死体は隠され、タブー視される。
     民事・病院関係の中毒検査体制は、分析関係者の英雄的努力にも関わらず、海外とのレベル差大。
     監察医制度も行政改革で風前の灯火(京都・福岡は既に廃止された)。

  69. 2つの法体系:法典主義と判例主義。この違いは根深い!
    法典主義(大陸法(日本)・裁判官・検察官・司法警察員・家族制の配慮)
    判例主義(英米法・陪審員・コロナー・検死陪審・Medical Examiner・コモンセンス・個人主義)
    (1)大陸法系:法典主義。解釈法学・裁判官・厳格な罪刑法定主義。自由意志の前提:動機・原因責任
     キリスト教神学と観念論哲学の影響:鑑定=裁判官の補助的判断(中立原則)
     カント流の義務論(人格の尊重、見えざる手による調和、哲学好き 、論理の奴隷)
     ルソー(社会契約説)、アダム・スミス(見えざる手による予定調和)
     cf.ラマルク:用不用説
    (2)Common Law: 判例主義。陪審員による判決。裁判官による量刑判断。結果責任
     英米法系・陪審員主義、コモンセンス、手続的公正。鑑定=原告・被告側の各専門家証言。
     功利主義と経験論:最大多数の最大幸福(ベンサム)、力の均衡、「判例も法である」
     ホッブス・ロック(万人の万人に対する闘争と社会契約・法治)
     cf.ダーウィン:自然選択・適者生存説  cf.英国には成文憲法がない!
    明治時代初期は、大審院・陪審制の予定だったが、明治14年の政変後、ドイツ系大陸法を導入。
    日本はベースが大陸法系で、戦後、英米法的要素を接ぎ木状態。
    陪審制度(英米)、参審制度(仏独)、裁判員制度(日本) vs.職業裁判制度(調書裁判との批判)
    陪審制反対論と日本人の国民性。取り調べ調書の扱い方、口頭主義の可否。守秘義務と報道規制。国民負担vs.民主主義の学校。
    陪審制:直接主義・口頭主義・全員一致;裁判官(証拠の採否,法律の説示,量刑)と陪審員(有罪無罪の決定)。
    裁判員制度:裁判官と市民の合議:事実認定・有罪無罪の決定・量刑判断、多数決。証拠の許容性の判断(裁判官?)

  70. 法医学者は暇がいい。世間はそれだけ幸せ、法医学者も幸せ。
     仕事はそれに使える時間・予算いっぱいまで膨張する。
    物は置けるスペースいっぱいまで膨張する(Kさん、いつもすみません)。

  71. 意志決定:(1)目的 (2)目標の設定 (3)手段の選択(複数案と最適案、リスク対策)
      (1)十分な情報聴取・収集(不確実性は常に存在)+(2)的確な状況(現実・所見)把握(現象そのものへ)
     +(3)抜かりないリスク分析(確率と重大性、MiniMax原理)+(4)合理的思考(シミュレーション・確率・運・流れ)
     +(5)熱意と覚悟(目的・目標設定、原則・防衛ライン)

  72. コッホの原則(4条件)(要素還元主義的な因果関係論)
     ある病気について、未知の因子(病原体)を、その病気の真の病因と認めるためには、1)その因子がその病気の全てまたはそれに近い数の患者に存在し、これらから分離されること(病気で分離)、2)それが純粋に分離培養できること(病因同定)、3)培養したその因子は、感受性のある動物で、それと同じまたはそれに近い病気を起こすことができること(生物実験)、4)その因子は、その動物より再び分離され、純粋に培養できること、の4つの条件が揃わなければならない。
    疫学的な因果関係:実行可能な仮説(現象論的な要因)+疫学的検定Evidence:多要因・複合要因説、リスク・ファクター
    疫学の3要素:宿主(個体差・遺伝・体質)・病因(寄生体・侵襲要因)・環境要因(時間的・空間的)
    EBM: 入手可能で最良の科学的根拠を把握した上で、個々の患者に特有の臨床状況と価値観に配慮した医療を行うための一連の行動指針

  73. 自殺者の行動(死への執念)はもともと異常である。救命は医者の信仰である
     自殺未遂、何をおっしゃるインフォームド・コンセント。自殺未遂者の説得は大変・困難。
     「死にたい」に、「ばかなことをいうな、なんで、頑張ろう」(原因追及・追い詰め・安易な励まし:禁忌
      vs. 「死にたいほど辛かったんだネ。傾聴+私も..体験談・気持ちを共感等、時熟を待つ」(共感)。
     「人生に深刻に考えるべき重大事などない」
    自殺の公式:自殺=自殺の準備状態(心が何かの理由で弱っている)+直接の原因。
          愛されていることに気付かず、復讐として・賭けとしての若者の自殺(時に重犯罪)。群発自殺と流行。
    うつ病と自殺:うつ病は心の風邪、仕事を減らして十分な睡眠。安易に励まさず、決断は先延ばし。
     自殺企図者周囲の人のストレスにも配慮。精神科疾患が多い。専門家の治療を。

  74. LEARNの5段階:患者教育
    Listen:傾聴、Explain:説明、Acknowledge:相違の明確化、Recommend:推奨、Negotiate:交渉

  75. Rossの説:末期癌患者の告知後:否認 -> 怒り -> 取引き -> 抑うつ -> 死の受容
     死の受容までの時間:1〜2週間。時間をおいて再説明。治療への不安が大きい:心の支え必要。
     感情+説明+依頼。時熟を待って再度。Time Place Opportunity (TPO)の配慮。 時に、second opinion.
     小学生でもわかるよう、繰り返し説明、曖昧に小出し受容プロセス。ショックで頭が空白になる。
     Holistic Approach(5): 身体の次元、感情の次元、知性の次元、社会の次元、たましいの次元

  76. みとり:死は医療の敗北の時ではない。死は患者さんの一生の締めくくりの重大な(人生の総決算の)時である。
    「死にゆく人は我々は神ではないことを知っています。ただ、見捨てないで欲しいことを願っているのです(S.Cassidy)」
    みとりの場の主役は患者さんと家族である。患者さんの人格(尊厳)の尊重。それまでの人生を肯定する姿勢で接する。
    死のプロセスへの参加。QOL. Help dying. 悔いのない看取りはない。側にいること。
    臨終は別れの大事な儀式である。死亡確認と家族の受容(悟り)のとき。よく頑張られましたね。

  77. 死は隠される:本当の死体を見る機会が極度に少なくなった。 ゲーム・バーチャルの中での死
    患者(私)にとっての死(1人称の死)、 家族にとっての死(2人称の死)、 社会にとっての死(3人称の死)
     行政上(戸籍・公衆衛生)、刑法的(社会的公正)、民法的(相続・損害賠償)
    自分の死:日常は忘却。不安(恐怖)と死の受容、時に瞬時
    共同体(家・村等)内の死(2人称) :サムライ時代の死(cf. Last samurai)
    大衆社会での死:ニヒリズム・宗教、現代社会での死:病院内での死(畳の上で死ななくなった)
     メメント・モリ(memento mori, 死を忘れるな)、Sein zum Tode (死への存在、ハイデッガー)
    医療人にとっての死(死をみとる立場) ターミナル・ケア:擬似的な2人称の死と、私の死(1人称の死)
    チーム医療:実際は3人称の死。看取り。 医療では他者を業務として扱う(2.5人称)。
     「医療倫理」と「医の倫理」:行動主義的アプローチ。「デス・エデュケーション、死の教育」
    本来の人文系の倫理は、1から2人称:人間学的アプローチ

  78. 死別後の悲嘆が強くなる要因(死をみとる1週間、柏木・今中監修、医学書院2002)
    患者:若年
    疾病:病期が短い、延命治療を受けてきた、外見的変形が強い、苦痛が強い
    死期:突然に起こった。急変があった(出血など)。
    人間関係:アンビバレントな感情を抱えている、敵意を持っている、依存的である。
    主な介護者:若年である、他の扶養家族がいる、身体的または精神的な疾病を持っている、他の大きな問題を抱えている、助けてくれる人がいない。

  79. 悪いニュースを伝えるとき
    1)まず、説明のための環境を整える。 「お待たせしました」
    2)患者さんが現状をどのように理解しているかを確認する。「思い当たることはありませんか」
    3)患者さんがどのくらい知りたいか尋ねてみる(かなりつらいことでも、聴きたいですか)
    4)情報を共有する(簡単な言葉で繰り返し、小出しに説明する)。「困りましたね、どうしましょうか」
    5)傾聴し、患者の抱く感情に対応(共感)する。患者さんの心配事を確認し、説明を加える。「心配なことは何ですか」
    6)要約し、今後の計画を立てる:最善を尽くすことを伝える。最後に質問と注文の機会を作る。「他に心配なことは?」
      「よく頑張っていますね」「できることを、できるだけ」「ぼちぼちいこうよ」「同じ目線で」
    怒っている時:a)怒りに対する最もよい対処法は共感すること。
     b)怒りや非難の原因をつきとめる。 c)怒りや非難の裏に潜む不安に気づく。

  80. 医師の使命は、患者を悲嘆のどん底に突き落とすことではなく、救済することにある。医師の安堵のための告知は禁。
    医師自らに敗北感を否定したい心理がある。医師が混乱してあいまいな表現をすると、患者はかえって混乱する。
    いかに希望を与え、救済するか、日頃から心の準備と人生への修行が必要。
    相談するときにはすでに結論は出ている(サルトル)。患者さんに聴いてみよう。患者さんから教わろう。
    心理戦では、理屈以上に、感情とイメージ
    。医師は楽観主義(で、現実主義)。自分が納得できずに、人を説得できない。
    悩みの大半が情報不足による。現実的・合理的には答えは自然に決まる。
    人はいつか必ず死ぬ:いかにして生きるか。自分の運命を楽天的にとらえ、最善を尽くす。他にあるか?
    memento mori (死を想え)。人生二度なし。一期一会。Everything that has a beginning has an end.
    患者は生きてきたように死んでいく(オスラー)。Death: final stage of growth (ロス).

  81. 自殺・他殺・突然死(含SIDS)・事故死・災害死等による突然の別れ(共通の傾向あり)。医療スタッフも巻き込まれる。
     死には、生物学的死・個人としての死・家族(身内)の中での死・社会人としての死がある。
     「死には」1人称の死(自分の死)、2人称の死(家族の死)、3人称の死(他人の死)
    悲嘆プロセス(死別反応):初期:衝撃と否認(茫然自失、否認・歪曲、離人感)。
     中期:対立と混乱怒り、孤立感、取り引き、合理化、記憶の加工、不適切な反応、罪責感、抑うつ)。
     最終期:再調整と回復(受容・自立):再調整の援助(時間をかけて傾聴・共感、問題の再定義、 解決への選択肢)。
     心的外傷後ストレス障害(PTSD):「再調整を失敗すると、PTSD、ひきこもり、うつ症状、絶望」
    対立・混乱期の中での医事紛争に飛び火(悲嘆プロセスの失敗としての医事紛争): 時に、ドクター・ハラスメント?

