| 2001年9月13日 合衆国大統領 ジョージ・ブッシュ様 9月11日に起きた世界貿易センタービル、並びに米国防総省のテロ襲撃事件で犠牲に なられた方々に対し、「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」を代表し、心から追悼の 意を表明します。この憎しみにかられた暴力に、罪のない多くの人命を奪われた痛恨 の思いを、私どもは貴殿と同じくするものです。 しかしながら、われわれは、この事件でたびたび「真珠湾」が引き合いに出されてい ることを懸念しており、先の攻撃が、ただちに無分別な日系米人の強制収容へとつな がり、あげくの果てに、ツインタワーの2棟ではなく、二つの都市をことごとく壊滅 させた原爆投下へといたったことを回顧しております。どうか、国中がまたもやこの 狂気に包まれることのないよう、賢明なご判断をあおぐものです。 さらに、われわれは、事件後の国民に向けた貴殿の演説の中で、アメリカの力を強調 し、報復への決意を表明されたことを懸念しており、このことから、怒りと暴力によ る短絡的な行動をとる事を思いとどまられるよう、本状をもってお願いする次第で す。世界最強の国家として、合衆国はこれらのテロリストと同じ地平で戦おうとすべ きではありません。彼らは怒りにみちた自暴自棄の状態にあるのであり、貴殿が言わ れたとおり、アメリカには力があり、このことを冷静に見ることのできる強さを持っ ている筈です。この痛ましい捨て身の惨事を、激化の一途をたどる暴力の応酬の悪循 環のはじまりとしてはなりません。そうなれば、全世界がヨルダン川西岸で起きてい る流血の惨事に巻き込まれることになるのです。 この事件が、本土ミサイル防衛や、宇宙への軍備で国家を守ることは、まったくナン センスであることをご理解いただく契機となることを切に願うものです。われわれの 敵は、テロリスト集団ではなく、テロリストを危険な行為へと走らせ、われわれの心 の中でくすぶる怒りと憎悪なのであるということを、だれもが認識しなくてはなりま せん。アメリカは、ただちに力への依存を思いとどまり、世界の窮状と憎しみに目を 向け、それを軽減することに本気で取り組むべきなのです。アメリカは、ねたみと憎 しみの対象としてあり続けるのではなく、絶望の淵をさまよい、相互依存せざるを得 ない世界の、愛と尊敬を受けるべき方向に進むべきなのです。真に不変の安全保障を 確立する手段は、友情と協力関係を育むことをおいてありません。 広島の平和を愛する市民は、アメリカ合衆国が、暴力と憎しみをなくす戦いに立つ時 は、いつでも、最大限の助力を惜しむ事はないでしょう。 核兵器廃絶をめざすヒロシマの会 共同代表 岡本三夫、河合護郎、森瀧春子 |