◇装置利用の手引き◇

誘導結合プラズマ発光分光分析装置


1.装置の概要
 機種:セイコー電子工業株式会社製 SPS1200VR
 プラズマ発生部:周波数 27.12MHz 盛大出力 2.5kW
 主分光部:ツェルニターナ式モノクロメータ
  回折格子 3600 本/mm,波長範囲 175 〜 500nm
  逆線分散 0.22 nm/mm
 副分光部:ツェルニターナ式モノクロメータ
  回折格子 1800 本/mm,波長範囲 190 〜 800nm
  逆線分散 1.1 nm/mm
 測光部:光電子倍増管
 高塩用ネブライザー付

2.装置の原理
 高温のアルゴンプラズマ内に試料溶液を噴霧し,試料成分の発生する原子線あるいはイオン線を分光し, その波長から定性分析を,また,強度から定量分析を行う.
 3重管トーチの中を流れてきたアルゴンガスが,高周波で放電されドーナツ型のアルゴンプラズマを生成する.プラズマ内は 6000 ℃以上の高温である.この中に導入された霧状溶液は,溶媒の蒸発・原子化・イオン化・励起というプロセスを経て元素に特有な光を発する.高温で励起されるため非選択的であり,同一条件で多元素同時測定が可能となる.

3.測定可能な元素及び測定試料
 誘導結合プラズマ発光分光分析装置での一般的な感度を表1に掲げる.原子吸光光度法に比べ高感度で,特に希土類元素の分析に対しても高感度である他,金属だけでなく炭素などの非金属も測定対象となり得ることは大きな特色である.また,プラズマが安定であるため測定精度が高い.
 測定対象は溶液(主に水溶液,有機溶媒も可)である.固体試料は溶液化(分解を含む)が必要である. ICP-AES は定量濃度範囲が 4 〜 5 桁にわたり,非常に広範囲の濃度を測定できるメリットをもつ.すなわち,主成分から極微量成分までの希釈や分離することなしに多元素同時分析が可能である.
 反面,共存元素(陰イオンを含む)による分光干渉や物理干渉が問題となるので補正が必要となる,しかし,元素の組み合わせや,その濃度によっては補正不可能な場合もあり,あらかじめ分離を要求されることがある.希土類元素ではその蛍光が著しい.
 有機溶媒試料は高めの高周波出力で導入可能となるが,メタノールなどプラズマへの導入が不可能な溶媒もあり,また,炭素の発光により妨害を受ける波長領域が存在するので,注意がひつようである.
 フッ化物含有のサンプルは低濃度であればホウ素によるマスキングにより石英トーチへの導入が可能となるが,高濃度の場合はトーチを傷めるので現装置では導入不可能である.

4.測定方法
 装置は附属のコンピュータでコントロールする.装置の起動・初期化の後,測定者の要求する精度に応じて図1のような測定ができる.
 測定したい元素のほか,マトリックスを含んだ標準溶液を用意し,まずマニュアルモードでマトリックスからの妨害を受けにくい条件を探した後,ルーチンモードで定量する方法が一般的である.標準溶液は濃度が異なるものが2つあればよく,その一方はブランク溶液とすることが多い.
 定性モードにより標準溶液なしで概略濃度を知ることも可能である.

図1 SPS1200VRにおける分析

表1 ICP-AESにおける検出限界

5.利用に際しての注意
 初めて装置を使用する場合は,利用申請書をセンターに提出し,運用責任者の指導を受けて下さい.装置の貸し出し用マニュアルがあります.

6.利用申込窓口
 運用責任者:村上良子(内線 5736)

7.利用料金
 消耗品(アルゴンガス等)については,利用者の負担となります.

8.その他
 詳しくは運用責任者あるいは,機器分析センターにご相談下さい.