  82. うつ病と、ストレス反応性うつ状態:自殺の危険
      うつ病サイン:1)睡眠障害 2)精神運動性遅延 3)食欲異常・摂食障害 4)集中力障害 5)エネルギー低下
      6)抑うつ気分 7)運動意欲の低下 8)罪悪感・虚無感 9)自殺企図 (うつ病:5項目以上、2週間以上)
    cf. 燃え尽き症候群(burnout syndrome): exhaustion疲労, cynicism批判的, ineffectiveness非効率-> 医師/看護師もmental care

  83. 悩みに打ち克つ方法を知らない人は若死にする。知識だけでなく、知恵も学ぼう。
    仕事とレジャーのバランスを失うな。現実から逃げてはいけない。安易に励まさず、心を支える
    悩みを手馴づけ、生命の糧とせよ。病と共に生きる。道は開ける(デール・カーネギー)。

  84. 依存・依存症=コントロール障害 vs.自立できず、底知れぬさびしさ・不安・イライラという不快感からの逃避。
      母への依存関係からの不完全自立?(よい依存、悪い依存。渡辺登、朝日選書、2002)
    1)対人関係依存
     自立できず、退行して依存性人格障害(犯罪加害者に協力(依存)する可能性:ストックホルム症候群)。
     他人をコントロール・世話し安心感を得る対人依存・組織依存(場合によって Domestic Violence、虐待)。
    2)プロセス依存
     買い物依存、ギャンブル依存(パチンコ等)、仕事依存、携帯電話・インターネット・趣味依存、万引き・痴漢依存など。
      底知れぬさびしさ・不安・イライラという不快感情からの逃避、現実からの逃避。
      緊張・ストレスから ->行為による解放(快感) ->後悔:周期的行動、準備行動、反応行動。習慣化・強迫観念。
    3)物質依存症:アルコール、タバコ、むちゃ喰い・ダイエット依存、覚醒剤、有機溶剤など、物質による安易な逃避。
      ドーパミン快感の暴走・セロトニン不足。精神的依存・身体的依存。耐性、禁断・離脱症状、人格変貌。  
       「まじめな子ほど、まじめにドラッグを使い、まじめに壊れていく。
       心に傷を持った子ほど、その心の傷を埋めるために必死でドラッグを使う。そして死んでいく」

    Tx:興味の分散。快感を冷ます。習慣化を断ち切る。共同体参加。乳製品・バナナ(セロトニンup)。専門医へ相談。

  85. 「おれ、窃盗やっていた」いいんだよ。「わたし、援助交際やっていた」いいんだよ。
    「わたし、シンナーやってた」いいんだよ。「おれ、暴走族やってた」いいんだよ。
    「わたし、リストカットやってた」いいんだよ。「おれ、カツアゲやってた」いいんだよ。
    「わたし、家に引きこもってた」いいんだよ。昨日までのことは、みんないいんだよ。
    「おれ、死にたい」「わたし、死にたい」 でも、それだけはダメだよ。
    まずは今日から、一緒に考えよう。「夜回り先生水谷氏」  
    昨日のために今を生きるのではなく、明日のために今を生きよう。
    精神年齢が中学生で止まったまま、第2の生がうまくできず、自立(自律)できず、依存関係へ:教師・生徒モデル(お上・俺モデル)

  86. 問題飲酒者の飲酒の支え手をやめるための家族等への12の助言(他の依存にも共通)
    1) 本人に対する一切の思いこみを捨て、白紙に返す。 2) 本人を子供扱いしない。
    3) 本人への過度な注意集中を避ける。 3) 孤立を避け、同じ問題を抱えた家族同士で集まる。
    4) 本人の飲酒問題を止めさせようとして、脅したり懇願したりしない。
    5) 本人に対して監視的になったり、干渉的になったりしない。
    6) 本人の不始末は本人自身に責任をとらせる。 7) 本人の行動に一喜一憂しない。
    8) 言ったことは実行し、できないことは言わない。 9) 適切な機会をとらえて、本人に問題点を直視させる。
    10) 本人の暴力に屈しない。家族内で処理しようとせず、必要であれば110番の利用もためらうべきではない。
    11) 病院に過剰な期待を抱かない。12) 本人を病院任せにしない。
     専門病院・保健所・精神保健福祉センター・保健婦・ソーシャルワーカー等に相談

  87. 児童虐待の両親を追い込んではいけない。「おかあさん、いじめたんじゃない」=> 二度と来なくなる。
     自分から、言わせるようにする。「おかしいですね、こんなアザは普通じゃできないんだけど」
     児の加療優先 & 児童相談所へ連絡。囲む師は欠く vs. 背水の陣(は手強い)。

  88. 事故はいつでも、身近に、どこにでも。
     山口大学医学部付属病院リスクマネージメントマニュアル参照
     リスク・マネージメントマニュアル作成指針(厚生労働省HP,リンク参照)
     医療事故防止のための安全管理体制の確立について(中間報告) 
     ヒューマン・エラー=認知ミス+判断ミス+実施ミス。
     精神論でなく、エラーを前提にして、組織的リスク管理。事故を予測し、フェイル・セーフのシステム。
     失敗に学ぶ:責任・原因追求型から、再発防止型へ。ハインリッヒの法則:潜在的医療事故。
     もともと医療は失敗学で進んできた。失敗・成功情報の共有。リスクの組織知の共有。
     医療における安全管理(事故報告書、インシデント・リポート、リスク管理者、事故防止委員会、事故調査委員会)
     航空機では機械を信じろだが、医療では器械を信じてはいけない(設定ミス・操作ミス・停電・誤作動・感染)
     (交通)事故は知らない時、急いだ時、無理した時に起きる。
     熟練医の誤診・誤療とは、誤つべきところで誤たず、ごく些細な何でもないところで重大な誤りを犯してしまうものだ(白い巨塔)。

  89. 安全な医療を提供するための10の要点(厚生労働省ヒューマンエラー部会報告)
    (1) 根づかせよう安全文化 みんなの努力と活かすシステム
    (2) 安全高める患者の参加 対話が深める互いの理解
    (3) 共有しよう 私の経験 活用しよう あなたの教訓
    (4) 規則と手順 決めて 守って 見直して
    (5) 部門の壁を乗り越えて 意見かわせる 職場をつくろう
    (6) 先の危険を考えて 要点おさえて しっかり確認
    (7) 自分自身の健康管理 医療人の第一歩
    (8) 事故予防 技術と工夫も取り入れて
    (9) 患者と薬を再確認 用法・用量 気をつけて
    (10) 整えよう療養環境 つくりあげよう作業環境

  90. 患者の権利
    (1)基本的権利  1)個人の尊厳、2)平等な医療、3)最善の医療
    (2)患者の権利  1)自己決定権・IC、2)説明・報告を受ける権利、3)検証権(セカンドオピニオンを求める権利、医療記録の閲覧権)
               4)医療機関の選択と転医する権利  5)秘密保持とプライバシーの権利

  91. 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥(後悔)(人の頭を借りよう)
    思いこみは失敗のもと
    。伝票データ(検査・画像データ)のみにとらわれるな。自分の目で確かめよ
    「まあいいか」は、後で危ない。困ったときはホーレンソー(報告・連絡・相談)。
    First, Do No Harm.  No one is perfect.  Knowing your limitation. 
    わからないなら、(不用なことを)何もするな。
    目の前の病態にとらわれず、基礎疾患も探れ。

  92. クライシス・マネージメント(危急時):スピード(決断)と、チーム行動(リーダーシップ)
     1)決断と行動のスピードが重要:人命尊重が医療慣行より優先・最悪に対処(マーフィーの法則)
      Level対応(実害と最悪シナリオと風評被害、minimax原理、初動が勝負、チーム対応に時間がかかる)
     2)チーム行動とリーダーシップ:人を助けるにはチームワークがいる。情報と決断・実行。
      1人救助に3(2)人チーム。個別処理。連絡待ちでは手遅れ。時間との勝負。ともかく現場情報。
     実務チーム(対策・現場情報収集)、情報チーム(情報収集・分析・伝達・リーダーシップ)、渉外チーム
     緊急処置のヒト・もの・情報・応急シナリオの連携体制(そなえ)、報告・連絡網・リーダーシップ

  93. 医療安全・患者安全(Patient safety)優先の文化・環境:教育・トレーニング、プロセスの標準化・チェックリスト・プロトコール。
     
    事故発生のメカニズム:システムの欠陥、->ヒューマンエラーの重複、->エラー、->事故発生
      リスク・マネージメント(平時): Trouble shooting(80:20の法則), Risk-level の予測・対策
     Damage control: システム・構造・設計・安全配慮、フェイル・セーフ(fail safe)・ダブルチェック 
               エラーの事前発見・早期発見するシステム。
     Risk Management: 1) クレーム処理・対話・交渉・記録   2) リスク・ファイナンス(保険、予算)
       3) 予防的リスク・マネージメント:質の管理、危機の予測・回避・対処・最小化・再発防止、
                  イメージ・アップ、モラール・アップ、リーガル・チェック。社会との風通し。
    Transparency(透明性), accountability(説明責任)、M&M (Morbidity & Mortality) Conference: peer-review protected.

  94. 人は過ちを犯すものである。しかし過ちを繰り返し続けるのは悪魔である。過ちて改めざる、これを過ちという。
    過ちの事実2点:1)誰もが過ちを犯す。2)過ちを指摘されたとき、誰もが憎々しく思う。
     失敗を認めるのは速やかに、批判するのはゆっくりと、建設的に。
    日常的謝罪法: 1) 降参する。真実を認め、自分の非を認める。
     2) 誠実に対応する。できるだけ急いで償いを行動に移す。   謝罪の結果にこだわらない。
     3) 自分の非を認め、申し訳なく思っている、これからは態度を改めることを伝える。

  95. 議論から最高のものを得るには、議論を避けることだ。北風より太陽。
    vs. 人は鬼にならなければ、動かない。アメとムチ。
    相手方にイエスと言わすことは、相手に好感を起こさせた証拠であって、やがて相手を説得できる機会をつかめる(リピンコット)。

  96. 3種のトラブル原因
    1)利害:妥協点への建設的善後策。一部承認・過失相殺。
    2)プライド・感情問題:非言語的対応。言い分を聞き、冷静になるまで待ち、善処。
    3)真偽:情報不足による。争点整理、調査・報告・対策(・謝罪)、誠実対応。

  97. 危機管理:公正な手続(調査・報告・対策)感情への配慮・共感(謝罪・責任)。 
     組織の潤滑油:ホウレン草(告・絡・談)。一部承認(Yes, but)。
     問題は原則論か手続き論か?原則論で常識的結果なら、まず戦え。非常識な結果なら覚悟・善後策。
      手続き論なら、まず不便を詫び、チェック・調査。報告・(責任)・対策。
      4つの行動基準:正邪・和戦・勝敗・損得
    クライシス・コミュニケーション:実害以上に、社会的制裁への危機。広報とメディア・トレーニング。
     交渉人と証人・当事者で情報の一元管理。「違法性はないが、社会的責任は感じている」
    1)謝罪(お騒がせして)、2)調査(委員会究明中)、3)報告(開示予定)、4)処分(責任)、5)対策(応急・今後)
    ポジション・ペーパー:1)交渉の時系列。2)事実に基づいた妥当性。3)相手の論点。4)反論・主張
    クレームには初期の誠心誠意のスピードが大事。次に、調査・権限・組織内手続きとタイミング。
    クレーム記録(日付つき署名で、1年後役立つ)で、水掛け論に終止符。
    相手の言い分(実害、配慮の欠如・説明不備・感情的対立)を聞き、冷静になるまで待ち、善処・回答
    クレームの陰に訴訟・クライシスあり(ポジション・ペーパー、録音)。安易に文書を出すものではない。
    クレームには謝罪・感情の発露・守備攻勢落としどころ(防衛ライン、一部承認、報告・処分・対策、責任)。
    クレーム処理の80%は非言語的対応、冷静対応。相性により、担当者を変えてみる。
    納得の過程としてのクレーム処理:cf. Rossの説:否認 -> 怒り -> 取引き -> 抑うつ ->受容;1〜2週間
    話し合いの可能性の有無。社会的非難の可能性の有無。示談か訴訟か。リーガル・チェック。

  98. ポジション・ペーパー:第三者に統一情報・見解提供、内部の意思統一
     1)交渉経過を時系列に示す(誠意のプロセスを示す)
     2)相手の論点を明示する(公正さ・透明性)
     3)事実関係を客観的に示す(相手の非妥当性を示す)
     4)こちらの主張・反論(正当性・誠意)
     5)スジ論には誠実対応。現実論への感情トラブル:迅速対応・感情対応。

  99. 口は禍の門。沈黙は金、雄弁は銀。論より証拠。本当を云えなくとも嘘はいけません。
     人の噂も75日。ただただ、お騒がせ致しましてごめんなさい(原因究明は時間をかけて)。
     運が悪かったのオフレコは通じないプロフェッションの世界。ドク・ハラに注意
     情報開示の時代、隠し通せません(内部告発)。不可避に協力。平均率(確率)の法則。 
     世の中に小鬼はいるが、大鬼はいない。告発は善の時代。
     世の中には特異な考え方の人がいる(特にマスコミ)。マスコミは社会への窓。
     一旦納得した人が、入れ知恵されて、後でよくこじれる(医事紛争化)。
     喧嘩を売ってくる人がいる。喧嘩を買ったら、既に負け。金持ち喧嘩せず?ハシゴ外しに注意。
     それを言ったらおしまいだ、となる言葉に注意。嘘も方便ではない、嘘より沈黙
     相性もある。縁がなかったとあきらめ、他の対応。
     受け入れがたい状態の納得過程としての紛争もある。 

  100. 「待て、話せばわかる」だが、話してもわからない人もいる。
    政府・医師・教師・公務員・警察官等になぜか初めからコンプレックスを持っている人がいる。
    態度の悪い学生は 既に自分自身でシグナルを発して 壁を作っていることに 気付かない。
    納得しない限り、説得は出来ない。文句をよく言う人こそ、文句を言われるようなことをする。
    「指導が悪い」「テーマが悪い」という学生ほど腕が悪い。
    「学生の腕が悪い」という教授ほど指導能力がない。 反面教師という利点(?)があるかな?
    「先生が封建的だ」といってさぼっている学生ほど、封建的となる:「民主的に」というのは面倒なものなのだ。
    「医師はエリートでない」といって反発してさぼる学生ほど、エリート意識を大事にするようになる。
    ヤクザ戦法:無理難題を請求。言葉尻を追求。とにかく謝らせる。小さな無理をさせ、後で脅迫(ハシゴ外し)。

  101. 非暴力的危機介入のポイント(「学校危機への予防・対応マニュアル」抜粋要約)
    不安を高め、暴力行為に発展させないよう、相手の「他人に入られたくない空間」を尊重する
    向き合って立つと、相手は「攻撃されている」「脅されている」と感じる。自分の姿勢に注意。
    自分のしぐさ、表情、動き、声の質などを、相手が驚異に感じないものにする。
    相手の感情に対し善悪の判断をせず、尊重するような接し方をすると、行動が理解できる。
    相手の言葉を確認するように繰り返す質問を投げかけ、真のメッセージを聞くようにする。
    相手の挑発的な態度や質問は無視する。正面から答えると、言い合いの泥仕合に陥りがち。
    相手にできるだけ大量のエネルギーを放出させるため、可能なときは言葉で発散させる。

  102. 不当要求には一歩も引かない信念と気迫。冷静対応・15分後に再考
    1)名前、車のナンバー・携帯番号の確認。名刺は偽名かも。
    2)密室には行かない。複数でチーム対応、連絡係を用意。TPOはこちらのペースに。
    3)初期対応:言い分を十分聞く・面談。手続き的トラブルなら対応は迅速に行う。
    4)不当要求なら交渉時間は区切る。先約があるので、20分に限らせて頂きます。
        今日は先約がありますので、明日の午後○時にお話は伺います。
    5)応対内容を記録する:メモ、録音、ビデオ。ポジション・ペーパー
    6)無用な論争はしない。言い掛かり自体が目的(ヤクザ戦法)。
      15分の傾聴で怒り・感情を解く。怒りは15分待ってみる。小さな要求に応じない(ハシゴ外し)。
    7)「誠意をみせろ」の誠意とは何かと具体的に聞き出す:暴力団対策法
      脅迫罪、恐喝罪、威力業務妨害罪、不退去罪、民事訴訟・仮処分
    8)即答しない・解決を急がない。「事実関係を調査します」
    9)署名・押印はしない。小さな要求がエンドレスとなる!
    10)トップが直接対応しない:即答を迫られる。にわかコンサルタントがグルかも。
    11)警察・暴追センター、法的対抗手段の検討、医師会。内容証明郵便。
    全国暴力追放運動推進センター: http://www1m.mesh.ne.jp/BOUTSUI

  103. コンフリクトの対処法
      1)回避・先送り:譲歩・妥協
      2)交渉:協調的交渉(win-win)と競合的交渉(win-lose)
      3)闘争・戦争:(win-lose)破壊的
      4)調停・仲裁・訴訟(和解)
      5)利己的解決法:勝手な思い込み、話し合わない・没交渉、敵意・不信感、突然破壊的行動(現代の若者に多い)
      6)過剰協調:集団内の和優先、すぐ妥協して一致を求める、封建的 (現代の若者に多い)
    協調的交渉のコミュニケーション・スキル
      1)情報収集{1)対立点・立場・タテマエ・強み弱み、2)本音・欲求・感情:要求と対応策、3)共通点}
      2)情報伝達{協調的雰囲気作り、傾聴・質問、怒りへの建設的対処}相手の真意・本音を探る
      3)共通の基盤作り{問題の見直し、代替案・妨害(競合)案、合意形成}交渉のヤマ場作り:Win-Win的解決

  104. 意思決定の発達段階(Danesh&Danesh)
    1)乳幼児期:世界は私のもの・自己中心的、本能的自己防衛 :生存本能
    2)小児期 :世界は危険なもの・力の支配行使、恣意的・集団防御:権威封建主義的
    3)青年期 :世界はジャングル・生存競争、「勝つ」こと:パワーの行使、闘争的
    4)成人期 :世界は一つである・真実正義、多様性・結束・共存:協調的

  105. ハーバード流交渉術:原理原則立脚型交渉、合理的交渉
     1)人:人と問題を分離せよ。 2)利害:立場ではなく利害に焦点を合わせよ。
     3)選択肢:行動について決定する前に多くの可能性を考え出せ;相手が乗らない場合(本質的利点に絞る、第三者介入)、
      相手が強い場合(ガード固め、BATNA (Best Alternative To Non Agreement)不調時決裂時代替措置、最大希求・満足・最低受忍水準)。
     4)基準:結果はあくまでも客観的基準によるべきことを強調せよ。
    交渉の構造:a)合理的交渉とb)非合理的(日本的)交渉。i)敵対的交渉とii)協力的交渉。等がある。
     1)論争主義的交渉モデル:獲得利益の最大化が目的、分配型交渉、ゼロ・サム交渉、Win-Lose交渉。しっぺ返し戦略。
     2)問題解決(統合的)交渉モデル:双方の真のニーズと解決策の創造、利益交換型交渉、プラス・サム交渉、Win-Win交渉
    囚人のジレンマ状況;チキンゲームでは、協調がベースだが、相手が敵対的態度の場合、しっぺ返し戦略が最大の利益を生む。
    しっぺ返し(Tit for Tat)戦略:1)礼儀 fair、2)短気な報復、3)協力すれば寛容、4)明確な基準
    日本式交渉スタイル:誠意の重視、甘え、信頼関係の構築重視、腹芸・根回し重視、御輿担ぎのコンセンサス重視・代替案なし。
    日本式の特徴(西潟眞澄):a)性善説に立ち、理解し合えないことはないとの思考傾向、b)誠心誠意で分かり合うのが交渉の王道、
     c)術策や威嚇的言動は得るところがない、d)信頼関係が成立すれば互譲の精神で解決の糸口がつかめる、
     e)雄弁は不要で、真摯な態度が重要、f)変化に対応できる柔軟性が重要で、時に玉虫色の暫定的取り決めでもよい、
     g)相手が圧倒的に強い時は温情に頼るべし、h)相手が弱い時は惻隠の情を持って接すべし。

  106. 交渉術:1)情報の収集法・解析法、2)質問力、3)客観的態度・バランス感覚。(リーガル・ネゴシエーション:加藤新太郎、弘文堂)
    説得=1)情緒的説得:相手の感情に訴えて説く。愛情、美醜、プライド(Yes-But法)、自主性(暗示話法)
        2)功利的説得:利得欲、利害、メリットとリスク評価。 3)規則による説得:恐怖心(規則と不正)、結果責任と過失責任。
    暗示話法:1)自分で決めたと思わせる。2)相手が考えたかのように言う。3)「か」を使う(〜ではないでしょうか)。
    戦意喪失:相手のミスにつけ込む。時間枠設定。害悪の告知。相手の内部矛盾の拡大。テーマ・相手・時期・土俵の主導権。
    交渉の1)主導権、2)正当性、3)相手が自ら決断したという流れをつくる。

  107. ピーターの法則:階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する(階層社会学)。
    やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。
    仕事は、まだ無能レベルに達していない人間によって行われている。
    Creative incompetence(創造的無能):望ましくない昇進をしないための偽装された無能

  108. 危機管理の典型例:安全と水はただではない。君子、危うきに近寄らず。あわてるな、気をつけろ。
     交通人身事故:事故発生→被害者への救護措置・救急車手配→危険防止措置・続発防止
     →警察への届け出・事故状況の証拠の収集・目撃者住所→被害者への見舞い・保険会社への通知
     →示談開始(民事責任)・道義的責任(門前払され、怒鳴られても、誠心誠意詫びる)
      ・刑事責任・行政処分、医学生なら大学への連絡、信頼できる人に相談。
     大事故:大きな声をあげ、人を集め、119に110で場所をいう。ひとりで飛び込むな、よく見ろ。
              現場(証拠保全)の保存。捜査・救助への協力。
     テロ・事件:パニックにならず、身の安全の確保(目立つな・争うな。話して分かる人なら事件を起こしていない)。
            連絡をとれ。隠れて、よく見ろ。むやみに触るな。現状保存。事後に捜査協力。
    犯罪:119に110通報:名前・連絡先、初期支援(宿泊・修理等)、証拠保全・証言・司法解剖、マスコミ対策
     被害者支援ネットワーク、直接的支援(買い出し・子守等 by 身内・近所)、安全確保、夜間パトロール
     カウンセリング、検察庁:被害者への通知、裁判傍聴、示談交渉・損害賠償請求(民事裁判)
     記録の閲覧・謄写、意見陳述、経済的支援:犯罪被害者等給付金、出所情報開示
    cf.犯罪被害者救急マニュアル、第二東京弁護士会犯罪被害者支援センター運営委員会。小学館。2002。
    山口県警察本部被害者相談電話:083-923-9110  性犯罪:083-932-7830, 0120-378-387
           少 年:083-925-5150, 0120-49-5150  交通事故:083-923-9110
    山口地方検察庁被害者ホットライン:083-922-3153
    被害者・災害者心のボランティア、ハートラインやまぐち:083-974-5115(火・木)
    山口県男女参画相談センター(配偶者暴力相談支援):083-901-1122
    山口いじめ110番:083-923-2264 
    精神保健福祉センター      
    防災学習ねっと

  109. 大型災害・災害医療   自然災害:台風・洪水・津波・火山爆発・干ばつ・熱波 等
    人為災害:大量搬送事故(航空機・列車・船)・火事・工場爆発・
                  NBC (nuclear, biological, chemical)・テロリズム・戦争
    (0)被災者避難:身の安全確保・呼吸防護、パニックを避ける。周囲に退避指示・110か119へ連絡。
      情報収集に協力(but, 絶対に引き返さない)cf. サリン・炭疽菌・ヒ素カレー。余震の間は引き返すな。
      救助は三日以内(72時間の壁)。一人より多数、生存者優先。 現地の医療機関も被災者。
      ライフライン破綻・音信不通・交通渋滞。音信不通は悪い徴候(連絡さえとれない)。
      3日分の備蓄・生活用品・食料・ラジオ・ライト。
    (1)個人防護:2次汚染・災害防止、グローブ・ガウン・ゴーグル ・マスク・呼吸防護 等
             やられる前に自分(医療チーム)を守れ(備えあれば憂いなし) 
    (2)ゾーニングと除染:ホット・ゾーン;ウォーム・ゾーン;コールド・ゾーン。2次災害対策:隔離
    (3)トリアージ:黒(治療適応外)・(緊急治療群)・(治療待機群<4hr)・(、要治療>4hr):triage tag
                     three T: triage, transportation(搬送), treatment(治療)。見込みのある患者に全力を。
    (4)分析:原因究明・2次災害予防・救援計画 
    (5)治療、対策、応援、ライフ・ライン、災害計画・訓練:備蓄の問題 
    (6)死体検案:(黒)個人識別、死亡時刻、死亡の種類(地震(8)火災(5))・死因 cf.阪神大震災
      震災特有の死因:圧死={外傷性窒息症候群(胸部圧迫による窒息)or胸部損傷死}、クラッシュ症候群。火災。
      災害ストレス死(心臓突然死・高血圧・脳血管障害・SAH・感染症/インフルエンザ・エコノミークラス症候群・脱水等)、
      PTSD(心的外傷後ストレス障害)、うつ:心のケア。
      震災関連死:「避難所生活の肉体・精神的疲労」「救助・救援活動の激務」「病院の機能停止による初期治療の遅れ」など
    全国広域災害・救急医療情報等リンクサイト  山口県

  110. ナレッジ・マネジメント(Knowledge Management):知識管理
    IT時代+知識産業=知識革命:知識資産と知識創造
    形式知・暗黙知、個人知・組織知: データ、情報、Knowledge(知識)とwisdom(知恵)
    暗黙知をいかに共有可能な形式知にするか or 知の空洞化・流出(fire(解雇) & forget(忘却))。
    知識が共有され、創造される「場」の重要性、知のネットワーク、インターネット等のITの活用
    ナレッジワーカー:自律性、タスク定義・組織ビジョンの共有、継続的イノベーション、コーチング、量より質
    Motivationより、インセンティブ(価値付け)(金銭というよりrespect, proud)
    ナレッジ・ブローカー、エキスパート・ネットワーク、テクノロジスト・ネットワーク、ナレッジ・プロデューサー
    ナレッジ・リーダーシップ(ビジョン・シナリオ・ナレッジマップ)
    専門知、顧客知、ベストプラクティス知+失敗知(成功・失敗例から学ぶ)
    組織人(忠誠心、ローカリティ・ルール)と、プロフェッション(生き甲斐、コスモポリタン、常識)
    cf. 山口大学の基本理念: 
    「発見し、はぐくみ、かたちにする」 知の広場

  111. 実験に完璧な失敗はない。それが無効だったという実例として役立つ。
     失敗の中に大発見が隠されていることがある。失敗は発明・発見の母。
     実験がうまくいく場合は何かがおかしい?うまくいった実験は繰り返すな?
     「偶然は準備のできていない人を助けない(パスツール)」
     「発見には幸運、発明には知性が必要(ゲーテ)」 人生に3回は幸運がある?
     「もったいないが成功の母。研究者はそういった心で新しいことに取り組んでほしい(田中耕一ノーベル賞学者)」
     「データがおかしいと思ったときはとことんまで追究しないと、新しい発見を見逃すことになる(田中耕一先生)」 
     「私は、生涯、自然の中に隠れている秩序を、わずかでも、かいま見ようとしてきました。すべての科学は、世界の中に存在する調和を、信ずる必要があります。理解したいという私たちの思いは、永遠のものです。」(アインシュタイン)
      後輩の実験技術は先輩から見て必ず未熟に見える。
      先輩の実験技術は後輩から見て必ず手抜きに見える。
     「これは簡単だ」と思った実験は失敗する。
     飛び跳ねた試薬は、必ず目の方に向かって飛んでくる。
     使おうと思ったときに限って分析機器が空いていない。

  112. 世間(自然)は生きている、理屈(仮説・理論)は死んでいる(勝海舟)。
     実験は水洗いから。真理は本の中にはない、自然(実験・臨床・実践)の中にある。
     同じ実験でも時代(手法)が違えば、何かが見つかる。 常識にとらわれるな。
     Conceptualな実験と、Data的・応用工学的・方法論的実験。パラダイムの拡張か、そのシフトか。
     職業科学者 vs. 夢見る科学者:ホームランやヒットを打ちたいが、バントも職人として必要。
     日本のバイオ基礎研究は欧米に比べて遅れている。 でも、多くの日本人は気付いていない。
     科学におけるアメリカ一国主義。アメリカ(の都会)から見れば、日本は単なる1つのムラ。
     研究者の業績は秤(論文の重さ)で計れるのか?論文の価値は難しい。日本はimpact factor万能?
     impact factorにはアメリカの政策が反映されている。日本独自の研究は無視される。

  113. ハクラクの法則:川の急流(不条理)に文句を言う余裕はない、急流を乗り切ることに専念せよ。
           (博士号をとる?とらない?徹底大検証!白楽ロックビル、洋土社、2000)
    綱渡りの法則:どんなことがあっても右手で綱をしっかりつかんでから、左手を放せ。さもなくば、落ちます。
    イス取りゲームの原則:臨機応変にねらうイスを時事刻々注視せよ。漫然としていてはイスに座れない。
    自腹の原則:大企業も中小企業時代には、銀行は見向きもしなかった。研究者もしかり。多くが手弁当で仕事してきた。
      ホンダ・ソニー・松下等や、田中耕一ノーベル賞学者をみよ。みな下積み時代に官僚機構は評価できなかった。
      銀行や文科省が育てたかの官僚的幻想に、自由な若手研究者はくじけて負けてはならない。
    「これからは研究費は自分で稼ぎなさい」という小泉改革(文句を言うなら、潰れなさい?)
    (国立大学医学部教室費:教育費光熱費等全部込みで一人月数万円以下;小遣い程度で世界と戦いなさいという要求)
    欧米諸国では高等教育にGDPの0.7〜1%が費やされているのに、我が国は0.4%程度。それをさらに削減しようとしている。
    封建的手法:知らしむべからず、依らしむべし。vs. コミットメント、アカウンタビリティ、インセンティブ。
    イノベーションには、つねにリスクが伴う。しかし、イノベーションを追求することに伴うリスクは、イノベーションを追及しないことに伴うリスク(破滅)よりもはるかに小さい(P.ドラッカー)。
    現在の医療・大学・教育改革ははたして明治維新・戦後改革タイプか、戦前の集団指導・挙国一致・統制改革か?
      10年後の歴史が証明する?その時、責任者・功労者は不明?vs. 欧米では責任者名を冠している。
    欧米の民主主義・都市整備・社会保障・司法制度・研究助成に比べて日本のものはなんと貧しいことか。それが行政改革で...
    ハードルが跳べない子がいるからと、ハードルの飛び方を教えずに、ハードルをなくしたら、ハードルを跳べる子もいなくなった?
    日本型研究システムに欠点があるとして破壊して、何もしないなら、日本の研究システム・科学水準は壊滅する。
    多様性は生物の生き残り原則:多様性に対する寛容性(自由・競争)をなくし、寡占・統制に走ることは自滅への道。
    鉄は熱いうちに打て、学問に王道なし。

  114. やってみなはれ(京大魂・西堀栄三郎)」
     まず、始めること、次に、続ける(あきらめない)こと。志ある者は、事ついに成る。
     金はなくとも、頭と電気(?)と水(?)は使い放題。とことん試行錯誤してみる。
     いい仕事をするには、まず自分が楽しまなければならない。
     仕事は与えられるものではなく、自分で作るもの
    。自分の可能性に挑戦する。
     「これはおもろい」「どうだ、これが私のアイデア・発見・作品だ!」を純粋に楽しむ。
     脳は研究対象だが、それ以上に使うためにある。
     セブン・イレブンの研究者(午前7時出勤・午後11時退室)。
     石の上にも3年、10年で専門家運・鈍・根・金・勘。大発見、10年経てば当たり前。 

  115. 志を立てて以て万事の源となす(吉田松陰)。  新しきことは長州から(長州魂)。 愚を学べ(高杉晋作)
    至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり(吉田松陰)。
    事に望んでは心が卑しくてはならない(吉田松陰・高杉晋作)
    「志を立てるためには人と異なることを畏れてはならない  世俗の意見に惑わされてもいけない  死んだ後の業苦を思いわずらうな  また目前の安楽は一時しのぎと知れ  百年の時は一瞬にすぎない  君たちはどうかいたずらに時を過ごすことのないように (吉田松陰が亡くなる1年前に弟子に送った漢詩)」
    凡そ人一日この世にあれば、一日の食を喰らい、一日の衣を着、一日の家に居る。なんぞ一日の学問、一日の事業を励まざらんや(松陰、獄中にて)。
    面白キ事モナキ世ニヲモシロク  住ナスモノハココロナリケリ(高杉晋作・東行:動けば雷電の如く。発すれば風雨の如し)。
    「真(しん)があるなら今月今宵、あけて正月誰も来る」 「これより長州男児の腕前をお見せする」 (高杉決起の言葉)
    「胆あり、識あり、思慮周密、廟堂の論に堪ふるものは長州の桂小五郎。識あり、略あり、変に臨んで惑わず、機を看て動き、気を以て人に勝つものは高杉東行」(中岡慎太郎)
    Number Oneは時代の流行・状況に左右されるから、Only One を目指せ(廣中平祐先生)。
    発見し、はぐくみ、かたちにする:知の広場(山口大学)。
     

  116. 天才とは1%のひらめきと99%の努力の賜である(エジソン)。
    もっともらしい考えの中に、新しい問題の解決の糸口はない。
    ひとつの考えを形にするには、平均して5年から7年かかる。ときには25年の時間が必要になる。あきらめないことだ。
    いくら知識をつめこんでも、創造的な目的で使わなければ、知識は恐怖と無知のもとになるだけだ。
    36歳が人生の曲がり角:36歳までは人生の準備期間である。それ以降が、現実に立ち向かう勝負の時なのである。
    観察力や創造力は、きたえなければ育たない。必要は発明の母。

  117. 研究者の仕事の半分は発表することである
     研究者には経営者・プロデューサー感覚が必要。自分の研究への投資や宣伝・資金獲得等。
     自分のオリジナルを如何に意義づけ、発展させるかが重要。
    40迄はチャレンジ・勉強(失敗を恐れるな)、40からは社会還元(一般的には35才)。

  118. 大学は、1に教育、2に業務、3・4がなくて、5に研究: 昨今は、1にも2にも??。
    大学の医学教育の目標は、いい医者を育てることと、将来を担う医学研究者を育てること。
    哲学は心理学へ通ず。心理学は生物学へ。生物学は化学へ。化学は物理学へ。物理学は数学へ。数学は哲学へ。
    日本では、文系の学問は語学である。語学だけでは??

  119. 科学=機械論的物質主義 + 確率統計学的認識。事象を物理化学+確率統計学の言葉で説明。
    仮説とパラダイム、各論的精密さ:方法論の重要性。科学的事実と科学的推論の区別。
    反証されえない理論は科学的理論ではない(カール・ポパー)
    数学は科学の女王(代数的アプローチと幾何学的アプローチ)。
    偶然と必然。可能要因と実現要因。決定論とゆらぎ・不確定性。現象論・実体論・本質論のらせん状の進化。
    現象論:現象そのものへ。実体論:実体の発見、構造解明。本質論:モデル的思考、数学的モデル。
    生命の特徴:動く、生殖・再生、食物連鎖・平衡・システム、多様性と棲み分け、進化・適応。
    生物機械論・分子機械:自己構築を行う化学的機械(物質主義的機械論)。
    細胞説、進化論(自然選択説、用不用説)、発生反復説(個体発生は系統発生を繰り返す)、
    メンデルの法則、突然変異説、セントラル・ドグマ(DNA/RNA/Protein)

  120. 真理(善・美)はsimpleで、美しい。 神はサイコロをふらない(アインシュタイン)。
    真理は全体(体系)である。真理は主体的に理解されなければならない(理念/ヘーゲル)。
    不確定原理。粒子(実体)であり、波動でもある。E=mc2, 質量(実体)とエネルギーの関係。
    有であり、無であるものが、関係の中で実体となる:有と無の弁証法。(量子力学的世界観)
    美・善は醜・悪を知るほど美しさがわかる。美は美の中ではわからない。美と悪の弁証法。
    真理の発見(あれか、これか)から、Model building(非ユークリッド幾何学)(あれも、これも)へ。

  121. 青いお空の底ふかく、海の小石のそのやうに、夜がくるまで沈んでる、昼のお星は眼にみえぬ。
     見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。
    散つてすがれたたんぽぽの、瓦のすきに、だァまつて、春のくるまでかくれてる、つよいその根は眼にみえぬ。
     見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。           「星とたんぽぽ」 金子みすず

  122. 医者が悪いのではない。本人が悪いでもない。病気が悪いのである :それでも医師は悪徳か?
    医療費が高い、医療の質が悪いという:しかし、医療の質は医療費・人件費に比例する。
    医療は既に統制経済下にあり、(自由)市場原理に従っていない:でも、経営努力が足りないという。
     診療費体系は医師ではなく、政府が決めている。本来、市場原理では価格は需要と供給のバランスで決まる。
     医療が安く供給できることはいいことで、市場原理導入では医療供給が悪化すると、医師の多くが現状に耐えている。
    日本の物価は世界1だけど、治療費はアメリカの1/4程度(盲腸手術代はアメリカの2割)と安い。
    日本の医師の収入はアメリカの医師の半分以下。高度医療を行う有能な医師は更に逆相関する。
    日本の国民医療費はパチンコ産業程度の30兆。葬式産業(15兆)の倍。先進国では少ない方。それでも高い?
    アメリカの病院では医師・職員・ボランティア数が日本の10倍多い。それでも日本では多いという?
    入院費用は部屋代・食事代・基本看護料こみで1日6000円程度で、ビジネスホテル以下。それでも高い?
    日本は世界で最高水準の医療を安い値段で行っているのに、市民は誰も知らない?
    「医師が悪いから医療が悪い」というと新聞でウケるが、いい医師がいても当たり前。
    クリントン前大統領は医療事故を50%削減すると宣言し、事故の大部分の原因が医療従事者の過労・不眠によるとして、改善のために予算を増やした。日本では結局、 システム論・精神論のみで会議や仕事は増え、医療費は逆に減額されている。
    (参考:日本の医療に未来はあるか、鈴木厚、ちくま新書; 日本の医療、池上・キャンベル、中公新書)

  123. 医者が治しているのではない。治る力を助けているのである。
    本人の体と心も病み、家族も病む
    (自律モデルの難しさ;病気の時と平生とでは判断が異なる)。
    患者さんを、身内(親・兄弟・子供)と思って、み(診・看)なさい(恩恵モデル、パターナリズム)
     自分が他の人にして欲しいように、他の人にしなさい。患者中心・患者本位・QOL。
     親切は人のためならず(自分のためとなる)。相手の身になって考える。
    自分自身や身内が病気をした時に、診て欲しい医師、命を託せる医師になっているか?
    医学は科学ではない。科学を応用したアーツ(医術)である(W.オスラー)。医学は人間学である(日野原重明)。
    医師は病に対して患者さんと伴に闘う戦士だ。医師は強くなければならない。患者の身になれなければならない。
    能力あるものはその能力を適切に使わなければならない(白い巨塔)。
    下医、病をいやす。中医、人をいやす。上医、国をいやす。

  124. 医者というものは、患者のためにあるのです。地位も名誉も意味のないことです(須磨先生Project X)。
    患者は命をかけて医者を信じている(上山博泰先生:プロフェッショナル)。
    全ては患者さんのために
    。 難しい手術をやる場合の僕のdecision(決断)は、うちの家族、あるいは僕がこの病気にかかったとしたら、僕はこの病気をどうしてもらいたいだろうという事を考えて、どういう手術、治療方針でやるかという事が、僕のベーシックな路線ですよね(福島孝徳先生)。
    あきらめたら医者ではない。逆風が強い方が、人間は鍛えられる。「患者の命は一分の一」プロは難しいことを簡単にする(延吉正清先生:心臓カテーテル治療のパイオニア)

  125. 患者さんの直感を信じよ (臨床では無視した時に事故が多い。手続プロセスのレールに乗せよ)。
    Listen to the patient. He is telling the diagnosis. 病気の原因は患者さんに聞け
     傾聴。臨床面接={情報収集、ラポール、患者教育}
    患者さんは家庭の医学を読んでいる。多少の異常は病気ではない。"Is there anything else?"と再度聞いてみる。
    患者さんはいろいろな背景をかかえている。患者は病気に対して、医者は社会に対して無知である。
    病気の後ろには人間の不幸が隠れている。病は無知と貧困からくる(赤ひげ)。
     闘病:病と闘う。病気:気が病む。医療:病んだ気を支える。幸福になるための医療。
    人は見かけではわからない だが、信頼は言葉や態度・身だしなみから。
    患者・家族は医師の言ったこと全てを理解しているわけではない(自律モデルの難しさ)。
    我慢強い患者さんがいる、手遅れでやっと言う患者さんがいる:患者さんは決心して受診している
    黙って座ればピタリと医者は解ると思っている患者さん(警察官・検察官)がいる。
    薬理作用としての医者患者の話をよく聞くことは、最も効果のある「時間」を処方していることである。
    医師にとって患者は多数の一人でも、
    患者にとって医師は一人である。
    病院生活は医療人にとって日常的だが、患者にとって闘病生活は非日常的である。

    詐病患者は知恵者である。患者の不当な訴え(詐病・虚偽診断書等)は犯罪である。  
    当直医、あなたは夜の院長先生(夜の医療コーディネーター)。

  126. 女性を見たら妊娠をおもえ:(1)子宮外妊娠等の急患、(2)禁:X線検査、(3)セクハラ(2人きりにならない)
    大部屋で深刻な話をしてはならないプライバシー配慮
    李下に冠を正さず:セクハラと疑われるな。女性の直腸診は女性看護師を呼びなさい。
     酩酊者に注意しろ:頭部外傷・腹部外傷。(医療事故に多いパターン)
    騒いでいた患者が黙ったら悪化の印。老人の「ちょっとおかしい」は要注意。
    小児は大人の小型ではない。乳幼児や老人は勝負が速い(急速に悪化することがある)。
     転送元の病院を信用するな(常に再評価)。点滴・投薬、転倒・転落事故に注意。
    電話では患者のことは答えない(守秘義務)。必要なら、電話番号を聞いてかけ直す。
    心停止、死亡宣告は更に5分待て(心停止後の生体反応あり。難しい)。
    X線撮影室は危険なところ(付き添い必要)。経験豊かなナースの言葉は重い。
    眉を安易にそってはいけません(数ヶ月恨まれる)。背伸びせず、上級医に相談。
    不安にさせないために:参考書を開くときは、「大事なことなので、確認しますね」と一言。
    未熟さを補うものは、真摯な態度、誠意、情熱のみ。何事も実践・練習なくしてうまくはなれない。
    ドク・ハラに注意:傷つけた人はすぐ忘れるが、傷つけられた人は忘れない
    患者さんは急変するものと心得よ:連絡先を明確に。自分の目で診ろ。診察・検査を面倒がるな。

  127. Evidence-based Medicine(EBM):情報過多時代の新しい取り組み方。
    :個々の患者の医療内容の決定に際し、最新で最善の根拠を、誠実に、明快に、思慮深く利用する。
    Evidence-based approach:1)research evidence, 2)clinical expertise, 3)patient preferences
    PICO: Problem/patient, Intervention (Exposure), Comparison intervention (Control), Outcome
       cf. オッズ比=起こる確率/起こらない確率 50/50=1, 10/90=0.111, 90/10=9
    臨床問題解決:1)仮説演繹法(hypothetico-deductive approach) 2)パターン認識(pattern recognition)
     Decision tree。統計学的推定、危険率、信頼区間。ベイズ(条件付き)確率。、シミュレーション。
     論文は{真実、バイアス、偶然}?研究デザインとランダム化。危険率・信頼区間。
     有意差は有意ではない。異常値=異常ではない。検査値は絶対ではない。教科書にも嘘はある。
     小事は細心に、大事は大胆に。Evidenceの優越。判断は評価で、決断は選択。
     手続論的正当性(消去法、負けても無責任)と原則論的正統性(勝てば官軍)。
     目的と手段、原因と結果の区別。疾患を治療するのではなく、患者さんを治療しなさい。
    緊急時の優先度:1)重症度、2)病変部位、3)短期予後
     ICとプライバシー尊重。教育と予防。患者優先(tailor-made)。代替医療。セカンド・オピニオン。

  128. 診断の経験則
    診断は系統的に行う。Common disease と最悪をまず考慮。
    患者さんの症状は1つの原因(疾患)から起こることが多い(病因一元論)。
    鑑別は頻度の高い疾患(common disease)から検討。見逃すと重大な結果につながる疾患を必ず考慮する。
    Common diseaseがまれな症状を呈することは、まれな疾患がよくある症状を呈すること よりよくある。
    診察時に、患者が痛みを訴える部位を(最後に)必ず触診しなさい。
    疾患だけでなく、事故・事件・副作用も忘れるな(cf.気道内異物、中毒・副作用、外傷、虐待 等)。
    見えない外傷(頭部・胸腹部・後腹膜・骨盤)に気をつけろ。原因不明の症状には薬の副作用を疑え。
    発熱は抗生物質が不足のために起こるのではない。薬の変更は1種類ずつ行え。
    できるだけ非侵襲・最小限の検査。迷った時は取り返しのつく方を選択する。
    検査をしても治療方針に影響がないなら、その検査は行わない。
    検査はライフルのように使うべきで、ショットガンのように使うな。
    原則・禁忌・適応・優先度・情報の信頼度を考慮。検査結果が異常の時、行動する前に再検せよ。
    時間は最も偉大な診断医である。

  129. 外科医べからず集:梶谷語録に学べ 大鐘稔彦 金原出版 : 法医解剖にも通じる。
    手術室で無駄口をたたくべからず。手術室で大声を出すべからず。助手は出しゃばるべからず。数人で同じ操作をすべからず。
    手術記録の記載を翌日まで延ばすべからず「後でやろう」と思うべからず他人の手術を見ることの重要性を忘れるべからず
    不十分な視野で手術を強行するべからず検索は健常部から、病変部を先にす るべからず。第1結紮は交叉すべからず。
    結紮には不必要に太い糸を使うべからず。出血部をガーゼでこする拭くべからず。止血のためにガーゼをバラでつめこむべからず。
    止血困難なとき、あくまでも鉗子で挟もうとするべからず:圧迫しておいて心を静めよ
    縫合の針や糸を乱暴に抜くべからず。一箇所に深入りするべからず。胃腸管を乾燥させるべからず。
    胃腸管内腔を拭いたガーゼ片、綿片を毎回更新を怠るべからず。血液の色に注意を怠るべからず
    手術創を閉じる前にもう一度見直せ手術は逃げるべからず
    手術前に勝負事をするべかず。手術日に約束事を入れるべからず。マイホーム型人間になるべからず。
    職場から遠距離に住むべからず。マンネリズムに陥るべからず。経営本位の病院に勤めるべからず。金儲けを企むべからず。

  130. 三度目の正直、CPAOA :受診後、帰宅させて、CPAOA
    (1)非典型的な症状の急性心筋梗塞・解離性大動脈瘤   (2)軽いクモ膜下出血・脳血管障害
    (3)アルコール泥酔者と頭蓋内損傷                             (4)感冒性嘔吐 vs. 髄膜炎(特に小児)
    (5)急性胃腸炎 vs. 腹部大動脈瘤破裂、腹膜炎、穿孔   (6)肋骨骨折と脾臓・肝臓破裂
    (7)腹部打撲と膵臓破裂、小腸・腸間膜破裂
    帰宅時のフォロー:「今のところは大丈夫だと思いますが、悪くなるようならいつでも来てください(心配なら入院してください)」

  131. 簡単に説明しても家族は理解できない。病状を詳しく説明すると家族は混乱する。説明すればするほどさらに家族は混乱する。医者のムンテラは常に説明不足である?
    病は体だけではない。気(精神)が病み、家族も病み、社会も病む。心を支える、のが医療の基本。

    =自律モデル(autonomy)の難しさと、恩恵モデル(beneficence)の必要性。

  132. High Risk Patients(法医学・医事法学 ・救急医学的な) 
    (1)アルコール泥酔患者  (2)暴力団関係者とその近親者  (3)待合室で既に腹を立てている患者
    (4)過保護児と親   (5)交通事故・喧嘩等で未成年者が一人で受診(家族に連絡をとる)
    (6)近親者に医療事故経験者  (7)権利意識の極端に強い人  (8)他の医療施設の職員と近親者
    (9)軽い症状で頻繁に救急受診する患者 (10)薬物中毒の患者  (11)被虐待児と親
    (12)訴えと所見が合わない場合(小児虐待、DV、老人虐待、中毒)
    (13)交通事故・暴力事件など事件性の高い人、保険請求が生じる外傷の人
    (14)精神科疾患、特に境界型人格障害  (15)超高齢、3ヶ月以下の乳児
    (16)少しでも疑った場合に要注意の疾患:心筋梗塞、胸部大動脈解離、腹部大動脈瘤、クモ膜下出血、虫垂炎、髄膜炎、腸重積、急性喉頭蓋炎、子宮外妊娠、睾丸捻転、骨折、創内異物 等

  133. インフォームド・コンセントの禁忌 (ハーバードの医師づくり、医学書院)
    1)Don't worry. 「心配いりませんよ」のみ。(結局、説明不足)
    2)「絶対に治してみせます」「成功を保証します」と約束する。(結果債務の約束。But, 医療は手段債務)
    3)色よい返事をもらうために実際より侵襲や副作用が軽いかのように説明する。(詐欺)
    4)強引な説得。非協力的だと非難したり、不利益を匂わすような脅迫的態度。(脅迫・強迫)
    5)当事者能力がない患者からインフォームド・コンセントを取る。(詐欺)

  134. 医者には3種類がいる。風邪の患者に注射を打ってくれと頼まれて、
    (1)風邪になんか効く薬はない。栄養と休養をとって家で寝なさいと説教をして、注射を打たずに帰す医者
    (2)これはすごく良く効く注射だと御託を並べて、注射を打つ医者
    (3)世間話をしながら診察したあと、黙って注射を打つ医者
    さて、どれが正解?

  135. タイプA行動パターン(虚血性心疾患のリスクファクター)
    1)目標に向かって常に懸命に邁進     2)競争心が強い(敵意性)
    3)認められ、昇進することを執拗に望む    4)つねに時間に追い立てられている(切迫感) 
    5)加速度的に思考および行動する        6)肉体的・精神的に鋭敏

  136. No evidence of malignancy であり、No malignancyではない。手段債務(診療契約)と結果債務。
    伝聞「--という」。「健康である」ではなく、「--所見上、異常を認めない」。
    医師は言葉を使うプロフェッション:言葉には注意せよ(言葉には表と裏がある)。
    給料には責任料が入っている。
    修正液の使用でも、カルテ改ざんと言われる。訂正印、サインを忘れるな。記憶より記録。

  137. 朝焼小焼けだ 大漁だ 大羽イワシの大漁だ。
    浜は祭りの ようだけど 海の中では 何万の イワシのとむらい するのだろう。   「大漁」 金子みすず

  138. 情報管理:セキュリティー。情報は解き放されると、勝手に一人歩きする(情報の取り扱い倫理)。
    個人情報保護の、OECD 8原則(1980)
    1)収集制限の原則:第三者から患者の情報を収集する時は、(1)法律に基づいて行うか、(2)本人の承諾を得ることが必要である。
    2)データ内容の利用目的限定の原則:個人データは、利用目的に必要な範囲に限り、正確かつ最新のものであること。
    3)目的明確化の原則:個人データの収集目的は、事前に明確化する。データの利用目的も同じ。目的を変更する場合は、その目的を限定する。
    4)本人の同意なくしての目的外利用の制限の原則:本人の同意のない場合、目的外利用をしては成らない。
    5)安全保護の原則:個人データの保護について、合理的な安全保護措置をとらなければならない。
    6)個人データの保有にかかる公開の原則:個人データにかかる開発・運用及び政策については、一般的な公開の原則がとられなければならない。また、個人データの管理者名、管理所住所、データ内容、利用目的なども公開する。
    7)データ管理者に対する本人の権利に関する(個人参加)原則:a)データ所有者に、自己のデータがあるか否かを確認できる。
     b)自己のデータを(1)合理的な時期に(2)適当な経費で(3)わかりやすい形で、知ることができる。
     c)上記のa)b)の要求が拒否されたとき、その理由を知ることができる。また、拒否に対して異議を申し立てることができる。
     d)自己のデータを消去、完全化、補正させることができる。
    8)データ管理者の責任に関する原則:データ管理者は、上記の諸原則を実施するための措置を行う責任を持つ。

  139. 刑事事件では証拠は光よりあきらかなるべし。
     無実のひとりを罰するくらいなら、有罪の十人を逃がせ。冤罪を作るな!
     自白だけを証拠に罰することはできない。被告人は無罪と推定される。
     立証されないことは存在しない。顕著な事実は立証を要しない。
     罪を憎んで人を憎まず(死刑廃止論へ) vs. 眼には眼を、歯には歯を(ハムラビ法典の世界)。
     医者は年寄りがいい(無理強いをしない)、弁護士は若い方がいい(無理をしてくれる)。

    罪と罰:治療(medical)モデル vs. 正義(justice)モデル cf. (中嶋博行;この国が忘れていた正義、文春新書)
     更正モデル(犯罪者の更正改善) vs. 賠償モデル(被害者の救済)
     死刑廃止(EU)、死刑停止運動、死刑・正義モデルと冤罪の危険性
     被害者救済制度の欠如;民事での当事者主義・民刑分離の原則、附帯私訴(旧刑訴法)
     憲法:国家暴力vs.人権の構造;犯罪者「福祉型」社会(更正改善の幻想)。犯罪被害者の救済は想定外。
     いじめ問題:教育問題か、犯罪か

  140. 法は倫理の最低限。法律はとどまり、人は動く。
    法は正義なり:最大多数の最大幸福
    ADR(Alternative Dispute Resolution, 第三者介入):利用者の自主性、非公開、簡易・迅速・廉価、多様な専門家の知恵
     自己決定権と愚行権・公序良俗。自己決定権では、自己判断能力の有無の評価が大事。
     法の不知は抗弁とはならない。人間は完全無欠の合理人(法の前提)か、感情の動物か(愚行権)?
     科学・医学はステップして進歩して行くが、法律家はあちこちぶつかりながら、地べたを這っていく。
    法学教育の目的は、リーガル・ナレッジを与えることではなく、リーガル・マインドを作り上げることである(パウンド)。
    リーガル・マインド:学説・判例等を参考に、他人を納得させる能力。批判的思考。大切なことを見分ける能力。論理力。
    法律:立方趣旨、保護法益(利益の調整・社会の要請)、要件、効果
    法的三段論法:事実(認定)+法律適用(解釈)=法律的結論。事実認定の問題。
    努力義務vs.確定的な・具体的な義務。法律における、原則と例外。法的安定性vs.具体的妥当性。
    強行法規(刑罰法規と取締法規)と任意法規(主に民法cf.契約自由の原則)
    「法は、権利の上に眠る者を保護しない」

  141. 刑事は罪刑法定主義((1)構成要件・(2)違法性・(3)有責性)、 推定無罪と挙証責任、起訴便宜主義、社会的公正。
     医療行為の正当性の3条件:診療予防目的、患者の承諾、医学的に妥当な方法(+医師免許)
     プライバシーと情報開示。医師の守秘義務(電話・証明書に注意、当事者の同意書を要求)。応召義務。
     親告罪:過失傷害罪、器物損壊罪、親族間の窃盗罪、名誉毀損罪、強姦罪等 

  142. 民事は  (0)権利能力平等の原則
         (1)契約自由(私的自治) の原則 vs 公序良俗・信義則
         (2)所有権絶対           vs 公共の福祉
         (3)過失責任主義(予見・回避)  vs 天災・不可抗力
    民事裁判は負担の公平分担。当事者主義・過失責任主義。証明責任と過失の一応の推定。
    医療契約は準委任契約:手段債務と応召義務。Do my best. 救命・完治の結果債務ではない:それは神の領域
    医療水準に沿った診療・予防サービスを提供する手段債務。説明義務、安全配慮義務。期待権。
    医事訴訟=1)技術過誤(作為・不作為)、2)不可抗力事故(予見・回避不可)、3)慣行・態勢事故(医学・医療水準)
    Informed consent、患者の権利。恩恵モデル(beneficence)と自律モデル(autonomy)。 Truth telling
    注意1秒、訴訟一生。証拠の偏在と反証、証明責任の転換。カルテは医師の備忘録から開示の時代へ。

  143. リーダーシップ:援助して可能な能力を発揮させること。将来へのビジョンを確立すること。
    勇気づけ、指導し、模範となること。成功へ導く関係を確立し、維持すること。理想主義を語れる現実主義者。
    リーダーシップ :1) 目標達成(goal, teach), 2)チームワーク(共感と信頼)  = 仕事の力量と人間的魅力 
    a) vision/goal、知識・見識、熱意・自信 b) 率先力、コミュニケーション、現場主義  c) positive-thinking、責任感、誠実さ
    コミュニケーション環境。やる気を認め育てる。生産的なチームの信頼感作り。目標設定。敬意・賞賛・報奨。
    失敗・苦情・批判の処理。集中と訓練。熱意。積極的態度を養い、否定的な人に巻き込まれるな。

  144. ゲーム理論
    囚人のジレンマ:損・得、裏切り・強調・報復、利得表:当方vs敵方
    負けない戦略:ゼロサムゲーム、マックスミニ(最小利得の最大化)(vs 最大損失の最小化)、チキンゲーム
    非ゼロサムゲーム、ナッシュ均衡、ゲームの樹(分岐図による分析)
    対抗・退出、闘争・融和、参入・非参入、結託行動・協力・非協力、規制と自由
    正面対決・戦闘規模・コスト・初期投資、差異化戦略、ニッチ戦略
    共有地の悲劇:モラルハザード、正と負のシグナリング、ホールドアップ問題
    プリンシパル・エージェント問題:インセンティブ、コミットメント、当て馬・代役
    プロジェクトX問題:会社の短期的利益 vs 個人の自己実現
    4つの確率(使える!確率的思考:小島寛之、ちくま新書):1)数学的確率:対称性・正規分布等、無記憶性
     2)統計的確率:データの頻度主義、平均値・標準偏差・期待値  
     3)主観的・心理的確率:ベイズ主義、ベイズ推定;事前分布・学習機能、事後確率  4)論理的確率:証明可能性
    マルチンゲール:「その確率現象が過去にたどってきた足取りをどんな風に利用して推測しても、未来に生起する数値の平均値は今現在の数値そのものである」
    合理的な選択と、正しい選択:手術しなければ5年生存率50%、手術すれば5生率90%、手術時死亡率は1%の場合、合理的選択は手術を受ける。でも、手術で死亡すれば、正しい選択とはいえないことになる。

  145. 戦い方のキーワード:敵を知り、己を知れば百戦殆うからず。自分の得意手で相手の弱点を攻める。
    1) 先手・主導・意表・機動(スピード)。機先を制する。大数の法則。一般方向。戦略思考。
      情報収集・臨機応変・優先順位・スピード・チーム力。
    2)現場主義:局所的優位と弱点攻撃。具体的な相手・環境の研究
    。各個撃破。
      勝ちパターン・得意技。
    隠し玉。
    3)力と意思の集中
    。創意工夫。勝ちへの意志。プラス思考。大きく考える魔術。
      warm heart, cool head
    . 悔いの残らない思い切り。プロのこだわり。あせらず、あわてず、あきらめず。
      戦力を温存する指揮官は必ず敗北する。
    戦略は安全に、戦術は豪胆に。勢いを止めるな
    勝負の3要素:確率・勢い・運。データの3/4は不確実で確率的、知力・勇気・自信で克服。
     歴史・地理・慣行・戦力と流行・タイミング・不測の事態・悪意・運。常在戦場。敵の立場で考える。
     ピンチはチャンス:やる気・勇気・熱意。先読みシミュレーション(3手は)。
    不戦の上策。勝たなくても負けなければよい。逃げるが勝ち。闘わずして戦いに勝つ。怒は敵と思え(家康)。
     1)戦略(不戦の上策、目的・目標、客観的状況把握、戦力up・技術革新・得意技、終わり方)
     2)戦術(一般方向・目的の銘記、現場主義、風林火山、熱意・集中力・チーム力、創意工夫、情報力)
     3)ロジスティクス(後方支援:スピード・費用対効果、人物金・TPO、Life-line、先読みシミュレーション)
     4)危機管理(早期発見・対処(speed)、予防・最小化、Image-training、Level対応、担当を置く)
      戦力自乗(大数)の法則:戦力は人員の自乗に比例。人員が2倍差は4倍の戦力差に匹敵。 
                             (1:1で50%の危険確率、1:3で1/9。抑止力。同じ数では警官だって恐い)
    弱点(敵の翼か背後)・各個撃破が正攻法中央突破 ・逐次投入は勝っても大損害
     囲む師は欠く、背水の陣にさせない。敵もさるもの引っ掻くもの。予備目標への切り替えを許す作戦をとれ。
     戦力の逐次投入は大いなる過失。失敗した後、同様な攻撃は行うな。相手が油断しないうちは攻撃すな。
     決戦方面に兵力を集中する。敵の弱点または苦痛とする方向に指向する。
     敗北に至る崩壊・パニックは小部隊から始まる。勝利もまた、最前線の小部隊から始まる。
    戦いの終わり方を考えずにその第1歩を踏み出してはいけない。攻勢には限界点がある。
     声東撃西。笑裏蔵刀。順手牽羊。打草驚蛇。混水模魚。上屋抽梯。
     反客為主。空城の計。反間の計。三十六計逃ぐるに如かず。風林火山陰雷震。

  146. チームリーダーはいつも正しい(must, 最終責任者、結果に3倍差)。
    リーダー:礼儀と規律・職務命令を組織人として守らす。報告連絡相談(ホーレンソー)。
       リーダーの心のわからぬ人はリーダーになれない。目標管理。展望。決断と実行。
      命令は簡明に。目標・分担・責任範囲の明確化。不確実性・誤謬・予想外の事態の考慮。
    武器なき人格者は滅びる。君主は愛されるより恐れられよ。指導者は希望を扱う人だ(ナポレオン)。
    為さざると遅疑するとは最も戒むべき所なり。兵は巧遅より拙速を貴ぶ。指揮官は時として非情であれ。
    決断力のない君主は中立に逃避して滅びる。関ヶ原の戦いでは、中立は敗者。
    最初の1撃をもちこたえよ。次善の策を嫌い、最悪の策をつかむ愚に陥るな。
    強い人は勝負を後ろ伸ばしにでき、力の均衡・不安定に耐えられる(相手のミスを待てる)。
     狼に指揮された羊の群は、羊に指揮された狼の群より怖い。貴族は武士に戦場では負ける。
     将を射んとせば先ず馬を射よ。卑怯でも勝てば官軍。武蔵の兵法(遅刻・欺く?)。油断大敵。
     十を以て其の一を攻むる。正を以て対し、奇を以て勝つ。西欧流の騎士・紳士のモデルは狐。
     守備攻勢は攻撃守勢より有利。退却の時期と勇気。不利な地から逃げよ。
     英雄的死は戦略・戦術・ロジスティクスの破綻による消耗戦で、邪道。敗軍の将は兵を語らず。
     一方的勝利は実社会では禍根を残す。汝の敵を愛せ。唇亡びて歯寒し。遠交近攻。漁夫の利。
    戦の勝利は最後の五分間にある。逆転のチャンスは最後の最後まである。
    リスク最小は破滅への道(チャーチル)。大胆は最大の安全。同じ戦いをくりかえすな
    「運は天にあり。鎧は胸にあり。手柄は足にあり。何時も敵を掌にして合戦すべし。疵つくことなし。死なんと戦えば生き、生きんと戦えば必ず死するものなり。家を出ずるより帰らじと思えばまた帰る。帰ると思えば、ぜひ帰らぬものなり。不定とのみ思うに違わずといえば、武士たる道は不定と思うべからず。必ず一定と思うべし」(越後の龍;上杉謙信)

  147. ランチェスターの戦略の法則    3倍の大兵が基本(2段カバー)。
    一騎打ち法則: M0 - M = E (N0 - N)  M0,N0: M・N軍初期兵力  M,N: M・N軍残存兵力  E: 武器効率 
    確率戦闘の法則: M02 - M2 = E (N02 - N2)  (二乗法則:戦闘能力は兵力の二乗に比例)
    1)一点集中主義 2)弱者・弱点攻撃(攻撃目標)(強者と対決しない) 3)局地ナンバーワン(シェア)主義(競争目標)
     独占シェア:73.9%, 相対的安定シェア:41.7%, 差別的優位シェア:26.1%, 並列的上位シェア:19.3%
     認知シェア:10.9%, 市場的存在シェア:6.8%。
    戦術は3:1で必勝(3対1原理)。弱点へ3倍の兵力集中。全戦闘力の2/3を戦略力に、1/3を戦術力に配分。
    戦略シナリオ:目標管理。特化・差別化と強味、優先順位、資源配分、戦略的組織運営
    弱者の戦略:ゲリラ戦、局地戦、一点集中、接近戦、一騎打ち、陽動作戦。強者の戦略:物量作戦。
    1)夢の状態 2)最善の目標 3)現実的目標 4)受忍ライン 5)失敗・先延ばしケース 6)最悪のシナリオ
    長期的・中期的・短期的戦略と戦術。3C(Customer, Competitor, Company)の分析

  148. 歴史は繰り返す。歴史から学ぶ。 歴史の重層性、歴史の偶然と必然。
    循環史観(シュペングラー:文明の春・夏・秋・冬)と進化史観(トインビー:文明のチャレンジ)
    君主・民主・共和制等の循環史観:マキャヴェリズム。
    唯物史観(マルクス:上部構造の文明と下部構造としての科学技術)。資本主義とエートス(M.ウェーバー)。
    成長の限界(成長曲線):勃興期(春)、成長期(夏)、円熟期(秋)、衰退期(冬)。
    個体発生は系統発生を繰り返す。
    組織・会社の寿命30年説。組織の進化の必要性。科学とパラダイムの進化(パラダイム・シフト)。
    21世紀はエコにエゴ。循環型社会・調整型社会(成長による矛盾の解消が難しくなる?vs. 新技術革新・文明の挑戦)

  149. 日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条(小松真一) 山本七平 角川書店
    日本の敗因、それは初めから無理な戦いをしたからだといえばそれにつきる。
    1.精兵主義の軍隊に精兵がいなかった事。 2.物量、物資、資源、総て米国に比べ問題にならなかった。
    3.日本の不合理性、米国の合理性。4.将兵の資質低下(緒戦で大部分死んだ)。
    5.精神的に弱かった(大和魂も、戦い不利でさっぱり威力なし)
    6.日本の学問は実用化せず、米国の学問は実用化する。 7.基礎科学の研究をしなかった事
    8.電波兵器の劣等(物理学貧弱)。 9.克己心の欠如。10.反省力なき事
    11.個人としての修養をしていない事。 12.陸海軍の不協力(縦割りシステムの不協力)。
    13.一人よがりで同情心の無い事。 14.兵器の劣悪を自覚し、負け癖がついた事。
    15.バアーシー海峡の損害と、戦意喪失(対潜水艦への無策による大量虐殺(見殺し)の繰り返し)。
    16.思想的に徹底したものがなかった事。17.国民が戦いに厭きていた。
    18.日本文化の確立なき為。19.日本は人命を粗末にし、米国は大切にした
    20.日本文化に普遍性なき為。21.指導者に生物学的常識がなかった事
    (現代は戦前の状況と似ているとの指摘。借金・無責任大国の現実。成長期の良き官僚から、悪しき権威主義官僚時代へ。歴史は繰返す?)

  150. 役人学三則(末広厳太郎、昭和8年、当時東大法学部長のアイロニー、岩波現代文庫)
    第一条:およそ役人たらんとする者は、万事につきなるべく広くかつ浅き理解を得ることに努むべく、狭隘なる特殊の事柄に特別の興味をいだきてこれに注意を集中するがごときことなきを要す。いやしくも出世を希望するかぎり、夢にも専門家になってはならない 。(専門家不在の行政、安易な成果主義)
    第二条:およそ役人たらんとする者は法規を盾にとりて形式的理屈をいう技術を修得することを要す。(まず社会があり社会生活があっての法律である、というような考え方は役人にとって禁物である。よき役人はよろしく概念法学流に法規を材料としてなるべく簡単に取り扱えるような概念的範疇を用意すべきである。ひとの迷惑など考えてはいけない)
    第三条:およそ役人たらんとする者は平素より縄張り根性の涵養に努むることを要す。(いわゆる縦割り行政)
    (最近は、ガイドライン(目標)・コントロール:相手に言わせて自己責任とし、金と人は減らして、仕事だけ増やして競争させる。後は評価で高みの見物。アメリカなら、口も出すけど、金も出すのに。競争当事者は金も人もなく、競争と評価でヘトヘト状態)。

  151. 生き残るのは、最強な種でも、知性豊かな種でもない。ただ変化に最も適応が早い種だけが生き残る(自然選択説:C.ダーウィン)。
    学問上の「達成」はつねに新しい「問題提起」を意味する。それは他の仕事によって「打ち破られ」、時代遅れとなることを自ら欲するものである。学問に生きるものはこのことに甘んじなければならない。(M.. Weber:職業としての学問)
    人類社会への衝撃を与えた科学理論:コペルニクスの地動説、ダーウィンの進化論、フロイトの精神分析理論、分子生物学。

  152. 変化・闘争・力の均衡・規則と刑罰による安定・運命の女神の存在が常態か(マキャヴェリズム、英米法的)、
    vs. 安定・平和・見えざる手による調和・絶対的解決策の存在・万能神の存在が常態か(反マキャヴェリズム 、大陸法的)。
    人徳(果断・自制心)ではなく人気を、能力(備え)ではなく人の良さを重視したときが危機:腐心。
    規律・公序良俗、個人的利害に優先する価値観の尊重vs.モラルハザード。目的は手段を正当化する。
    君主(リーダー)たるものがめざし、考え、職務とするものはただひとつ、それは戦いである。
    「人からしてもらいたいと欲するところを人にもなせ」(聖書)vs.「人があなたにやりそうなことを人にもなせ」?

  153. 投資哲学五箇条。世の中、資本主義。株はやらないが、研究生活に通じるものがある。
    1)株は借金して買ってはいけない。自分の持っているお金で買え。
    2)(証券)会社のセールスマンの言うことを聞いてはいけない。
    3)株を買うのに、平均株価を気にしてはいけない。
    4)株価が倍になったら、半分だけ売れ。
    5)株を買うときは、全部いっぺんにまとめて買ってはいけない。 (邱永漢)
    ベンチャーは全財産の1/3でやれ。3回目で成功する確率が高くなる。
    金持ち喧嘩せず。安物買いの銭失い。無い袖は振れない。時は金なり。一刻千金。貧すれば鈍する。
    損して得取れ。金は天下のまわりもの。地獄の沙汰も金次第。貧乏暇なし。
    利益=売り上げ−費用。商売の原則は等価交換。本業と副業の連結経営。キャッシュ・フローとクレジット。
    売り上げ=単価X数(回転率)。リピーターと回転率。監査では大きいもの・率・前年比に絞る込む。
    3つの決算書:貸借対照表(資産・負債)・損益計算書(利益)・キャッシュ・フロー計算書(現金)
    ローリスク・ハイリターンは、得意分野で予算内の投資。ギャンブルの極意=勝っているときに席を立つこと。
    カンバン方式:必要なものを必要なときに必要な分だけ指示する。受注生産。在庫は罪庫。
    商売の基本はchance-gain(売り上げ機会の獲得)。機会損失(chance-loss)を考え、少し高めの目標。
    「自分だけの情報を集め、二合目、三合目で買い、じっと待つ」これが株式投資の妙味であり、原則である。
    1)銘柄は人が奨めるものでなく、自分で勉強して選ぶ
    2)二年後の経済の変化を自分で予測し大局観を持つ
    3)株価には妥当な水準がある。値上がりの株の深追いは禁物
    4)株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する
    5)不測の事態などリスクはつきものと心得る    (相場師一代、是川銀蔵、小学館文庫)

  154. 教育の要点はモチベーションと基本技能修得・自立促進(社会勉強)。 教育の基本は愛と熱意。
     マズローの欲求5階層モデル:生理的欲求・安全の欲求・社会的な欲求・自尊心・自己実現欲求
     公平説・強化学習説(正の強化、負の強化、消去、罰)・期待説。
     動機づけ:ハイジーン要因:福利厚生・労働条件・職場環境
     モチベーター要因:やりがい、達成感(達成できる範囲)、独創性、持続性
     レッテル効果(先入観)、ラポール(自分を深く語る)、しゃべりながら聞く(反射、質問)。
     サブ・ゴール効果、foot in the door効果、door in the face効果、2段階依頼・タイミングと順序。
     ニンジン(報酬)効果、ピグマリオン効果(肯定的期待)、極端な値踏み
     締切り効果と遅延、制限効果、失敗効果、希少価値・信頼を高める。集団圧力。
     天の邪鬼心理、ブーメラン効果(北風, Don't)、プラス表現(If -- ,then you can do it)。
     同調性の心理、成功体験の効果、スキンシップ、予告効果、暗唱の効果
      See it, do it and teach it. 子は教えたようにはしない、見たように真似る。
    教育の3E: Emotion(驚き、感動、気), Encourage(勇気づけ), Evaluation(評価してあげる) (内藤広郎) 

  155. 授業の腕を上げる法則:趣旨説明、簡明に、確認する、個別評定、激励し続ける、
    一時に一事、所時物を与える、内容の細分化、全員で、空白禁止(授業の腕を上げる法則、向山洋一、明治図書)
    教師とは夢を語り、学生を信じ(性善説)、能力と希望を育てる仕事。
    創造的な表現をすることと知識を得ることに喜びを感じさせることが、教師にとって最高の技術です(A.Einstain)。
    想像力は、知識よりも大切だ。知識には限界がある。想像力は世界を包み込む(A.Einstain)。
    専門的な知識を習得することではなく、自分の頭で考えたり判断したりする一般的な能力を発達させることが、いつでも第1に優先されるべきです(A.Einstain)。
    学ぶこと、そして一般的に、真実と美とを追究することは、我々が一生涯子供でいることを許されている活動範囲である(A.Einstain)。

  156. 批判ばかりされた子どもは 非難することをおぼえる
    殴られて大きくなった子どもは 力にたよることをおぼえる
    笑いものにされた子どもは ものを言わずにいることをおぼえる
    皮肉にさらされた子どもは 鈍い良心のもちぬしとなる
    しかし、激励を受けた子どもは 自信をおぼえる
    寛容にであった子どもは 忍耐をおぼえる
    賞賛をうけた子どもは 評価することをおぼえる
    フェアプレーを経験した子どもは 公正をおぼえる
    友情を知る子どもは 親切をおぼえる
    安心を経験したこどもは 信頼をおぼえる
    可愛がられ抱きしめられた子どもは 世界中の愛情を感じとることをおぼえる 
    (ドロシー・ロー・ノルト:子ども、川上邦夫訳「あなた自身の社会 スウェーデンの中学教科書」)

  157. フロムの性格の類型
    非生産的性格:外から権力や財産を奪い取って自分の内面の空しさを満たそうとする。他人とは支配-服従の関係、ものには争奪・破壊の関係を持つ。
    生産的性格:自分が主体となって活動して仕事に打ち込み、愛情によって人の成長をたすける。他人とは愛情や信頼に満ちた関係、ものには生産的・創造的な関係をもつ。

  158. フランクリンの13の徳:節制、沈黙、規律、決断、節約、勤勉、誠実、正義、中庸、清潔、冷静、純潔、謙譲。

  159. 世の中で一番楽しく立派なことは、一生涯を貫く仕事を持つ事です。
    世の中で一番みじめな事は、人間として教養のない事です。
    世の中で一番淋しい事は、仕事のない事です。
    世の中で一番みにくい事は、他人の生活をうらやむ事です。
    世の中で一番尊い事は、人の為に奉仕し決して恩にきせない事です。
    世の中で一番美しい事は、すべてのものに愛情を持つ事です。
    世の中で一番悲しい事は、うそをつく事です。
             福沢諭吉 論:独立自尊

  160. 知ってることと、できること とは違う。言うは易く、行うは難し。Skill 以上に、Will.
     実際に行う必要のない人には、不可能の文字はない。
    努力しているかぎり人は迷うものだ
    (ゲーテ)。迷ったなら初心に返れ(初心忘るべからず)。
    Knowing is not enough; we must apply.  Willing is not enough; we must do. (Goethe)
     一隅を照らす、此れ即ち国宝なり(最澄)。
    「目には目を」では世界が盲目になるだけだ(ガンジー)。
    弱い者ほど相手を許すことができない。許すということは強さの証だ(ガンジー)。
    「会社(組織)のためだとしても、本人自身が自分の目標を掲げ、自己実現のために燃えて努力したならば、その結果は社会のためになる、ということになるはずだ」

  161. 幸福のパラドックス: 幸福を求めれば求めるほど満たされない欲望の罠。永遠の不満状態。
    幸不幸を決めるのは、起きた出来事自体ではなく、それをどう受け止めるか次第である。
    人間万事塞翁が馬。 運・不運の一生の期待値は0? 
    魅力は手に入れやすさに反比例する。Appealingness is inversely proportional to attainability.
     人は手に入りにくいものほど欲しがる。vs. 幸せの青い鳥。

  162. 安全は多くの場合迷信で、自然には存在しない。長い目で見れば危険を回避することが、危険に身をさらすことよりも安全とはいえない。人生は恐れを知らぬ冒険か無か。変化に顔を向けること、あるがままの運命の中で自由な精神をもって行動することが打ち負かされない力を生む(ヘレン・ケラー)。

  163. 苦しいこともあるだろう。言いたいこともあるだろう。不満なこともあるだろう。腹の立つこともあるだろう。泣きたいこともあるだろう。これをじっとこらえていくのが、人の修行である。
     やって見せて、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ。
     あせるな.怒るな.威張るな.くさるな.怠るな.
     4つ我慢:私語の・注意を受ける・孤独の・協調の我慢。
    人の2倍・3倍の時間をかけて努力すれば、必ず追いつき、追い越せる(パスツール) 終始一貫(北里柴三郎)。

  164. 偏差値なんか気にするな。偏差値は創造力や人間の尺度ではない。
     アインシュタイン(+田中耕一氏)だって落第している。人生にはいろいろな道がある。君ならできる。
     気にする人は既に術中にはまっているか、負け犬根性。小学校卒で、首相になった人もいる。
     チョンマゲ切ってからまだ百数十年しか経っていない。全て固定的と思うな。挫折が人を成長させる。
     利潤より、よい仕事を取るべきだ。Boys and girls, be ambitious.
     日々の活動は行いであれ、日々の行いは愛の中であれ(ゲーテ)。
     人は裏切ることがあるが、科学・仕事は裏切らない血と汗と涙(努力)は裏切らない
     人生とは重き荷物を背負って坂道を登るようなもの、 忙ぐべからず。及ばざるは過ぎたるに勝れり(家康)。
     「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」方丈記。万物流転、君子豹変。
     志を得ざれば、再びこの地を踏まず(野口英世)。 妻に負け、子供に負け、人生には..(高校時代の先生)
     人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり(信長)。

  165. 「私と小鳥と鈴と」  金子みすず
    私が両手をひろげても、お空はちつとも飛べないが、飛べる小鳥は私のやうに、地面を速くは走れない。
    私がからだをゆすつても、きれいな音は出ないけど、あの鳴る鈴は私のやうに、たくさんな唄は知らないよ。
    鈴と、小鳥と、それから私、 みんなちがつて、みんないい。

  166. 自信力:自分らしさを信じられること。
    己を知り、社会を知れば、百戦危うからず:自分の強み・弱点・価値観。
    あなた以外、自分自身の才能と可能性を判断できる人はいない;自分自身を信じなさい(G.Gould)
    好きなこと・得意なことを伸ばそう。減点主義より加点主義で。悔いのない人生を。
    最も偉大な技術とは、自分を限定し、他から隔離するものをいうのだ(ゲーテ)。

  167. 君たちは若く、未来があります。人には未来を見る能力はないが、未来を信じて、ポジティブに生きることが重要です。そうすれば、現時点での生き方もよくなる。行き詰まったときは、心の中の奢りやこだわりを捨て去って「素心」に戻ることが必要です。(廣中前学長退任挨拶より)
    行動することで人は輝く(河合伸也先生)。温故創新(沖田極先生)。為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり・和を以て貴しとなす(座右の銘;石原得博先生最終講義)

  168. Self help is the best help.  Yes, I can. 夢は墓までかかぐ(ヤスパース)。勉強も一生涯。生き生きと、よく生きよ(ゲーテ)。
    命は短かい、術は長い、機会は去り易い、経験は騙されやすい、判断は難しい。Art is long, life is short (ヒポクラテス). 

    人生に絶望なし(ヘレン・ケラー)。存在の不安:不安が存在を開示する(ハイデッガー) vs.安易な依存への誘惑。
    未(ダ゙)来(ナイ)でなく、将(ニ)来(ル)するのである(no fate)。過去や未来に生きるのでなく、今に生きよう。
    将来・現有・既有(非日常的世界) vs 未来・現前・忘却(日常的世界)(存在と時間ハイデッガー)

参考文献:マーフィーの法則(アスキー出版)等

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作成者:藤宮龍也 Tatsuya Fujimiya,MD
連絡先:fujimiya@yamaguchi−u.ac.jp